海外旅行で円安進行?

ゴールデンウィーク近し! もう今週あたりからココロ浮き浮きっていう方が多いのでは。海外の友人に「日本ってゴールデンウィークという休みがあるんだって?」と驚かれ、「That`s righ! 長いと一週間くらいになるのよ~」と嬉しそうに返答すると、「へ~、日本人ってたかだが1週間の休みで喜ぶんだ」と来た。まあ、バケーションで1カ月なんてザラにお休みしちゃうような人たちにはたかだか1週間なんて休みの内にも入らないか。しかし、最大16日の休みの会社もあると聞くが、この不況下、素直に喜べないで戸惑う人の方が多そうだ。それでもやはり海外に行く人は多いとみえて、今年のGW中の成田空港利用者は昨年比4%増の97万人が見込まれているそうだ。

曜日の配列が良いということや燃油サーチャージの引き下げもあるが、なんと言っても円高が後押ししているのは事実。今程為替について敏感になる人が多い時期はないだろう。海外に行く人にとって刻々と変化する為替レートは気になるもの。いつ両替しようか気が気じゃない。1ドル=100円台よりも99円の方が良いし、98円の方がもっと良いに決まっている。

リーマンショック以降、ドル円が90円を割れた時に"割安感"いわゆる"値ごろ感"ででもドルを買った人は今とてもハッピーな思いをしているはずだ。ちなみに昨年2008年GWあたりのドル円は103円台~105円台で推移していて、その後8月15日に掛けて110.60円台まで上昇した後反落、その後9月15日のリーマンショックをきっかけに87円台まで円高が急進行し、直近101円台まで上昇して現在一服しているような状況だ。ここから100円台定着への快進撃が始まるのか、反落するのか……。しかし、昨年の例もあるので、夏休みの海外旅行に向けても注目して行きたいところだ。

為替は買いたい人が多いと値段が上がり、売りたい人が多ければ値段が下がるという単純な原理で動いていて、その買いたい人の中には海外旅行に行く人も含まれている。望む、望まないに関わらず、超大型連休にされてしまって海外旅行に行かざるを得ない方は、当然円から外貨に両替せざるを得ない。約100万人が一人平均で10万円外貨に両替するとなんと1,000億円の円売り・外貨買いになる。ひょっとしたら、3月20日の94円台から4月6日の101円台までの上昇の一因は皆さんこの時期に外貨を手当てなさったから、ですか?

こんなサービスも! - 外貨受け渡しと両替に便利なFX会社

その両替の際、気になるのが為替手数料などのコストだが、FX会社でも外貨受け渡し(デリバリー)や外貨両替(コンバージョン)が出来るのをご存知だろうか。FXのトレーディングとはちょっと違って、海外旅行など外貨が必要な時に知っておくと便利なこういったサービスを提供しているFX会社がいくつかある。

  1. 外貨受け渡しとは持っているポジションをそのまま外貨で受け取ること。一般的なFXの取引では、例えば、1ドル=100円の時に1万ドルの買いポジションを持っていて105円の時に売却すると5万円が差益となる。しかし、外貨受け渡しではその1万ドルを通常の反対売買によって差金決済するのではなく、総額決済して(その対価である100万円相当の預かり証拠金が必要)そのまま外貨として受け取ることができる。
  2. 外貨両替とは、単なる両替で銀行の外貨両替と同じ。円からドルの現金への両替手数料は銀行だと3円程度掛かるが、FX会社では20~50銭程度で済む。仮に20銭だとすると1ドル=100円の時ならば、100.20円で両替できることになる。1,000ドルに両替するのであれば、必要なお金は100,200円。銀行だと103,000円になってしまうので、2,800円お得になる。もし1万ドルに両替するのであれば、28,000円もお得になる。

FX会社の口座から実際に外貨を受け取るには、銀行に「外貨預金口座」を持っていなくてはいけないし、あらかじめFX会社に外貨預金口座登録が必要になったりする。サービスの有無、コスト、対象通貨、送金手数料など各社に差異があるので、実際にFX会社に問い合わせて詳細を聞いた方がよいだろう。また、銀行から外貨を現金で引き出す場合には大抵引き出し手数料が掛かり、各行に違いがあるので、こちらも比較検討をしたい。

海外旅行ではクレジットカードを利用する方も多いと思うが、カード会社での決済に向けて円安が進んでしまう可能性も有ったし、為替手数料も取られてしまう。だが、円とドル2つの通貨で決済する機能を備えているソニーバンクの「2通貨決済機能付クレジットカード」の「SONY CARD」は米ドルの引き落としは米ドル普通預金からドルのままで決済することができるので、先に述べたような心配をしなくて済む。FX会社からソニーバンクの外貨預金口座に入金し、このクレジットカードを海外で使用すれば、コスト的にかなり軽減されるはずだ。

今回のGWにご予定のない方は、この機会に外貨コストに対する調査に時間を割かれてみたら、将来的に役立たせることができるのでは。ちなみにGWでも為替マーケットはお休みではありませんから。

執筆者紹介 : 香澄ケイト氏

主な略歴 : 為替ジャーナリスト
米国カリフォルニア州の大学に留学後、バヌアツ、バーレーン、ロンドンでの仕事を経て、帰国。外資系証券会社で日本株 / アジア株の金融法人向け営業、英国系投資顧問会社でオルタナティブ投資の金融法人向けマーケティングに従事する。退職後、株の世界から一転してFXに関する活動を開始し、為替情報サイト、マネー雑誌などの執筆、ラジオ番組への出演およびセミナー等の講師を努める。著書に『あなたのお金を10倍にする外貨投資術』(フォレスト出版)、『今すぐ始めるFX5人の投資家が明かす勝利のルール』(すばる舎)がある。