RevolutとIDAREという2つの決済サービスが、期せずして同じような「共同」機能を発表しました。Revolutは海外でも提供しているサービスの日本版として「共同アカウント」を、IDAREは「ボックス共有機能」を追加したもので、家族に限らず支払いを一元化できるなどのメリットがあります。

増えてきた「共同」サービスの今をまとめてみました。

  • Revolutの共同アカウント

    Revolutの共同アカウント

2人のRevolutユーザーが1つの残高を共有する「共同アカウント」

Revolutの共同アカウントは、2人のRevolutユーザーが1つの残高を共有する機能です。お互いのアカウントから共同アカウントに残高を移動して、そこから使うという形になります。自分の支払いは自分のアカウントから、2人のための買い物では共同アカウントから支払う――というのが基本的な使い方です。

共同アカウントの残高は、それぞれに個別のカードを発行して使えます。Revolutではスマートフォンでのタッチ決済で支払うバーチャルカードと物理カードの双方が発行可能ですが、共同アカウントでもこれらを個別に発行できます。

  • 共同アカウントの画面1

    Revolutの共同アカウントは、個人アカウントから送金するなどして残高をチャージします。基本的に同種のサービスは同様の機能です

複数のカードを発行できるので、日々の生活のためのスーパーでの買い物には共同アカウントのカードを使うようにすれば、利用金額を後でまとめて割り勘にするといった作業は不要です。

  • 共同アカウントの画面2

    後述するように、「いつ」「何に」「誰が」支払ったかが即座に分かる点もメリットの1つ

旅行に行くときだけ共同アカウントを使って、現地の支払いをまとめるといった一時的な使い方もできます。

  • 共同アカウントの画面3

    Revolutでは共同カードを複数枚発行できるのも強みです。発行できるのは1人あたり最大10枚(リアルカード6枚、バーチャルカード4枚)

用途別に作るボックスを他のユーザーと共有するIDAREの「ボックス共有機能」

IDAREは、もともとアカウント内で複数のボックスを作成して、いわば用途別の口座を持つような機能がありました。このボックスの一つを別のユーザーと共有するのがボックス共有機能なので、この点はRevolutとは少し異なります。

  • IDAREのボックス共有機能

    IDAREのボックス共有機能

IDAREのボックス機能は、海外旅行のために貯める、趣味のために貯めるといったように、目標を決めてその金額をボックスに入金して貯めていくという機能です。手動で入金するだけでなく、自動積み立て機能も備えています。

ボックス共有機能で共有したボックスに対しては、本人と共有相手が自由に入金できるようになり、同じように目標などを定めてお金を貯めて、その残高をお互いのIDAREで使うことができるようになります。

  • ボックス共有の共有相手や用途

    Revolutと同様、「共有」相手は問わないのも特徴

IDAREは、毎月の平均残高と入金額に応じて年率2.0%のボーナスが付与され、自動積み立て機能など貯めることを重視した決済サービスです。さらに海外での外貨決済で手数料が(現時点では)かからないため、海外利用で最もお得なカードの1つです。Revolutも、外貨を購入しておけば手数料が掛からずに外貨支払いができますので、どちらも海外旅行に強いカードと言えます。共同アカウント(共有ボックス)にお金を貯めて、二人で海外旅行に行くといった使い方は良さそうです。

ボーナスもあるので、「貯める」という意味ではIDAREの方がトータルでは有利ですが、Revolutは複数のバーチャルカードを発行して使い分けができますし、スマートフォンでも決済ができる点などのメリットもあります。

ポイントは、どちらも「2人」の関係性を問わないという点です。法律上の夫婦や血縁上の親子などだけでなく、事実婚でも恋人でも、友だち同士でも共同・共有ができます。

「ペア」で支払いを管理できる

こうした機能は、両社が初ではありません。もともとクレジットカードには「家族カード」という存在があります。ただし、これはそもそもの与信があり、本会員と生計を同一にしている必要があるなどの条件があります。厳密に「家族」である必要はないので別姓でも発行可能な場合もありますが、同居やパートナーシップ関係が必要なことが多いようです。親子や友人同士といった関係では発行できません。

この家族カードに近いのが、三井住友カードが2020年3月にリリースした「かぞくのおさいふ」。「共通のおさいふ」にチャージしておけば、「家族会員」に対して発行したプリペイドカードで支払いができるというものです。6歳以上の子どもも利用できますが、「本会員が承認した家族で三井住友カードが適格と認めた家族会員」という規約があるので、基本的には一般的な家族という定義に当てはまる人が対象のようです。

  • 三井住友カードの「かぞくのおさいふ」

    「家族」での利用に特化したのが三井住友カードの「かぞくのおさいふ」

2021年には、Kyashとスマートバンクの「B/43」(現ワンバンク)が共有サービスをリリースしています。

Kyashの「共有口座」は、作成した口座に対して参加メンバーがチャージをして、その金額内で支払いができるというものです。通常の自分のKyashカードでの支払いで、アプリから支払い口座を共有口座に設定する形です。メンバーの関係性は問わず、最大100人まで参加できるというのが特徴的です。チャージ残高を個人残高に出金(送金)することも可能。

  • Kyashの共有口座

    口座間で残高を移動して共有できるKyashの共有口座

現ワンバンク(当時B/43)のサービス「ペア口座」は、ペア口座専用プリペイドカードが発行でき、チャージした残高からそれぞれが支払いできるようになっています。

  • ワンバンクのペア口座

    現ワンバンク(当時B/43)はペア口座としてサービスを提供

サイト上では夫婦以外のカップルでも使える点がアピールされていますが、利用にあたっては特にカップルやパートナーである必要はないようで、ワンバンクユーザーであれば利用可能となっています。子ども向けにジュニアカードも用意されています。

ワンバンクは家計簿サービスなので、家計管理に優位性があるほか、家計簿利用でも貯まるポイントをチャージするといった機能もあります。

共同利用サービスは自由度を高める方向へ

こうした決済サービスは、基本的にはプリペイドカードやデビットカードの仕組みなので、即座に引き落としされ、利用が即時分かることから、家計管理もしやすく、誰が使ったのか、何に使ったのか管理しやすいといったメリットがあります。

直接の決済機能がないサービスでは、夫婦のお金の管理・貯金アプリ「OsidOri」が2019年に登場。既存の支払い手段や銀行口座などを登録して、その情報を共有することができるというサービスです。

  • OsidOri

    家計簿系のサービスでは、OsidOriがデータの共有に対応

こうした家計管理系では、Zaimの「ペア家計簿」、マネーフォワードの「シェアボード」などもあります。

こうした共同で利用できるサービスは、サービス側にとってはセットで利用してもらえることになるので利用者の拡大が期待できます。「ペア」である限りは利用の継続が期待できるというメリットもあります。旧来の「家族」にとらわれない新しい形の関係が増えていることもあって、家族カードよりも自由度の高い共同アカウントのようなニーズが高まっているのかもしれません。

ユーザー側にとっては、毎回チャージや割り勘をする必要がなく、いつものカードを使えば、そのまま2人で共同で支払いができる利便性があります。家計や支払いをどちらか一方にすべて頼り切るのとも違う、新たな関係性の2人にとっても使いやすいサービスとして、一定のニーズはありそうです。