月曜日のオフィスって寒いですよね? 土日の休みで建物自体が冷えてしまうからだと思いますが、暖房が効いてくるまで本当に寒い。朝から温かい汁物が欲しくなります。缶詰にも汁物があるのか缶詰博士に訊いてみると「すごいのがあります。あれを見ると人は3回驚きます」と断言。3回って、いったい何ですか博士?

  • ゆのたに大沢事業部「またぎ汁」。3~4人分が入った大型缶

中身に驚く

まずはこの画像を見ていただきたい。鶏肉、にんじん、大根などさまざまな具が見えるが、これらはすべて缶詰に入っていたもの。あとから足したものは何もないのだ。何という豪華絢爛(ごうかけんらん)な缶詰でありましょう! 

しかしこれだけ豪華なのに、商品名は「またぎ汁」という。またぎとは、クマやイノシシを狩るために山奥を駈けめぐる猟師たちのことで、いわば男臭~い集団である。豪華な中身に対してそのネーミングとは、一体どんな意図があるのか?

  • 漢(おとこ)を感じる毛筆体

サイズに驚く

これが全体像。直径10センチ、高さ12センチという巨大なサイズで、中身は820グラムも入っている。片手でつかむと落としそうになるくらいの重さだ。振り回せば凶器にすることだって可能だ(そんなことしちゃいけません)。

ラベル上部に「奥只見(おくただみ)猟師鍋」とあるが、これが中身を表している。猟師すなわちまたぎが山小屋で食べる鍋をイメージして造られたわけであります。となれば、肉はクマとかイノシシのほうが気分が出るのだけど、それは調達が大変なので鶏肉で代用。しかしワイルドさは残したいのか、何と骨付きのまま入っている。

  • 家でこれだけの具を揃えるのは大変

味に驚く

かくのごとし。中身を鍋にあけて温めてみた。こうして見ると、具には舞茸、なめこ、細竹なども入っている。家庭でこれだけ多くの材料を揃えるのは大変である。

中身をお椀によそっていただくと……。うっ、ウマい。想像の2倍くらい美味しい。根菜、きのこ、鶏肉のうま味が重層的に混ざり合っており、それでいてごった煮のような雑さがない。何というか、味にくすみがないのだ。

鶏肉に濃厚な味があるのも嬉しい。通常、煮物の肉は時間が経つほどうま味が抜けてしまうが、これは違う。きっと骨ごと煮込んだおかげだと思う。

ものものしい外観とネーミング。しかし中身は豪華絢爛。そのギャップもまた魅力の缶詰であります。

缶詰情報
ゆのたに大沢事業部/またぎ汁(820g)
参考価格5,010円(6缶セット、税込み)
同社通販サイトなどで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
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