「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。 お金の取扱いについて注意することは、都心部と地方部では、違いはないのでしょうか。
連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか? 」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。
液化天然ガスなどの輸入価格高騰の影響で、日本国内の電気料金やガス料金が上昇しています。さらに今後も値上げが続くと言われています。多くの食料品や日用品の価格が上昇しているなか、光熱費も上昇すると、「家計の見直しをしなければ」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、東京と地方の暮らしを転々としている私が、「都市ガス」、「LPガス(プロパンガス)」そして「オール電化」の住宅での暮らしを経験したことを踏まえ、それぞれどんな特徴があるのかをお伝えしたいと思います。
「都市ガス」の特徴
都市ガスの主原料は液化天然ガス(LNG)です。石油や石炭などの化石燃料と比較すると、地球温暖化や環境汚染の原因となる二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が少ないと言われています。私が都市ガスを使用しているなかで、気になったのは「不完全燃焼を起こしてしまう」ことでした。下記の場合に、不完全燃焼を起こしてしまう可能性があります。
【1】換気が不十分で新鮮な空気が不足している場合
【2】ガスコンロのバーナーが目詰まりを起こしている場合
【3】ガスの種類に合わないガス機器を使用している場合
※【1】都市ガスが完全に燃焼するためには、都市ガス1に対しておよそ14倍の空気が必要となりますので、都市ガスを使う時には、十分換気をしてご使用ください。調理中は、台所の換気扇のご使用を忘れずに。
※【3】「ガスの種類に合わないガス機器」とはどういうことか。都市ガスでは、5C、6A、12A、13Aなど、ガスの種類によって数字とアルファベットを使って分類されています。頭の数字は、ガス1立方メートルあたりでの発熱量を表しています。たとえば、東京ガスや大阪ガス、北海道ガスなどは13Aです。したがって、ガス機器もガスの種類に合ったものを使用しないと、火災や不完全燃焼を起こす場合があるので、注意が必要です。ガス機器には、ガスの種類が表示されたラベル(12Aや13Aなど)などが貼られていますので、引っ越しする際にガス機器も持っていくときは、引っ越し先のガスの種類を確認の上、使用するようにしましょう。
「LPガス」の特徴
LPガスは、都市ガスとは異なり、主原料は液化石油ガスです。家庭用のガスでは、「プロパンガス」と言われることもありますが、LPガスの一種としてプロパンガスがあります。ちなみに、業務用のLPガスにはブタン、家庭用のLPガスにはプロパンが多く含まれているので、家庭用のLPガスを「プロパンガス」と呼ばれることが多いようです。
LPガスと都市ガスでは成分や発熱量が異なることもあり、ガスコンロや給湯器などの機器もそれぞれ異なるものを使用しなければなりません。ガスコンロなどをご購入の際には、LPガス(プロパンガス)対応の機器なのか、ご確認した上でご購入してください。
「LPガス」の大きな特徴は、災害時に強いということではないでしょうか。地下の配管を通して供給される都市ガスは、地震などの災害時にガス管に亀裂が入ったり、破損したりして供給途絶した場合、すぐにガスの供給が復旧できるかは不明です。しかし、LPガスは、ボンベ内から直接家庭に引き込んでいるため、災害発生時の復旧が早いと言われています。
「オール電化」の特徴
調理、空調、給湯などの熱源をすべて電気で賄っていることを「オール電化」といいます。もっとも知られているのは、電気を使って調理をする「IHクッキングヒーター」ではないでしょうか。ほかにも給湯では、「エコキュート」や「電気温水器」を使ってお湯を沸かします。オール電化では、「火」を使わないため、ガスよりも安全性が高いと言われていますが、私個人としては、「IHクッキングヒーター」を使用中に、間違って表面を触ってやけどをしてしまうのではないかと最初は不安でした。しかし、主電源と各コンロの電源があり2段階設定になっていたり、高温注意の点滅表示があったり、IHクッキングヒーター自体をロックできる機能もあり、安心して使用することができました。また、ガスコンロとは違い表面がフラットなため、掃除が楽でした。
ただし、電気料金プラン自体が上昇すると、「ガス」の利用と比べて、光熱費が高くなる場合があります。
現時点の私個人の経験としては、費用面では、「都市ガス+電気」の組み合わせが最も安かったのですが、これは、住んでいる地域や住宅の広さなどによっても異なります。「都市ガス」、「LPガス(プロパンガス)」そして「オール電化」、それぞれ特徴があるように、注意点も異なります。ご自宅の暖房器具などを出した際に、注意事項を今一度ご確認していただき、安全にご使用していただきたいと思います。