漫画家・コラムニストとして活躍するカレー沢薫氏が、家庭生活をはじめとする身のまわりのさまざまなテーマについて語ります。

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今回のテーマは「占い」だ。

世の中には占いを信じる人間と信じない人間、そしてその中間がいる。

いつも通り、何か言っていそうで何も言っていないスタートだが、事実である。ちなみに私は中間層だ。

中間層というのは、積極的に占いに行くことはないが、雑誌の占いページや、めざましテレビで今日の占いをやっていれば、そのまま口を開けて見て「へえ~7位か~」と言ったりするタイプのことだ。

ちなみに占いを信じないタイプはこの時点で、雑誌をシュレッダーにかけて、テレビをツルハシで破壊している。

このように、占いが嫌いな人間はとことん嫌いであり、占いはもちろん、神社のおみくじさえ嫌がる。

無理に引かせようとする者がいたなら、みくじの代わりに、そいつの体を枝にかた結びしてやるという、神の御前で猟奇事件も辞さない構えなのだ。

占いを嫌う理由はさまざまだろうが、おそらく根拠のないこと全般が嫌いなのだろう。

私も占いに根拠があるとは思っていないが、その結果に「力」があるのは確かだと思っている。

いわば占いというのは、女にとってのダイエットサプリ、男にとっての赤マムシみたいなものなのではないだろうか。

本当に効果があるかどうかは関係ない。

ただ「飲んだ」という事実が、3トン痩せた気にさせたり、いつもの夜より大きさやタイムを伸ばせそうな気にさせたりするのだ。

つまり、気分を上げる効果があるのは確かであり、この気分というのは人間にとってかなり大事だ。

「気分じゃない」という理由でありとあらゆる申し出を断って良いと思っている人間がこの世にはいるのだから、相当「気分」という奴は重要に違いないのである。

つまり、占いで結果が良ければ、気分が上がり、結果的に本当に良い1日を過ごせる、ということもあるのだ。

だが、サプリや赤マムシは「効果はランダム」というパルプンテ仕様ではなく、飲めば基本ポジティブなことが下半身などに起こる、という設定である。

しかし占いの場合は、「結果が悪い」ということもあるのだ。

つまり、占いが良い結果で気分が上がるのと同様に、悪ければ下がり、その日1日が台無しになったりもする。

幸い私は実力がゼロなので、何をかけてもゼロなのだが、少しでも実力のある方だと、その日の占いにより、出せる実力が変わってしまうかもしれないのだ。

おそらく占い否定派は、そんなワケのわからんものに、俺様の行動を左右されたくない、というのもあるのではないだろうか。

確かに、良い結果には懐疑的で、悪い結果は信じる、というネガティブなタイプは、占いにより余計人生が暗くなる可能性が高いので、「占いは見ない」という判断こそが「吉」である。

しかし、何だかんだ言って占いの需要は高いようで、まるまる1冊占い、という雑誌も存在する。

それだけ占いだらけだと、どれを信じていいかわからない気もするが、それも占いで決めれば良い、ということだろう。

ちなみに占いなどのスピリチュアル系雑誌は、初心者向けと上級者向けがあり、初心者向けは一見でも大丈夫だが、ハイレベルなものになると宇宙の仕組みを理解していること前提で話が進む。

初見では解読すら不可能なので、選ぶ時は注意が必要だ。

私はそういう雑誌をわざわざ買う方ではないが、先日仕事で1冊もらうことがあった。

早速占ってみたところ、どうやら2019年私は「絶頂期」にあるらしい。

絶頂にしては見える景色が低い。他人のスネ毛しか見えないのだが、確かにそれが私の絶頂な気もする。

それは良いが、来年以降私の運勢は急降下し、数年どん底になるらしい。

もはや来年以降生きている気がしない。

このように、根拠もないのに、生命の危険すら感じてしまえるのが、占いの怖いところだ。

しかし、逆に言えば「全部運気のせいにできる」とも言える。

よって来年以降、どれだけ連載が打ち切りになろうと「実力に見合う運がなかった」の一点張りでいこうと思う。

また、今ですら十分低いのだから、そこから急降下すれば、ブラジルの遥か上空に到達する可能性がある。

つまり「ブラジルで大成功の予感」である。

このように、どんな結果が出ても、それをどう解釈するかは自分次第である。

結果が良かろうが悪かろうが、過信しすぎてトチ狂った行動をとれば、どっちみち悪い結果になってしまったりするのだ。

ただ、占いよりも「自分」の信頼度の方が明らかに下回っている、という場合は、全部占いに決めてもらった方がまだマシかもしれない。

よって今後、株など投資をやる時は、占いで決めようと思う。

今まで自分で選んだものは全部マイナスだったのだから、まだ占いで買った方が儲かりそうな気がする。

損しても「占いのせい」に出来て一石二鳥だ。

筆者プロフィール: カレー沢薫

漫画家・コラムニスト。1982年生まれ。会社員として働きながら二足のわらじで執筆活動を行う。デビュー作「クレムリン」(2009年)以降、「国家の猫ムラヤマ」、「バイトのコーメイくん」、「アンモラル・カスタマイズZ」(いずれも2012年)、「ニコニコはんしょくアクマ」(2013年)、「負ける技術」(2014年、文庫版2015年)、Web連載漫画「ヤリへん」(2015年)など切れ味鋭い作品を次々と生み出す。「やわらかい。課長起田総司」単行本は全3巻発売中。