私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材をしてきました。その中には、貯蓄が1000万円以上ある人も、少なくありませんでした。その人たちが、とりわけ収入が多いというわけではありません。年収300万円台(手取り)というケースもたくさんありました。また、お金を使わないケチケチ生活をして、ギスギス暮らしているわけでもありません。要するに、お金のやりくりが上手なのです。ということは、そのやりくりの仕方を真似すれば、誰でも1000万円貯めることが可能というわけです。ぜひ今日から真似してみてください。

世の中、得することはなかなか難しい

収入を増やすことは容易なことではありません。毎月の給料の額は決まっているので、今以上の収入を得ようと思うなら、社内で昇給するか、もっと給料のいい会社に転職するか、サイドビジネスやアルバイトで稼ぐしかありません。

そうは言っても、なかなか難しいので、次にできそうなこととして、少しでも得することを考えるものです。たとえば、買い物では、特売品をまとめ買いしたり、安いスーパーのはしごをしたり、お得に買い物するためにポイントを貯めたり……。でも、実は、1000万円貯めている人の多くは、一見お得そうに思える、こういったことをしていません。というのは、これらのことには、実は、大きな落とし穴があるからです。

シャンプーやトイレットペーパーなどの日用品を特売日やポイント2倍デーにまとめ買いすると、お得なようですが、まとめ買いしたせいで、出費がかさんで予算が崩れたり、赤字になっては元も子もありません。やりくりで一番大事なことは、予算を守ることにあります。今月まとめ買いしたから、来月その分、買わずに済むと思いがちですが、それができるのはやりくり上級者。初心者さんは、月ごとの予算を守ることを優先させるのが無難です。

安いスーパーをはしごして、各店舗のお買い得品を買うのはお得なようですが、スーパーに行けば、安さにつられて、つい余計なモノを買いがち。特に、特売に弱い人はスーパーのはしごは、ムダ買いの危険性大。ムダ買いを防止する手っ取り早い方法は、スーパーに行かないことと、スーパーの滞在時間を短くすることにあります。

ポイントを貯めて買い物するのは、本当に欲しいモノや必要なモノを買って、その結果、ポイントも貯まるのでしたら、お得ですが、ポイント欲しさに買い物するのは本末転倒。また、有効期限が切れそうなポイントを使うために買い物するのもNG。やりくり初心者さんが、お得な買い物をしようとして陥りがちな落とし穴です。

実は、お金を捨てている!?

お金を捨てるなんて、とんでもない!!……と思います。でも、使い切れずに腐らせてしまった食材を捨てることはあります。100円で買った食材を捨てるのは、100円を捨てているのと同じ。見てもいないテレビのつけっ放しや、電気のつけっ放しも電気代を捨てていることになります。

このほかにも、スマホのアプリなどで使っていない有料サービスを契約しっ放し、手数料がかかる時間帯にATMをちょくちょく利用してしまう…など小さなムダをなくしましょう。チリも積もれば…の効果で大きなお得になります。貯めるためにどんなにやりくりを頑張っても、その一方でお金を捨てるようなことをしていては、貯まるわけがありません。ムダをなくすことこそが、お金を貯める近道なのです。

(※写真画像は本文とは関係ありません)

<著者プロフィール>

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。