羅湖駅真正面に丸い展望レストランのシャングリラホテルが有るので、その右脇の建設路を駅とは逆の方向に10分ほど歩くと左手に中国銀行深セン市分行(写真1)の大きな看板が見えてくる。中国銀行は1912年に設立され中国でも最も長い歴史を持っており、中華民国時代は中央銀行(現在は中国人民銀行)の役割を果たしていた。

【写真1】中国銀行深セン市分行

■HSBC深セン分行での口座開設方法 HSBC中国、英語版総合サイト
https://www.hsbc.com.cn/1/2/home

なるほど、その歴史に恥じず深セン市分行は正面玄関両脇の大きな獅子の銅像に堅固に警備されているかのように威風堂々として建っている。行内も非常に大きく、多くの人が椅子に座って自分の番が来るのを待っている様子は、日本で言えばさしずめ大病院の待合室のようである。

入ると右手にインフォメーションのような場所があるので、そこで「外国人で口座を作りたいんだけど」と英語で言えば英文の書類「Form of Application for Opening A Personal Account(個人用口座開設用紙)」を渡してくれる。それに記入しながら、その近くの番号札発券機の番号札を取って自分の番号が正面の大きな電光掲示板に表示されるまで待つことになる。その番号札には待ち人数130人などと驚くべき数字が表記されているかもしれないが、大丈夫。それなりに待つかもしれないが、窓口はたくさんあるので、当初想定したよりも早く自分の番はやってくる。

窓口担当者はHSBCと比べれば、英語は流暢とは言えないが、必要限のことは理解してくれるので、特に心配は要らない。窓口には担当者を評価する機械(名前と顔写真入りで、対応や態度を顧客が3つの★印で評価できるもの)が設置されているせいなのか、サービスは悪くない。中国語のできない外国人の私に一生懸命だった若い銀行員のお兄さんに、★三つ進呈。

私はわずか20,000円を両替し12カ月定期預金を作成。残っていた20元で普通預金口座を作ったら15元が手数料として引かれ、5元が記載された通帳を渡された。2008年は北京オリンピックの年だったので、両方の預金通帳(写真2)には可愛いマスコットキャラが描かれていた。

ATMカード(写真2)が必要ならば書類にある「Open Debit Card 」の項目の"Yes"をチェックすればその場でもらうことが出来る。このカードを作れば、中国銀行系列のATM以外に銀行間決済ネットワーク「銀朕(UnionPay)」加盟のATMでも利用できる。またカードを作れば、自動的にテレフォン・バンキングサービスが利用できるようになる。

無事全てが終了しても直ぐに銀行を去らずに、早速ATM機(英語表記有り)に行き、もらったPIN(暗証番号)の変更および人民元の現金を投入し、通帳で記帳するところまでやると一挙に人民元口座を持ったという現実感と共に、ちゃんとワークするのだという安心感が押し寄せてくる。私は、中国銀行における中国語でのインターネット・バンキングは困難と考えて申請はしなかったが、チャレンジャーな方はやってみても良いかもしれない。中国銀行の口座番号は18桁も有るので、送金の時は注意して記入したい。待ち人数にしろ、口座番号にしろ、やたらと数が多いのは13億の民が存在していることの証明だ。

【写真2】預金通帳、ATMカ

口座開設プロジェクトの1日のスケジュールとしては、朝香港を発って、深センでの口座開設を午前中で済ませれば、後は市中に飛び出して中国の熱気を体感すべし。でもその前に、まずは腹ごしらえ。中国パワーの源は良く食べること。負けないように昼はぜひ美味しい飲茶をたっぷり味わっていただきたい。お勧めは、中国銀行から至近距離に有る、センチュリー・プラザホテル(新都酒店)2階にある「丹桂軒(写真3)」。たとえ僅か1日深センで過ごすだけでも、それなりの中国体験が出来るであろう。日本の既成概念のワクにはまらないミラクルな出来事が、あなたを待っている可能性大だ。

【写真3】丹桂軒の飲茶

執筆者紹介 : 香澄ケイト氏

主な略歴 : 為替ジャーナリスト
米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株 / アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を努める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。