投資をする際は、株式でも外貨でも、あるいはデリバティブでも、とにかく商品の内容を熟知することから始めることが肝心だ。なぜかって? 商品の中身を知らなかったら、どれだけリスクがあり、その見返りとしてどの程度のリターンが期待できるのか、あるいは、リスクの種類はどういうものなのか、といったことを把握することができなくなるからだ。

だから、まずは商品の中身を熟知する。そして、似たような投資商品があったら、それとの比較によって、どこが有利で、どこが不利なのかも押さえておく。では、FXっていったい、どういう商品なのだろうか。

FXはあらゆる外貨建て商品のなかでも有利

FXはあらゆる外貨建て金融商品のなかで、最も有利な商品性を持っている。外貨に投資しようとした場合、FXを選んでおけば、まず間違いはないだろう。

一番のポイントは、自由自在に取引できるということだ。外貨預金、外国債券、外貨MMFというように、外貨建て金融商品には実にさまざまな種類があるが、いずれも「外貨を買う」ことから取引がスタートする。つまり、これらの外貨建て金融商品で利益をあげるためには、円安が進むことが大前提になる。逆に円高が進んだら、為替差損の発生によって、多少、国内金利よりも高い金利収入が得られたとしても、追い付かないくらいにやられてしまう恐れがある。

この点、FXは円安局面だけでなく、円高局面でも利益を得ることができる。ここがFXと、他の外貨建て金融商品との大きな違いだ。

加えて、レバレッジをかけられるというメリットがある。レバレッジとは、実際の手持ち資金に比べて大きな取引ができること。たとえば、10万円の証拠金を預けることによって、1万通貨相当の外貨を売買できたりする。仮に米ドルで、1ドル=110円の時に1万ドルの取引をしたとすると、円建ての金額は110万円。これを、わずか10万円の手持ち資金で動かすことができるのである。

これが外貨預金や外貨MMFだったら、1万ドルの取引をする場合は、きちっと110万円の現金を用意して、それを米ドルに替える必要がある。

つまりFXは資金効率が極めて良い。したがって、ちょっとした値動きでも、ある程度のリターンを得ることができる。仮に、1ドル=110円から110円50銭まで円安が進んだ場合、1万ドルを買い建てていたとしたら、10万円の元手で5,000円の利益が得られる。率にしたら5%だ。でも、110万円で1万ドルの外貨預金を作ったところで、仮に110円50銭まで円安が進んだとしても、利益率に換算するとわずか0.45%にしかならない。この差は大きい。

レバレッジをどう設定するかが、FXの投資で成功するためのポイント

もちろん、このレバレッジは使い方を間違えると、とんでもないリスクを背負うことになる。最近は、400倍までレバレッジをかけられるFXを提供している会社もあるが、ここまでレバレッジを高めると、あっという間に投資元本が消えることになる。400倍といったら、10万円の証拠金で4,000万円の取引をするということだ。1ドル=110円でフルレバレッジをかけた場合、36万3,636ドルを買うことになる。この場合、1ドル=109円72銭まで円高が進んだ時点で、10万円の証拠金が全額飛ぶことになる。

28銭幅での動きなど、為替レートを見ていればわかるが、本当に一瞬の出来事だ。ちょっと瞬きしたすきに、10万円を失ってしまう。レバレッジを高めていくと、こうしたリスクが高まってくる。

したがって、レバレッジをどう設定するかが、FXの投資で成功するためのポイントともいえる。

基本的には、どういう投資がしたいのかによって、レバレッジを変えていくべきだ。たとえば、長期投資を中心として、スワップポイントを取りにいくという戦略を考えているのであれば、レバレッジは2~3倍程度だ。それでも、ニュージーランド・ドルのような高金利通貨を取引すれば、年間12%程度の利回りで運用することができる。1年間の投資収益としては十分だろう。レバレッジ2~3倍程度であれば、証拠金を全額失うようなことにはならないはずだ。

一方、レバレッジを10倍、20倍と高めて投資するのであれば、とにかく損切りを素早く行うこと。たとえば、1ドル=110円でドルを買ったとするならば、1ドル=109円80銭まで円高が進んだところで、とにかく自分の意思で損切るようにする。そうしなければ、どんどん損失ばかりが拡大することになる。

レバレッジを高めて投資をするというのは、イコール短期トレーディングであり、為替レートの値動きを追うのがミソになってくる。ボーっとしていると、証拠金を失うことにもなりかねないので、素早い損切りがポイントになってくる。

まずは、自分が長期投資派なのか、それとも短期トレーディング派なのかということをしっかり認識してから、それぞれの投資法に合った戦略を立てるようにすれば良いだろう。

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JOYnt代表 鈴木雅光氏プロフィール

主な略歴 : 1989年4月 大学卒業後、岡三証券株式会社入社。支店営業を担当。 1991年4月 同社を退社し、公社債新聞社入社。投資信託、株式、転換社債、起債関係の取材に従事。 1992年6月 同社を退社し、金融データシステム入社。投資信託のデータベースを活用した雑誌への寄稿、単行本執筆、テレビ解説を中心に活動。2004年9月 同社を退社し、JOYntを設立。雑誌への寄稿や単行本執筆のほか、各種プロデュース業を展開。