気になっているけど一度も食べたことがないものって、ありますね。私にとってはホヤがその代表です。苦みがあって、特有の匂いもあって、でもそれを乗り越えればやみつきになるとか。最初のハードルが高すぎます(笑)。

「そんなあなたにはこれ!」と、どこかで聞いたことのある台詞で迫ってきたのは缶詰博士。「ホヤは加熱するとマイルドになります。なのでまず缶詰から入るのがオススメなんです」。

なるほど、そうなんですね博士。ていうか、ホヤも缶詰になってるんですか?

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  • カンナチュール/ホヤのアクアパッツァ 税込1,296円(写真:マイナビニュース)

    カンナチュール/ホヤのアクアパッツァ 税込1,296円

溺れた時の味

食用ホヤは宮城県以北の海で育つ。なので東北出身の僕にとって、ホヤの刺身や酢の物は幼時から見慣れていた。でも好きなわけじゃない。苦みもさることながら、磯臭のダイレクトさがきつい。まるで海で溺れた時の味なのであります(個人的な感想です)。

しかし蒸しホヤというのを初めて食べて、見方が変わった。加熱することで溺れた匂いは消え(個人的な感想です)、うまみがぎゅっと凝縮されていた。

このカンナチュールの「ホヤのアクアパッツァ」も、オリーブ油やにんにくと一緒に煮てあるから、きっとおいしいはずであります。

  • ホヤのアクアパッツァ内観

    ホヤのアクアパッツァ内観

まずローリエ

さあ本日もご唱和下さい。開缶!
と、まず目に映るのは大きなローリエの葉1枚。ちょっと拍子抜けしたような、でもほっとしたような。

ホヤということで若干身構えていたので、このワンクッションがあって良かったかもしれない。

このローリエとにんにくのおかげで、全体の匂いは完全なイタリアンだ。その合間に、あの懐かしのホヤちゃんが「あ、どうもご無沙汰です」という缶じで匂ってくる。それはつまり磯っぽい匂いである。若干不安になってきた。

  • ホヤ箸上げ

    ホヤ箸上げ

大きくてプレッシャー

主役のホヤを箸上げすると、この有様。デカい、デカ過ぎるぞ。持ち重りするほどのサイズだ。

いつもなら主役は大きければ大きいほど嬉しい。例えばこれが牛肉だったらどうだろう。ありがたくて小躍りするはずだ。

しかし、今回はプレッシャーである。「加熱してるから大丈夫」と編集部に言った手前、大丈夫じゃなかったら困る。ビリー・ジョエルも耳元で「プレッシャー!」と叫んでいる(1982年のヒット曲)。

  • 手前はにんにく、パプリカ、ケッパー(缶に入っている)

    手前はにんにく、パプリカ、ケッパー(缶に入っている)

イタリアンとして缶成

かくのごとし。逃げをうってひと口サイズにカットしてしまった。真のホヤ好きなら、あのままがぶりがぶりとかじっていけたはずだ。

しかし、こうして切って分かったこともある。内側のオレンジ色が鮮やかなのだ。表面はだし巻き卵のように淡い黄色だし、その対比が美しい。

ともかく、ひと口いってみましょう。むむっ、あれれ。おいしいです。
味付けがとてもいい。イタリアンとして缶成しているし、ケッパーの野趣溢れる風味も利いている。赤いパプリカもうまみを添えて、その結果、海で溺れた時の味はきれいに消えている。

飲み込んだあとに特有の苦みが出てくるが、それも透明感があって、いやな苦みではない。ホヤにトライしたい御仁には、間違いなくオススメであります。

缶詰情報
カンナチュール/ホヤのアクアパッツァ 税込1,296円
カンナチュールの直販サイトなどで購入可