私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1,000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。

また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方をまねすれば、誰でも1,000万円貯めることが可能というわけです。是非今日からまねしてみてください。

物欲にブレーキをかける

世の中、「ムダ使いをしよう」と思って、お金を使う人はいないものです。大半の人は、ムダ使いはしないように心がけているものですが、それでも欲しいモノは欲しいし、食べたいモノは食べたいし、遊びたいときには遊びたいものです。で、お金を使い過ぎて、給料日前になると「お金がない!」「今月もスッカラカン」ということになってしまいがち。

そんな沸き起こる物欲にブレーキをかける方法のひとつが、「自分の時給を計算してみる」ことです。

  • 沸き起こる物欲にブレーキをかける方法(画像はイメージ)

収入に見合ったお金の使い方

今さら言うまでもなく、お金は使ってこそ価値のあるものなので、貯め込む一方で、やみくもに使わないように節約する必要はありません。でも、自分の収入に見合わないお金の使い方は考えもの。続けていると、遅かれ早かれ、家計が破たんすることになります。

自分の収入に見合ったお金の使い方の手がかりになるのが、「自分の時給」を知ることというわけです。

自分の時給を計算してみる

計算方法は簡単です。

手取り月収÷1カ月の労働時間=時給

たとえば、手取り月収25万円、1カ月の労働時間が残業時間も含めて176時間なら、

25万円÷176時間=1,420円……時給

ということになります。

時給を算出することを、収入に見合ったお金の使い方に役立てるには、ここからが大事。自分が買いたいモノややりたいことをかなえるには、何時間、働く必要があるかを次に計算します。

たとえば15万円のブランドバッグなら

15万円÷1,420円=105.6時間(13.2日分)

ということは、15万円の高級ブランドバッグを買うには、105.6時間、1カ月の労働時間の半分以上をつぎ込む必要があるというわけです。確かに、15万円は手取り月収6割ですから、半分以上をつぎ込むことになるのは当然。

他にも2万8,000円のワンピースなら

2万8,000円÷1,420円=19.7時間(約2.5日分)

タクシー代2,500円なら

2,500円÷1,420円=1.76時間

ネイルケア6,000円なら

6,000円÷1,420円=4.22時間

何時間働いたら、この金額を払うことができるかと考えることで、財布のヒモを締めることに役立つはずです。一度、自分の時給を計算してみてください。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。