中小企業の経営課題に対応すべく診断や助言を行う「中小企業診断士」という資格をご存知でしょうか。

経営コンサルタントとして唯一の国家資格として認められている中小企業診断士は、変化の大きい社会の中で需要が高まりつつあるようです。

今回は、中小企業診断士の資格や仕事内容、難易度などについてまとめてみました。

  • 中小企業診断士の資格は仕事にどう役立つ?

    中小企業診断士ってどんな資格?

中小企業診断士の仕事とは

中小企業診断士は、企業が売り上げ増加やコスト削減といった経営目標を達成するための、適切な提案・助言をすることがおもな仕事です。

まず、調査やヒアリングによって企業の現状分析をし、成長戦略を実施するための具体的な経営計画を提案します。そして、提案による実績やその後の経営環境の変化に基づいたサポートも行います。

また、中小企業の経営に関する提案のみならず、中小企業と行政や金融機関等をつなぐ役割も担っています。近ごろは、以前よりも社会における中小企業の存在感が増しているため、中小企業診断士に寄せられる期待は大きくなっています。

どんな知識や能力が必要?

では、中小企業診断士の資格を取得するには、どのような内容を学ぶ必要があるのでしょうか。中小企業診断士は、まずは幅広い専門的知識や思考力が求められます。

中小企業診断士試験の一次試験では、「経営学・経営政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7科目を受験しなければなりません。

その中で、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)の活用に関する横断的な知識が身につくため、業界や職種を問わない提案・助言が可能となります。

さらに中小企業診断士は、企業の課題を分析して助言するためのコンサルティング能力や、企業に代わって経営革新を促進する力が問われます。こちらはおもに、二次試験で必要となる能力です。

中小企業診断士の資格は、ただ難しい専門知識を得るだけではなく、問題を見つけて分析し解決するための論理的思考力や、企業の経営パートナーとしてのコミュニケーション能力まで求められるプロフェッショナルであることがわかります。

合格にはどのくらい勉強が必要?

経営コンサルタントとして高度な知識が求められる中小企業診断士。ビジネスパーソンに人気のある資格ですが、取得するにはどうすればいいのでしょうか。中小企業診断士として登録されるまでには、2通りの道があります。

1つ目は、先述した7科目を受験する一次試験に合格したのち、二次試験として「中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅰ~Ⅳ」の4科目(口述試験および筆記試験)を受験して合格し、15日以上の実務補習または診断実務従事を行い、中小企業診断士に登録される方法です。

もう1つは、一次試験ののち、中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を経て、中小企業診断士登録にたどり着く方法です。

それでは、試験の合格率はどのくらいなのでしょうか。2017年度の一次試験の合格率は21.7%、二次試験の合格率は19.4%でした。一次試験、二次試験ともに、合格率は毎年20%前後を推移しているようです。

合格率からすると、計画的に試験範囲を勉強できれば合格は難しくない試験と言えるでしょう。が、中小企業診断士は試験への申し込み人数に対して受験者数が少ないという特徴があるようです。

これは、試験範囲の広さから受験を断念する人が多いことを示しています。しかし、中小企業診断士の試験は2006年度より科目別合格が適用されているため、受験のハードルは以前より下がっています(3年以内に全ての科目を合格することで一次試験合格)。

中小企業診断士の試験に合格するための勉強時間は、一般的には1,000時間程度と言われています。働きながら資格の取得を目指す人がほとんどのようですが、ネックはやはり時間の確保でしょう。

1年間で一次試験のストレート合格を目指すのか、それとも、コツコツと科目別合格を狙うのか、まずはしっかりと計画を立てることが重要です。

仕事にはどのように活かせる?

中小企業診断士の資格は、仕事においてどのように活かすことができるのでしょうか。

まず、中小企業診断士の知識をもとに企業内のさまざまな部署で活躍する「企業内診断士」として働く方法があります。コンサルティングが必要な部署はもちろん、企画や開発、営業など部門を問わず中小企業診断士の人材が求められています。

なお、会社によっては、中小企業診断士の資格を持っていることで、資格手当が支給されたり昇給の武器になったりもします。就職や転職の際にも、資格が有利となるでしょう。

また、中小企業診断士は独立開業も可能です。経営コンサルタントとしてコンサルティング業務に携わるほか、講演会の講師や執筆活動を行う人もいます。

いずれにしても、中小企業診断士の資格を取得するための学習内容は、ビジネス感度を高め、論理的思考を養い、ビジネスパーソンとしてのスキルを飛躍的に向上させてくれます。

このように業種や職種を問わず活躍が期待できる資格であることが、人気のポイントなのでしょう。

ビジネスパーソン必須のスキルが身につく

中小企業診断士は、取得の課程でどのような仕事にも役立つスキルが身につく資格です。ビジネスパーソンが取得したい資格として常に上位に位置するのも、納得でしょう。

学習範囲が広いだけでなく論理的思考も求められる試験内容となっていますが、取得できれば仕事に大きなプラスとなるのは間違いありません。就職や転職を考える場合だけでなく、現在の自分の仕事に活かすこともできそうです。

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント

会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中。

イラスト=竹村おひたし