――大さんから見た拓さんって、どういう人ですか?

大:拓は、自分が「これが正しい」って思ったら絶対に譲らないです。これは俺に対してだけじゃなく、他の人に対しても。「絶対」って言葉をずっと言ってます。

拓:絶対なんで。

大:でも絶対じゃないんです。「違ったじゃん」って言っても、マジ折れないです。良い言い方をすれば、信念を持ってる。悪く言えば、頑固ですかね。ちょっと天然なんすよ。ただ、10回に1回くらい「そういう角度あるんだ」って思うことがあります。俺も他の芸人もまったく考え着かないような角度の話を、10回に1回言える才能を持ってます(笑)。

――拓さんから見た大さんは、いかがですか?

拓:チャンス×。本当にチャンスに弱いです。

大:いやお前もな。

拓:いや、俺より圧倒的に弱いっすよ。草野球やってても、満塁でボールに手出しまくるんですよ。さっきまでそんなボール打ってなかったのに(笑)。「やばい、みんなに期待されてる!」って思うと、とんでもないボールまで打つんですよ。ギャンブルでもそうです。ここ当てないと今月の給料無くなるってレース、一人で見る勇気無いんでみんなを集めるんですよ。「応援してくれ」つって(笑)。で、絶対に外すんです。当たってるの見たことないです。こういうのは子どもの頃からじゃないかな。なんか「行けー!大ー!」「あー、またやった……」みたいなのが多いっすね。

大:そっちが好きなのかもしれないですよね。自分がガッツポーズするより、自分はドテって負けて、人がガッツポーズしてるときのほうが、楽しいかもしれないです。

――拓さんが大さんを褒めるとしたら、どんなところですか?

拓:褒めるとしたら……今日も、つらつらつらつら喋ってるじゃないですか。下手したら思ってないことまで喋ってる(笑)。よくもこう、さっきからずっと喋ってるなと思います。

大:いくらでも喋れるんですよ。あることないこと。

拓:普段考えてないのに、今出てきた言葉を「普段から思ってる」みたいな感じで。「よく喋れんな、こんなに」と思いますよ。

――そうだったんですね(笑)。大さんはいかがですか? 拓さんを褒めるとしたら。

大:そう見られないんですけど、意外とすごく考えてトークしてると思いますね。僕は行き当たりばったりで、まったく考えないで喋るんですけど。それを見てるからなのか分かんないですけど、トークは組み立てて喋りますね。

拓:あー、大が喋ってるとき、今日もずっと考えてましたね。例えばパリコレの話みたいに、大が言ってることを他のものに例えたり。

――なるほど、確かに補足していただいてました。

拓:二人とも、構成とか組み立てを考えるのは好きなんですよ。僕らのネタもすごく起承転結がはっきりしてるんですよね。展開が無いネタがすごく嫌いで。逆に言うと大喜利ができないから、羅列の漫才はできない。

大:ネタで大喜利チックな例えツッコミをしたりするのって、普段の会話で言わないことなのでやってて気持ち悪いんですよ。そういうのをできるだけ排除したいって考えでやってたら、ボケない漫才になった(笑)。

――ネタ中の違和感を無くすということですか?

拓:そうですね。

大:僕らは、違和感が嫌いなんですよね。違和感を残せる漫才師もいるんですよ、辻褄が合ってなくても面白ければ良いって。でも僕らは、1個でも違和感があると排除したくなっちゃうんです。

拓:この間も、二丁拳銃さんに「きれいな漫才するよな」って言われましたね。ストーリーがあって、流れるように行くと。僕らは矛盾が大っ嫌いなんですよ。理想はボケない漫才で笑ってもらうことですね。親父のボーリングの成績や兄貴のことをネタにした漫才があるんですけど、本当にボケてないんですよね。(事実を)面白く聞こえるように並び替えただけで。

大:そのネタやってるとき、すっごい楽しいんですよ。だって、本当のことを言うだけでみんな笑ってくれるんすよ(笑)。めちゃくちゃラッキー。それでお金稼げたら最高じゃないですか(笑)。

好きなことをやり続けるために『M-1』を獲りたい

――どんなに忙しくなっても、絶対に続けていきたいことはなんですか?

大:それはもちろん漫才。即興とか長尺の漫才も、これは絶対ですね。あとは自分たちが面白いと思える、バカバカしいライブとかも。

拓:あとは、(仲の良い後輩の)ダンビラムーチョとずっとい続けることですね。一緒にライブとかやり続けられるように、ずっと頑張らないと。売れてない二組がずっとやってるのも嫌じゃないですか(笑)。二組とも売れて、結果残した上でずっとバカなことやって。

大:そうですね。ニューヨークとかもそうですけど、ずっと一緒にやってきたメンバーで全国ツアー回って、打ち上げで美味しいもの食べて、夜の街に行って、ってのが最高じゃないですか(笑)。これやるために芸人なったんだから(笑)。

拓:楽しいことは絶対にやり続けますね。半分のお金しかもらえなくても、楽しいほうを選びたい。

大:芸能人を抱きたいとか、高級マンションに住んでベンツ乗りたいとか、あんま無いです。ただ、大好きな仲間の芸人と打ち上げで飲みに行けたら。それさえあれば、人生のほとんどは充実します。ただみんなと酒飲んでたいってだけっすね。

――ダイタクさんらしい考え方ですね。

大:小さいときから同じ感覚ですね。拓とずっと一緒にいたからかもしれないです。僕ら、勉強しないでずっと遊んでたんですよ。いざ勉強しなきゃってなったら、パパっと勉強すればなんとかなる。器用なんで(笑)。で、終わった終わった、じゃまた遊べるなって。受験とかもそんな感じを繰り返してきただけなんですよ。今も、新ネタライブ近いな、作ろう、終わった、打ち上げだ、飲もうって。このパターンを繰り返して、そのままおじさんになっていければこれ幸いですね(笑)。

拓:仲良い後輩が「ダメだったんで辞めます」とか言うくらいだったら、自分たちがメシ食わせたいですよね。僕らが売れて、例えばYouTubeにレギュラーで出してやれたら、一応ずっと芸人辞めずに済むじゃないですか。そういう存在にはなりたいっすよね。

――仲間への愛情を感じます。

大:だって、自分たちだけ売れて楽しいっすか?自分だけお金持っても、俺は全然楽しくないですけどね。

――お二人にとって、売れるのはやりたいことを続けるための手段ということですね。

拓:そうですね。好きなことやるために『M-1』で優勝したいのが強いですね。

大:そうですね。(EXITの)りんたろー。は、昔からスーパースターになりたかったんですよ。みんなにキャーキャー言われて『Mステ』で歌うのが、多分夢だったんです。だから、あいつはスーパースターになるためだったらなんでも良い。チャラい漫才やって芸人から「なんだそれ」って言われても関係ないんですよ。そういうことで、漫才で日本一になりたいというよりは「好きなことやりたいから『M-1』獲りたい」っていうのが本当に強いですね。