ビジネスパーソンに求められるスキルとして、ますます『英語』の重要性が増している昨今。読者のなかにも、働きながら英語学習に勤しんでいる人は少なくないはず。
そこで本稿では「大人のための英語塾 LEARN & TRAIN」代表であり、数多くの学生やビジネスパーソンの指導にあたっている高井好美さんに『英語学習にまつわる素朴なギモン』をぶつけてみた。
高井さんは20年近くにわたり大手米国通信事業者などの外資系企業に勤めたのち、2016年に英語講師に転身し、神田外語学院などで学生・社会人に英語を指導。現在は「大人のための英語塾 LEARN & TRAIN」の代表として、パーソナルコーチ型のレッスンを展開している。英語のほか、中国語と広東語も話すマルチリンガルでもある。
そんな高井さんに、英語の勉強はスピーキング、リスニング、リーディングなど、何から始めるべきなのかを今回は尋ねてみた。
■何から勉強を始める?
―――英語の勉強はスピーキング・リスニング・リーディング・ライティングの何から始めるべきですか?
スピーキング・リスニング・リーディング・ライティングの4技能は、バラバラに存在しているわけではなく、連動しています。まずは共通要素である「単語」と「文法」をおさえましょう。文法は皆さん中学・高校でも勉強してきましたね。勉強を始めてみると、意外と覚えているものです。だから、その段階はわりと短期間でパスできるはずです。
その初級レベルを卒業したら、リーディング(読む)・リスニング(聞く)のスキルを上げていくと効率が良いでしょう。ビジネスパーソンはオフィスにて、プレゼン資料、プロダクトの仕様書などを読む機会が増えます。また会議に出れば、人の意見を聞く場面が多い。そこで初めにリーディング、リスニングを磨き、そのあとでスピーキングを勉強しても遅くはないと思います。
―――まずは単語・文法をきちんと身に付けた上で、リーディング(読む)・リスニング(聞く)から始めるといいのですね。では、海外の人と話したい、そんな人もまずはリスニングからでしょうか?
そうですね。というのもリスニングができるようになると、相手の言ったことがハッキリと理解できるようになります。すると、こう話せば良かったのか、前に覚えた単語はこんなときに使えるんだ、よし次の機会に自分も使ってみよう、となるんですね。ネイティブから言われたことを真似することで、活きた英語がどんどんと吸収でき、そうした蓄積をスピーキングに活かせるようになります。だから、まずはリスニングができるようになる、このメリットは大きいと感じています。
また、ビジネスパーソンであれば、たとえば社内会議に出たときに、そこで同僚の言っていることが聞きとれないと、これは話せないことよりもずっと大きな孤独感を味わいます。このときのストレスが大きいんです。でも次第に周りが言っていることが理解できてくると、なんだこのことを言っていたんだ、それなら私にも話せる、という段階に移ります。
あと皆さん、どうしても『話したい』という気持ちが前に出てくると思うんです。でも読めること、これも非常に大事。私の経験上、外資系企業や海外と関係する部署、海外勤務のビジネスパーソンであれば入社 / 転職の直後は、業務内容・就業規則・雇用契約など、様々な英語の文書を読む必要に迫られます。仕事をしていると「読めて良かった」「助かった」という瞬間が頻繁に訪れますよ。
――確かに、これは社会人だけでなく教科書やカリキュラムを読む必要がある学生にも共通する部分ですね。
次回は英語の聞き流しについて。ぜひ、そちらもチェックしてみてほしい。