モチベーションもイノベーションの時代

あっというまに未曾有の事態に飲み込まれたコロナ禍。ニューノーマルの時代はリモートワークも増え、社員同士のコミュニケーションもオンラインが進んでいます。

一方で、対面、オンラインにかかわらずコミュニケーションの本質は変わらない。この状況下でいかに後輩のモチベーションをあげるかは、まさにコミュニケーションのイノベーションと言えるでしょう。

  • 後輩のモチベーションを上げることに苦労していますか?

「先輩、話があるんですけど……」という後輩の言葉が一番怖いという先輩社員さんも少なくない事では。

解決策はただ一つ。生産性を上げ、離職率を下げるには、後輩社員のモチベーションを上げることです。どうしたらモチベーションが上がるのか? 上がらずとも、せめて下がらないようにするにはどうしたらよいのか?

その答えを求めるならば、まずは上がらない理由を明確にすることです。

モチベーションとご褒美

モチベーションが生まれる時には、その先に必ず『ご褒美』があります。それは、お金だったり、物だったり、地位だったり、時には達成感だったりしますが、それが何であれ、肝心な事はそのご褒美が、「本当に欲しいご褒美」であるということです。

欲しくて我慢できないもの、もらってうれしいものだけが、ご褒美になるのです。欲しくないものはご褒美にはなりません。欲しくないものからモチベーションは生まれません。 後輩のモチベーションが上がらない大きな理由は「ご褒美選び」が間違っているからなのです。

ベジタリアンのご褒美にステーキを選ぶ人はいないでしょう。関西人のご褒美に迷わず納豆を選ぶのもセンスを疑われます。ご褒美とは、相手が欲しいもの。後輩のご褒美選びに、自信がありますか?時代、世代によってご褒美の趣味嗜好は大きく変化します。

ミレニアル世代は、お金よりも時間、地位よりもプライベートに価値を感じる傾向があります。企業が従来モチベーションを生むご褒美として使ってきた昇給や昇進は、以前ほどは役立ちません。

すなわち、令和の時代は、「モチベーションのイノベーション」を求められる時であるとも言えます。ゼロからごほうびを考える時代です。かつて自分の親がクリスマスプレゼントに頭を悩ませたように先輩として後輩のモチベーションを上げるプレゼントを考える必要があるのです。

ご褒美は3Sを組み合わせ個性のエッセンスを振りかける

これからの時代のモチベーションは3Sから創ります。3S、すなわち

1.Shounin「承認」
2.Shousan「称賛」
3.Shourei「奨励」

の3つです。

「認めて、褒めて、励ます」。この3つがご褒美の素です。言葉にすればシンプルですが、実際には、後輩一人ひとりの個性に合わせ、この3つを組み合わせ、個別のエッセンスを振りかけ、オリジナルのご褒美を創り、モチベーションにつなげていきます。

このご褒美づくりに欠かせないのが「共感力コミュニケーション」です。詳しくは次回に述べますが、"ご褒美の質はコミュニケーションの質"、と覚悟を決めておきましょう。ご褒美は、「渡し方次第」ということです。

後輩は承認を求めている

後輩世代へのご褒美となる「承認」とは存在価値の認識です。自分はここに必要な存在か? 自分は価値ある存在か? 人として、組織人として、社会人として、価値ある存在か? か? の問いへの答えがそのまま「ご褒美」となります。

後輩世代は、人の役に立っているか、人から必要とされているか、に非常に敏感です。自分はいらないのではないか? 自分でなくてもよいのではないか? という不安を持っているので、それを払拭するアクションがご褒美となります。

二つ目のSの「称賛」は「ご褒美」の中心になりますね。ご褒美すなわち「褒」めるという字ですから。

褒めれば後輩のモチベーションは上がるだろうとは分かっていても、「褒めたつもりで逆に気を悪くされたらどうしよう?」「異性だとセクハラやパワハラだと思われたら困る」など、ついつい余計なコミュニケーションは避けがちになりますね。褒め方にもコツがあり、それを学べば褒めることが怖くなくなります。

三つ目の「奨励」は、承認、称賛であがったモチベーションを維持するのに効き目があります。ジムのトレーナーのように、寄りそって励ましてくれるというプロセスも大切なのです。なお、奨励については二回目の共感力コミュニケーションのパートでしっかりとご説明いたします。

モチベーションを下げているかもしれない犯人がいる?

もうひとつ、モチベーションが上がりにくい理由として、その3Sを「誰から聞くのか?」という事があります。やる気になってもらう話をしていても、その話し手自身に魅力がないと説得力がありません。

病気ばかりしているお医者さまがいたらどうでしょう? ジャンクフードばかり食べている料理研究家がいたらどうでしょう?

モチベーションを上げるにはロールモデルが必要

モチベーションを上げるには、ロールモデルが必要です。モチベーションを上げて、頑張った結果、素晴らしい未来が待っている、と信じられれば行動に移してくれますが、アドバイスに従ってその先が見えなかったから、モチベーションは上がりません。

つまり、あなた自身が後輩にとって「なりたい先輩なのか?」という事です。なりたい先輩までいかなくても、あなた自身が会社の中でご機嫌に仕事をしているという印象を後輩が持ってくれているかどうかです。

あなた自身が「この会社はなあ」とか「この仕事はなあ」などとネガティブな姿勢で仕事をしていたら、後輩は絶望します。「どんなに頑張っても、何年か先に、この人みたいになるんだったら、どうでもいいや」、という気になりますよね。

共感パワーを発揮して、後輩のモチベーションを作るには、まずはあなた自身が仕事を楽しむ、ご機嫌に仕事をする、という姿勢を持つことが前提であると言えます。

次回は、共感力コミュニケーションをベースに、3Sを具体的にどう伝えるかをご紹介します。