「東京は物価が高いので、生活費が高い」または、「地方は物価が安いので、生活費が東京に比べてあまりかからない」と世間でよく言われていることは、本当なのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京から地方へ移り住んで感じたことを交えながらお伝えいたします。

東京と地方の映画館

みなさんは、映画館で映画をご覧になりますか? 私は東京在住の頃、大型商業施設が建ち並ぶ地域に住んでいたため、1つの街の中に映画館が複数ありました。

1つの映画が大ヒットすると、シネコン(※)と呼ばれている大型映画館は、上映するスクリーンの数や時間帯を増やしているようで、大ヒット映画といわれる作品でも、チケットを購入するために並んだり、次の上映時間を待ったりすることなく、希望している日時に映画を観ることができました。

(※シネコンとは、シネマコンプレックスの略で、1つの施設内に複数のスクリーンを備え、映画を同時に上映できる複合型映画館をいう。)

現在住んでいる地域では、主要駅近辺に1つの映画館があるだけですが、東京のシネコンのように大ヒット映画だけを複数のスクリーンで上映する手法ではなく、様々なジャンルの映画を上映しているようで、上映スケジュールを見ただけでも、興味が湧く映画がありました。そこで今回は、映画館について調べてみました。

都道府県別・映画館数(平成28年度末現在)

都道府県別の映画館数を見てみましょう。全国で1,448館あり、圧倒的に東京都が多く全体の約2割で288館、次に福岡県で173館あります(黄色で表示)。

この2つの地域で映画館数全体の約3割を占めます。最も人口の多い地域である東京都が映画館数も多いのは納得しますが、人口の多さと映画館数は、必ずしも比例するとは限りません。

  • (表1)都道府県別・映画館数
    ※出典「平成28年度衛生行政報告例の概況」(厚生労働省)の「統計表8 生活衛生関係施設(者)数、都道府県-指定都市-中核市(再掲)別」を一部加工して作成

人口の多い主な地域として、神奈川県、大阪府、愛知県の映画館数はどれも2ケタ台です(緑色で表示)。神奈川県と大阪府と愛知県、それぞれの地域の2倍以上の映画館がある福岡県は、「映画館で映画を観る醍醐味」を味わう方が多いのかもしれません。

映画館でのチケット料金

映画館で映画を鑑賞する際にはチケットを購入します。大人(一般)の通常料金は、税込み1,800円です。プレミアムボックスシートや、特殊な3D映画などは、一定の上乗せ料金が発生します。各映画館では、チケット料金の割引サービスを行っています。最も有名な割引サービスは、毎月1日ではないでしょうか。

  • (表2)主な映画チケット割引サービス
    ※各映画館のHPを参考に執筆者作成
    ※割引サービスの名前、設定日や割引料金は、各映画館で異なることがあり、一部の作品では割引サービスが利用できない場合もある

映画の日が12月1日ということで、12月1日だけでなく、毎月1日に割引を行う映画館が多いです。他にも性別で分けてサービスを行うメンズデイやレディースデイ、一定の年齢になると割引を利用できるシニア割引や夫婦50割引などがあります。表2にある割引サービスが必ずしもすべての映画館で行われているわけではないので、行く予定である映画館の割引サービスの種類を事前にホームページなどでチェックしてみてください。

終わりに

今回は、映画館について調べてみました。現在は、DVDやインターネット経由での動画配信サービスなどで、自宅にいても映画を観ることができます。私自身も映画館に足を運ぶことより、自宅で映画を観ることの方が多いです。しかし「この映画は面白そう!」と直感で感じた映画は、映画館で観るようにしています。

大きなスクリーンで観る映画は、非日常の世界を体感でき、良いリフレッシュにもなります。「映画館内は寒い」と感じる方もいらっしゃるでしょう。衛生上の理由で映画館のひざ掛け(ブランケット)の貸し出しサービスを中止している映画館もありますので、体が冷えやすい方は、ひざ掛けやストールなどをご持参されることをお勧めします。

現在住んでいる地域の映画館数は東京に比べてかなり少ないですが、あふれ返るほどの人々が街中にいるということはないので、映画館内が混雑していることは少なく、快適な空間で映画に集中できます。娯楽施設数が多いことと、娯楽を快適に楽しめることは、比例するとは限らないと思います。

高鷲佐織(たかわしさおり)

ファイナンシャル・プランナー(CFP 認定者)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DCプランナー1級。

資格の学校TACにて、FP講師として、教材の作成・校閲、講義に従事している。過去問分析を通じて学習者が苦手とする分野での、理解しやすい教材作りを心がけて、FP技能検定3級から1級までの教材などの作成・校閲を行っている。また、並行して資産形成や年金などの個人のお金に関する相談を行っている。