リモートワークやオンラインでのコミュニケーションが生活の一部になるなか、Zoomなどを使用したオンライン研修の登壇や企業からの運営相談をされる機会が増えました。

すでにリアルでの信頼関係が構築できている場合は、正直オンラインコミュニケーションでもさほど支障はない印象。しかし、初対面の相手や金銭のやり取りが発生する商談ではリアル以上にコミュニケーション力や印象力が必要であるように感じます。

お互いに冷静に相手を見ることができるモニター越しでは、対面よりも早く相手の印象が決まり、評価までするケースが多々あるのです。オンラインのコミュニケーションは対面式と何が違い、何がポイントとなるのかをお伝えしていきます。

  • オンライン打ち合わせで戸惑うことはありますか?(写真:マイナビニュース)

    オンライン打ち合わせで戸惑うことはありますか?

オンラインコミュニケーションで注意すべきこと

まず、コミュニケーションという言葉の定義を初めにしておきましょう。私はコミュニケーションとは「心を形にする」ことだと思います。ですから、コミュニケーション力というのは、心を形にする力であり、表現力。

対面でのコミュニケーションでは五感を使いますが、オンライン上では視覚と聴覚の「二感」のみ。そのため、対面であれば相手にスムーズに伝わるものも、オンラインになるとどうしても伝わりにくくなってしまうのです。

私たち日本人が得意とする、「察すること」「空気を読むこと」がオンラインでは困難になるため、普段持つ「多くを語らずとも、相手に察してもらいたい」という気持ちをいったん捨てる必要があるでしょう。

ぜひ、これを機に「心を形にする」「表現する」ビジネスパーソンが増えると良いなと個人的には思っています。

オンラインハラスメントはリアルと同じ

オンライン会議が増えたことで、オンラインハラスメントも注目されているようですが、最初に定義したように、コミュニケーションとは表現すること。そしてハラスメントはオンラインに限らず対面でも同じことが言えます。

あなたの発言や行為に対して、ハラスメントだと感じる人がいたり、感じない人がいたりするのです。何より大切なことは、ハラスメントと感じさせないコミュニケーションや関係性を相手と構築することでしょう。

それでは、ここから実際にオンラインツールを使ったコミュニケーションにおいて、心を形にするには具体的にどのようなことに気を付ければ良いのか、3つのポイントを解説します。

今回は特に初対面の相手や、信頼関係をまだそこまで構築できていない場面に焦点を当てています。

オンライン形式ではファシリテーションがより必要

リアルでもよく言われていることですが、社内・社外を問わず参加者が4人を超えると進行役が必要です。進行がグダグダになることも良くないですし、参加者に発言を促すなど、場を回していける人が求められます。

最近話題に挙がることが増えましたが、ただ自分の意見を発言するだけに留まらず、他のメンバーから意見を聞き出したり、話の流れを整理したりするといった「場を回すファシリテーションスキル」がオンラインのコミュニケーションではより求められるでしょう。

コミュニケーション力が比較的あると自負する方は、話すことよりも、周りをよく見て場を回すことに今後はチャレンジしてみてください。

オンライン形式では、最初に操作確認や進行ルールを周知する

オンラインツールの理解度や経験値は個人差があります。参加者全員に対して、進行役が最初に挙手機能やチャットの書き込み、画面やミュートのオンオフなど操作確認を行いましょう。

また、反応ボタンや手を使って表現する「OKサイン」「NGサイン」「拍手」といった、進行ルールを決めて全員に共通認識を持たせることも大切です。

これはただの確認作業ではなく、一体感を持つことで全員を傍観者から参加者になりやすくさせることが目的。ポイントはやらせる、反応させるといった強要するイメージを参加者に持たせないこと。

あくまで参加者に寄り添い、操作についてこられているか、PC環境が整っているか等を確認するスタンスで接することが重要なのです。

また、「全員が同じことをやっているから自分だけが悪目立ちすることはなさそう」と遠慮しがちな人が持つリアクションへの抵抗感をなくすこともできます。

オンラインでは普段の3倍以上のリアクションを意識

モニター越しのコミュニケーションでは、対面以上にリアクションを大きくすべき、というのは聞いたことはありませんか。オンラインでは視覚と聴覚しか表現手段がなく、対面の時以上に視覚情報が強く相手に伝わります。

この人は自分の話を聞いてくれる、自分の存在を認めてくれる、と相手に意識させない形で安心感や安全であることを示すのが目的です。わざとらしさや不自然なオーバーリアクションをする必要はまったくありませんが、映っている自分の姿がまるで静止画に見えることのないような反応を心がけましょう。

そして、自分の表情がよく見えないほどカメラが遠いと、リアクションが伝わらず消極的で、やる気のない印象を与えます。私の場合、比較的アップに耐えられるように肌の調子を整えたり、補助照明の女優ライトや見える顔の角度を変えるパソコンスタンドなどを使う工夫もしたりしています。

ワイプ芸を会得せよ

その上で、特に注意したいのはうなずき。小さくて小刻みなうなずきはオンラインでは相手に伝わりません。テレビのひな壇芸人のように、うなずく時には上下に(縦に)大きく1回を意識すると自然に分かりやすいリアクションができます。

また、日ごろは見ることのできなかった、自分自身の「人の話を聞く表情」を画面で確認することもお勧めします。話している時の数十倍、聞いている時の表情を周囲に見せていることを覚えておいてください。

対面では意識せず、訓練する機会も少なかった聞く表情を、ぜひオンラインコミュニケーションでは磨いてほしいです。


ここで紹介したスキルはオンラインやオフラインに限らず、必ずあなたのコミュニケーション力(表現力)として財産になります。ぜひ「空気を読む」よりも「心を形にする=表現する」コミュニケーション、意識してみてくださいね。

そうすればオンライン疲れやコミュニケーション疲れが必ず減るはずです。共にこの変化に柔軟に対応していきましょう!

桑野麻衣

大学卒業後、ANAに入社しVIPサービス責任者、教育訓練インストラクターを務める。その後、ジャパネットたかたや再春館製薬所グループの勤務を経て独立。 現在ではコミュニケーション、人材育成をテーマに企業研修や講演を行う。著書に『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』『部下を元気にする、上司の話し方』(共にクロスメディアパブリッシング)があり、PRESIDENT、Oggiなど取材多数。