あなたのリクルートスーツ、フロントボタンはいくつ付いていますか。2つもしくは3つボタンだと思われますが、いずれの場合も、いちばん下のボタンは常に開けていますよね。

「アンボタンマナー」と呼ばれるルールは浸透していますが、その由来については意外に知られていないのでは。実はこの由来から、ボタン開け留めの謎が解き明かされるのです。

世間の常識:いちばん下のボタンは開けておく

今回は「スーツの着こなし理解を深める」ため、アンボタンマナーの由来について、『毎朝、迷わない! ユニクロ&ツープライススーツの上手な使い方』(WAVE出版)の著者が解説します。

敬意を示す着こなしをしよう

いちばん下のボタンを開ける着こなしは、諸説ありますが、1900年代初頭イギリス国王だったエドワード7世が関係しているようです。

当時スーツは「いちばん下のボタンを留める」設計でしたが、お腹が苦しくてボタンを外していた国王の姿を見た臣下たちが、「国王に恥をかかせないよう配慮し、自分たちもボタンを外した」ことが由来だといわれています。

このエピソードを通じ我々が学ぶことは、着こなしの正解は「相手に合わせる」ということ。そういう視点で見返したとき、これまで曖昧だった着席時におけるボタンの扱いがクリアになるのです。

ちなみに現代スーツは、「いちばん下のボタンを留めない前提で設計」され、留めると余計なシワが生じてしまいます。

  • いちばん下のボタンは、いかなる時も開けておく

着席時のボタン着こなしは、状況を確認しよう

ボタン開閉の正しい着こなしは、「直立時と着席時で変わる」といわれています。直立時は「いちばん下だけ開ける」が正解です。一方、着席時は「生地にシワが寄らないよう、テンションを分散させるため、全ボタンを開ける」が正解だといわれています。

とはいっても、ニュース番組で「ボタンを開けっ放し」にしたアナウンサーは見掛けませんよね。座っていても「あえて留める」ことでキチンとした印象をもたらしてくれるからです。

では面接の場合、一体どちらが正解なのでしょうか。アンボタンマナーの由来から、私は「面接官に合わせる」ことが正解だと考えています。面接官がボタンを開けているならば、あなただけ閉じているのは堅い印象ですよね。

人事担当者は留めているケースが多いでしょうが、営業部門などの現場担当者が面接官を務める場合、ボタンを開けて着席することも考えられます。

相手に合わせて自分のボタンも開け閉めすること。これで余計な心配から解放されるのです。正しい着こなしの実践とは、「正しい知識」を理解したうえで「相手に合わせる」こと。自信をもって面接に臨んでください。