2017年度において、JR東日本での1日乗車人数ランキングが渋谷駅を抜き5位となった品川駅。1日の利用客が37万人を超す、東京屈指のターミナル駅だ。駅ナカの施設も充実しており、エキュート品川にはオシャレなショップやお土産屋がそろっている。そんな品川駅に、実は隠れたB級グルメがあるのをご存知だろうか。
そのメニューは、その名もズバリ「品川丼」。品川駅のホームで営業する「常盤軒」で食べることができる。常盤軒は創業大正12(1922)年の老舗。創業当初は品川駅で駅弁の販売を行っており、立ち食いそばは昭和39(1964)年に参入したという。
漁師のまかない「品川めし」から誕生
品川丼は、イカや桜えびの入ったかき揚げがどんぶり飯の上に乗った料理で、そばつゆを薄めた汁ときゅうりの漬物が添えられる。つゆがタップリ染み込んだかき揚げはご飯との相性がバツグンで、ガッツリ食べたい時にオススメの食欲をそそる一品だ。
ところで、品川丼と聞いてもピンとこないのだが、実はそのルーツは郷土料理の「品川めし」にあるという。東京湾は江戸前に代表される海産物の豊富な海で、以前はこの辺りでも貝類やシャコが多く獲れたという。漁師のまかないとして、ハマグリやアオヤギなどの貝類を使った丼を深川めし、シャコを使った丼を品川めしと称したという。
品川めしには、下味を付けたシャコをご飯と一緒に蒸したものや、醤油で煮たり卵でとじたりしたものもあり、家庭によって違いがあったとのこと。その後、シャコの漁獲が減りの代わりに穴子を具材とした品川めしになったという。この品川めしをヒントに、品川駅の弁当店だった常盤軒が品川丼を考案したということだ。
B級グルメかと思いきや、実は郷土料理をアレンジした地元ならではのメニューだった品川丼。現在、品川駅周辺は海から遠く離れてしまったが、お隣の京急北品川駅は、北品川商店街や船着場など昔ながらの雰囲気が色濃く残るエリア。品川駅で品川丼を食べて、ここいらを散策して昔ながらの品川に浸ってみてはどうだろうか。
※価格は税込