ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第63回は「#ポークビンダルー」。ポークは分かるが、ビンダルーって?

  • 一見、普通のカレーだが、食べると“すっぱ辛い”がクセになるポークビンダルー

調査によると「ポークビンダルー」とは、スパイスカレーの一種で、ポルトガル人からインド西海岸中部のゴア地方に伝承され、今やゴアの名物ともいわれている料理とのこと。 その特徴は印象的な“すっぱ辛い”味わい。豚肉にスパイスとニンニク、さらにワインビネガーなどのお酢をたっぷり合わせて煮込んでいるので、辛みと酸味のバランスが絶妙。お酢に漬け込むのでお肉もしっとり&ホロホロになり、クセになる人が続出らしい!

昔から存在しているインドのローカル料理らしいが、その個性が現在のスパイスカレーブームの中でも際立ち、Instagramではハッシュタグ「#ポークビンダルー」の投稿数が約3.3万件(2022年5月上旬時点)。レシピサイトのクックパッドが発表した「食トレンド予測2022」にもポークビンダルーの名前が挙がっている。

“ポークビンダルー沼”に落ちた! 『シモカワスパイス』の店長さん

東京の新宿・目黒・調布で曜日ごとに間借り営業をしているスパイスカレー専門店「シモカワスパイス」は、1年に1種類のカレーを極めることをテーマにしているユニークな店。2022年は「ポークビンダルーを極める! 」と決めて、レシピを日々研究中だとか。現在はポークビンダルーのほかに2021年に極めた「バターチキンカレー」と、日替わりカレーを提供しています。

  • シモカワスパイスの「カレー全種+パクチー盛り」(1,500円)。バターチキンカレー(左側)、日替わりカレー(中央)、ポークビンダルー(右側)のこぼれそうな3種盛り!

同店が今年のテーマをポークビンダルーに決めた理由は、店主のシモカワアキヒロさんがカレーの中で一番好きなのがポークビンダルーだから。「豚の旨味、酸味、スパイス感のバランスも難しく、味の定義も決まっていないんです。だからこそ個性が出るおもしろいカレーです」とシモカワさん。

スパイスは、辛さやシビレ、香ばしさを考慮して、ブラックペッパー、クローブ、カレーリーフなどを独自に調合。お酢もたっぷり使い、酸味もしっかりと感じられるのが特徴だ。現在は「どのお酢を使うか」と「玉ねぎの炒め時間」を研究しているそうで、「これまでリンゴ酢、バルサミコ酢、赤ワイン酢など、10種類以上ものお酢を試し、それに合わせて玉ねぎの炒め時間も調整してきました。当店しか作れない最高に美味しいポークビンダルーを目指しています」と、シモカワさんのポークビンダルー沼はかなり深いようだ。

Instagramでは「すでに完成されているのでは? と思うくらい美味しかった。これからどう変わっていくのか楽しみ! 」など、“極め中”のポークビンダルーへ期待度MAXな投稿も。間借り営業のため、曜日ごとに営業店舗・営業時間が異なるシモカワスパイス。毎月スケジュールを更新しているので、最新情報はお店のInstagram(@shimokawa.spice)のチェックを。

「Curry House 咖喱座」の一皿は自家製シロップが隠し味

2021年4月に、東京の三軒茶屋にあるフードコート「FORT MARKET(フォートマーケット)」にオープンした「Curry House 咖喱座(カレーハウスカリーザ)」のポークビンダルーも注目!  店主の山崎亮さんいわく「インドカレーなのに豚肉を使っていたり、ポルトガル発祥だったりという、特殊な生い立ちに惹かれてポークビンダルーをメニューに加えました」とのこと。特に女性からのオーダーが多いのだとか。

  • サラッと食べられるのにしっかり辛い! 「Curry House 咖喱座」のポークビンダルー(1,100円)

同店のポークビンダルーのこだわりは、サラッと食べられるスープと、国産米に合う酸味・辛み・甘みのバランス。唐辛子、ブラックペッパー、マスタードシードなどのスパイスに、クローブやカルダモンの効いた自家製のクラフトコーラシロップを隠し味に加え、コク深く、後からジワ~ッとくる辛さが特徴だ。使用しているワインビネガーは、さまざまなメーカーのものを試行錯誤して決めたのだそう。「たっぷり入れても酸味が立ちすぎないお酢を選び、お店の看板メニューであるパキスタンカレーとあいがけにしても合うように意識しました」(山崎さん)

Instagramには「ほんとにめちゃくちゃおいしい」「ちょっとズルしてないか? って美味しさ」など、ポークビンダルーへの熱烈なコメントが投稿されている一方、山崎さんいわく「『もっと酸っぱくてもいい』など、お客様によって意見が分かれるメニューですね」とのこと。ポークビンダルー愛の強さゆえの意見かもしれないが、リピーターも多いそうなので、お客さんも知らず知らずのうちにこの味がクセになっているのかも。

ちなみに、同店は2022年6月中旬に駒沢公園西口に移転予定とのこと。詳細は今後告知予定とのことなので、最新情報はお店のInstagram(@curry_za)にて確認を。

ポークビンダルー、レトルトデビューまでしていた! 手軽にいつでも食べられる♪

ポークビンダルーを食べたいけど、近所にお店がない……という人は、おうちで気軽に食べられるレトルト商品をチェック。スパイス料理研究家の一条もんこさん監修の「一条もんこ先生のカレー診療所」は、同名のデリバリー専門店から生まれたレトルトカレー。現在3種類をラインナップしており、その一つが「スパイシーポークビンダルー」。

  • 「一条もんこ先生のカレー診療所 スパイシーポークビンダルー」(3個セット/2,100円)、右は調理例

クミン、コリアンダー、マスタードシードなど10種類のスパイスを使用し、ゴロッとした豚バラ肉に米酢をかけてマリネしてから煮込んだカレー。スパイスのピリッとした辛味にしっかり効いた酸味、ほのかな甘みも感じられ、お肉もホロホロ。無添加・グルテンフリーでヘルシー志向なのも嬉しいポイント。Instagramには、実際にお皿に盛った写真とともに「甘みとコクがある」「レトルトとは思えない本格的な味! 」などのコメントが投稿されている。

パクチーで独特な香りを加えたり、チーズでまろやかさをプラスしたりと、自宅で自由にアレンジできるのもレトルト商品ならではの楽しみ方。「ターメリックライスのような香りのあるご飯と合わせると、美味しさ・本格さがアップします」(同店を運営するTBI JAPAN 広報 小松亜衣実さん)。現在は公式オンラインストアでのみ購入可能。「一条もんこ先生のカレー診療所」で検索を。

辛さ×酸味が旨みを引き出すポークビンダルーは、いつものカレーとはちょっと違う、令和時代の新たな刺激。取材をすればするほど、巷のポークビンダルー沼がかなり深いことが判明しました。「今年はポークビンダルーにトライしてみよう! 」と気軽に思っている人、うっかりハマって抜け出せなくなるかも!?