「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは、「2021年以降の金融経済予測と投資対象の買い時」。

  • 2021年以降の金融経済予測と投資対象の買い時

「実体経済」と「金融経済」とは

経済には、「実体経済」と「金融経済」があります。

実体経済とは、商品やサービスの生産・販売、設備投資など、お金に対する具体的な対価がともなう経済活動のことです。その規模は、国内総生産(GDP)から物価変動の影響を除外した実質国内総生産によって示されます。

一方、金融経済とは、実体経済から派生した金利や、金融取引、信用取引、オプション取引など、資産の移動自体がもたらす利益の総体のことです。金融経済は、「資産経済」と表されることもありますが意味は一緒です。

2021年以降の世界経済予測

コロナショックの影響は長引いており、実体経済はボロボロと言って良い状況でしょう。ところが、一部の株価やビットコインなどは上昇を続けています。政府の税収は、法人税や所得税などの実体経済から入ってきていますが、2020年度は株のキャピタルゲイン等、金融経済からの税収アップとなったでしょう。

未来を予測するのは極めて難しいことですが、金融経済がこのまま右肩上がりということはないと思います。世界的なカネ余りによってお金が金融商品に流れているだけですので、いずれ株価等は下落に転ずるでしょう。考えられるのは、以下のような流れでしょうか。

1.コロナショックによって、実体経済がボロボロになる
2.失業者が増加
3.FRB(連邦準備制度)による金融緩和。株や債権の買い支え
4.通貨供給量は増加するものの、お金は設備投資などの実体経済には流れず金融市場に流れる
5.金融市場がバブル化
6.株のキャピタルゲイン等により、政府の税収は増加
7.設備投資しないため、実体経済の生産能力はほとんど変化なし
8.需要供給バランスが崩れ始める
9.インフレ基調が明確に。不動産などのバブルが顕著に
10.FRBが利上げを行い、住宅金利が高騰。よって、不動産の投資利回りが低下
11.株や債券などの金融市場が低迷を始める
12.実体経済の景気が低迷を始め、再度不景気になる
13.失業率がますます増加し、所得格差が拡大
14.3に戻り、FRBによる金融緩和が再び始まる

実体経済も金融経済も、上がったり下がったりをくり返しながら成長しています。成長の過程では淘汰もあり、潰れる企業と生き残る企業、勝ち続ける企業が出てくるでしょう。 「コロナショックが企業の勝敗を明確にした」という声もありますが、変化に対応できるかどうかが明暗を分けるのはいつの時代も変わりません。今後も生き残る投資対象を見つけ出すことができれば、株式投資や仮想通貨(暗号資産)投資、不動産投資などで利益を出すことができるでしょう。

投資対象の買い時はいつ?

では、株や仮想通貨(暗号資産)の買い時はいつなのでしょうか。

『仮想通貨の買い時と売り時』でご紹介したように、基本は「安く買って高く売ること」です。底値で買えればベスト、ということになるのですが、狙って底値で買うのは極めて難しいですし、底値を探っているうちに買い時を逃すのが普通でしょう。「もっと下がるのではないか」と考えてしまうのが人間の常です。

心理に影響されて買い時を逃すくらいなら、淡々と買った方が長期的には利益になりやすいかもしれません。そんなとき検討したいのが、「ドル・コスト平均法」です。

ドル・コスト平均法は、株式や投資信託などの金融商品の投資手法の一つです。「定額購入法」とも呼ばれています。金融商品を購入する場合、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して投資します。投資するタイミングを分散させる手法です。

一部の株価や仮想通貨(暗号資産)は、上がったり下がったりをくり返していますから、「いずれ値が戻る」か「将来的には上昇する」と思われる投資対象であれば、ドル・コスト平均法で月々買い足し、暴落したときは普段より多めに買い足すのが買い時を逃さない投資方法と言えるでしょう。