私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。

食材を捨てることはお金を捨てることと同じ

食費を減らすには"おうちごはん"がマストです。今回は、"おうちごはん"の2つ目のポイント、食材の保存について解説します。

特売でどんなに安く買っても、使い切れずに腐らせてしまっては元も子もありません。たとえば100円で買ったきゅうりが野菜室の片隅でシナシナになり、結局捨てることになれば、100円を捨てたのと同じこと。お金を捨てていては、貯まるわけがありません。

前回の「買い方を変えるとムダ買いがなくなる」で紹介した「週1回まとめ買い」の問題点の1つが「保存」です。まとめて買った食材を1週間持たせるためには、保存を工夫する必要があります。ここができなと、腐らせてしまい、「食材を捨てる=お金を捨てる」になってしまうからです。

お肉は冷凍しないで下味をつけて保存する方法もある

食材の保存というと「冷凍」が一般的です。いちばんしてはいけないことは、大量お買い得パックをそのまま冷凍室に入れること。塊りのまま凍ってしまうので、使いにくくなります。冷凍するなら、1回分=約100gずつラップに包んで小分け冷凍を。

食費やりくり上手さんの中で最近増えてきているのが、冷凍しない派。その理由は、(1)冷凍すると、おいしさがどうしても損なわれる、(2)解凍する手間がかかり、使いたいときにすぐ使えない、など。

冷凍しなくても、お肉を長持ちさせる方法が下味をつけることです。塩、しょうゆ、酒などの調味料やしょうがには、菌の繁殖を防ぐ働きがあるので、お肉を長持ちさせることができ、チルド室などで保存可。とはいうものの3~4日以内に食べ切るようにしましょう。

下味をつけるときのコツが、使う予定に合わせて、薄味から濃い味にすること。味を濃くするほど保存可能な期間は長くなりますが、いったん濃い味にすると用途が限定されるからです。早く使う予定のお肉から、次の順番で下味をつけます。

  1. 塩+酒

  2. 塩+酒+しょうが

  3. 塩+酒+しょうが+しょうゆ

野菜の保存法のポイントは乾燥を防ぐこと

野菜がダメになる原因は水分が失われることにあります。水分の蒸発を防ぐために、ビニール袋などに包んで、野菜室に立てて保存しましょう。寝かせると野菜を重ねることになり、下になった野菜が傷みやすくなります。

もやしを長持ちさせるには、水につけること。密閉容器にもやしを入れ、かぶるくらいの水を入れてフタをして冷蔵室へ。ねぎはそのままでは立てて保存することができないので、3等分にしてビニール袋に入れるか、2等分にして100円グッズのパスタ用保存容器に入れます。

使いかけの野菜をそのまま野菜室に入れると、迷子になりやすいので、まとめて密閉容器に入れ、野菜室の目立つ場所に置いておきましょう。

安く買った食材は食べ切ってこそ、食費ダウンにつながります。保存の仕方を工夫して、おいしく食べ切りましょう。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。