「男性は理系で女性は文系の傾向にある」と言われることがありますが、お金の知識や判断力といった金融リテラシーも男女による違いがあるのでしょうか? もし男女別の強みや弱みが分かれば、夫婦力を合わせることで効果的にお金の管理ができ、そして貯蓄も増えていくかもしれません。

  • 性別による金融リテラシーの差はある?

男性の特徴

金融リテラシー調査(金融中央広報委員会、2016年)では、調査対象者に正誤問題25問が出題されており、男女別正解率は男性が58.1%、女性が53.2%とやや男性の点数の方が高いことが分かりました。その中でも特に男性の正解率が高かったのが以下の問題です。

高インフレの時には、生活に使うものやサービスの値段全般が急速に上昇する
(一部筆者編集)

100万円を年率2%の利息がつく預金口座に預け入れました。それ以外,この口座への入金や出金がなかった場合、5年後には口座の残高はいくらになっているでしょうか。
(一部筆者編集)

インフレ率が2%で、普通預金口座であなたが受け取る利息が1%なら、1年後にこの口座のお金を使ってどれくらいの物を購入することができると思いますか。
(一部筆者編集)

金利が上がったら、通常、債券価格はどうなるでしょうか。
(一部筆者編集)

10万円の借り入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。
(一部筆者編集)

上記5問はいずれも男性の方が10%以上正解率が高かった問題です。いかがでしょうか? 金利や物価など計算をベースにした問題が多いことが分かります。

女性の特徴

女性のスコアに関しては男性を10%以上も上回る問題はありませんでしたが、5%程度正解率が男性よりも高かった問題を以下4つ紹介します。

家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか。
1.家計簿などで、収支を管理する
2.本当に必要か、収入はあるかなどを考えたうえで、支出をするかどうかを判断する
3.収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
4.支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する
(一部筆者編集)

一般に「人生の3大費用」といえば、何を指すでしょうか。
1.一生涯の生活費、子の教育費、医療費
2.子の教育費、住宅購入費、老後の生活費
3.住宅購入費、医療費、親の介護費
(一部筆者編集)

契約を行う際の対応として、適切でないものはどれでしょうか。
1.自分にとって、その契約が本当に必要なのかを、改めて考える
2.解約できるかどうかや、解約時に違約金が発生するかを確認する
3.業者から詳しく説明を聞いて契約し、契約書は後でゆっくり読む
4.契約締結に当たり、必要に応じて、第三者にアドバイスを求める
(一部筆者編集)

金融トラブルに巻き込まれないための行動として、適切でないものはどれでしょうか。
1.自分の個人情報はなるべく言わない
2.金融経済に関する知識を身に付けるよう努力する
3.判断に迷ったときは、業者を信じて一任する
4.購入しようとする商品の評判をインターネットで確認する
(一部筆者編集)

いずれも算術的な要素はなく、むしろ選択肢1つひとつが長く、じっくり問題と選択肢を読んだうえで判断しなければならない問題ばかりです。また、「適切でないもの」を選ばなければならない問題も3つ該当しており、やはり落ち着いた読解力が求められます。

PISAでも同じ傾向が

世界各国の15歳の学生を対象に、教育に関する調査を行っている国際機関PISA【Programme for International Student Assessment】でも男性は女性よりも算術に関するスコアが高く、女性は男性よりも読解力が高く、それぞれ統計学上の有意差も生じていることを指摘しています。

PISAの結果も考慮しますと、日本に限らず世界共通で「男性は理系、女性は文系」という傾向があり、金融リテラシーにおいても同じことがいえるようです。

男女特徴差を家計管理に活かす

私たちが金融リテラシーを必要とする場面が、投資信託や保険、住宅ローンといった金融商品の契約時などが代表例の1つとなります。

「私はこういうことよく分からないから、あなたが手続きをして」という声をよく聞きますが、今回分かった男女差を踏まえると、例えば契約書などをしっかり読む役割を妻が担い、満期金や返戻金、他の金融商品とのパフォーマンスの比較などを夫が担うというように、明確に役割分担をし、協力しあうことで、適切な商品の購入、トラブル回避などにつながる可能性があります。

もしかすると夫婦喧嘩も減るかもしれません。なお、リスクを取る、または損失を回避するという傾向も以下の質問より男女差がはっきりと確認されています。

10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生するとします。あなたなら、どうしますか。

投資をすると答えた男性の割合が30.5%に対し女性は12.5%。問題性質上、リスクやリターンといった女性が一般的に苦手としている計算要素があるために、その結果、「投資する」と判断する女性が少なかったとも考えられますし、そもそも女性の方が損失回避傾向が強いという指摘もあります。

老後資金を自助努力で準備していかなければならないというトーンが高まっており、それに伴い投資の必要性についても注目されています。よって、投資を行う上では夫が主導権を握った方が投資をはじめるきっかけになるかもしれません。

結婚後は妻が財布を握り、男性は家計に無関心。というのが日本における一般的な家計管理スタイルです。ただ、今回の男女差を参考にするとむしろ男性が積極的に家計管理を行うメリットはありそうです。

月に数回程度でも構いませんので、家計のことを2人で話すことで、家計のみならず夫婦の在り方も良好であり続けることができるかもしれません。既婚者は即実践してみてください。

筆者プロフィール: 内山貴博

内山FP総合事務所
代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP)FP上級資格・国際資格。
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 FP国家資格。九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻 経営修士課程(MBA)修了。