ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第59回は「#ズコット」。

  • 美しい断面がSNS映え! イタリア生まれのスイーツ「ズコット」が人気

ズコットとは、イタリア・フィレンツェ生まれの伝統的なスイーツ。誕生したのはルネサンス期と歴史は古く、兵士のドーム型の兜や聖職者の頭巾がモチーフになっているといわれている。従来のズコットは、半球状のスポンジケーキの中に、クリームやチョコレート、細かく砕いたナッツなどがぎっしり詰まっているのが特徴だ。一方、現代のズコットはフルーツをたっぷり使っているものが多い。日本でもフルーツパーラーやケーキショップなどで購入することができる。

ズコットの魅力は、カットしたときの断面の美しさ、いわゆる“萌え断”が楽しめること。日本では、ホールケーキサイズのものを1ピースずつカットして販売されていることが多く、フルーツやクリームが断層になっていて、これが非常に写真映えする。イチゴ、マスカット、マンゴーなどカラフルなフルーツを使ったズコットは特に人気だ。Instagramには約2.5万件のハッシュタグ「#ズコット」の投稿があり(2021年12月上旬時点)、萌え断が楽しめる角度で撮られたズコットの写真が多数アップされている。

ズコットブームの火付け役「果実園リーベル」

  • 外側までフルーツがたっぷり! 果実園リーベルの「シャインマスカットズコット」(2200円)

Instagramで「#ズコット」の投稿を見てみると、特に頻繁に取り上げられている店がある。それが東京・神奈川に10店舗を展開するフルーツパーラー「果実園リーベル」だ。フルーツがふんだんにあしらわれたパフェや萌え断が美しいフルーツサンドなど、新鮮&旬なフルーツをふんだんに使ったメニューを提供。そのなかでも、最近では同店のボリューミーなズコットが注目され、ズコットブームの火付け役的な存在として知られているのだ。

同店がズコットの提供を始めたのは、東京・目黒にある本店がオープンした1991年から。果実園でしか食べられないフルーツいっぱいのケーキを提供したいと、メニューの一つとして販売を始めたという。一部通年商品を除いては、旬のフルーツを使用した季節限定のズコットを製作しており、「たくさんのフルーツに対して、通常のケーキよりも少量の生クリームを使用し、フルーツ本来の味をお楽しみいただけるようにしています」(果実園広報担当伊藤さん)と、あくまで“フルーツが主役”というスタンスを貫いている。

同店では、季節によって17~20種類のズコットを販売。通年で提供しているのは、苺、キウイ、マンゴーを使用した「ミックスズコット」(970円。本記事冒頭写真)。今の季節は、「シャインマスカットズコット」(2200円)、「あまおうズコット」(1980円)などが楽しめる。Instagramには「断面が美しすぎる」「旬のフルーツたっぷりで贅沢!」と絶賛するコメントが多数。種類が豊富なので「次は別のフルーツのズコットも食べに来よう」というコメントも続出している。

※価格はすべて季節により変動

見た目も中身も高レベル「ホブソンズ アイスクリームパーラー」

  • 見た目もカラフルなホブソンズの「フルーツミックスズッコット」(1100円)

アメリカ生まれのアイスクリームショップのホブソンズは、2020年6月、東京都江東区の商業施設有明ガーデン内に「ホブソンズ アイスクリームパーラー」をオープン。自慢のアイスクリームのほか、フルーツをふんだんに使ったパフェやパンケーキ、そして「ズッコット」を販売している。Instagramには「見ているだけでテンション上がる!」「大きめだけどペロッと完食」などのコメントとともに、同店のカラフルなズッコットの写真が投稿されている。

ホブソンズ・ジャパン ゼネラルマネージャーの渡辺光浩さんによれば、同社では従来からの主力商品であるアイスクリームやクレープにもフルーツをたっぷり使用。アイスクリームパーラー開店の際には、フルーツをふんだんに使い、見た目も華やかなメニューの開発にこだわっていたという。「ズッコットは中身のアレンジがしやすく、またホブソンズと同様、中身で勝負(フルーツがぎっしり)していながら見た目のインパクト(断面)もあるということで、まさに求めていた条件とピッタリ一致しました」(渡辺さん)と開発の経緯を語る。

同店のズッコットは季節によって内容が変わり、現在は「フルーツミックスズッコット」(1100円)など、常時4~5種類を販売。これまで開発してきたズッコットは、トータルで約30種類にも及ぶという。今の時期のおすすめは「イチゴとシャインマスカットズッコット」(1600円)。長野産のマスカットと国産イチゴ、2種類の生クリームをバランス良く使用。甘さ控えめで大人から子どもまで楽しめる味わいだ。

クリームにこだわりあり「カフェ ラ・ボエム」

  • カフェ ラ・ボエムのズコット。左上から時計回りに「ブルーベリー」「モンブラン」「苺」「チョコレート&チェリー」(各800円)

東京・神奈川・愛知に計15店舗展開しているイタリアンレストランのカフェ ラ・ボエムでは、季節に合わせたズコット4種類を販売している。最初に同店がズコットを販売したのは2016年のことで、当時のシェフが新しいメニューの開発中にズコットの存在を知り、渋谷店で提供を開始。その後、2020年に同社のスイーツ開発担当・パティシエの多田朋加さんが、モンブランやフォレノワール(チョコレートとチェリーを使ったケーキ)など、ケーキを題材にしたズコットを新たに開発したという。

同店のズコットのこだわりは「種類により、中のクリームと合うように側面のクリームを変えていること」と話す多田さん。たとえばショートケーキ風の「苺」のズコットは、風味付けにキルシュ(ブランデー)を入れたホワイトチョコのムースを使用しており、側面にはイチゴとも相性のいい生クリームを塗っている。

  • 冬季限定の「モンブランズコット」は、2022年2月中旬まで販売予定

同店では4種類のズコットのうち季節によって1種類を販売しており、現在は「モンブラン」のズコットを販売中。側面にモンブランクリームを絞り、中のクリームはラム酒香るホワイトチョコのムースにポルト酒で煮たレーズンが入っていて、ちょっと大人の味わいだ。Instagramには「レーズンがいい仕事してる」「香りがすごく良い」など、こだわりの味を堪能している様子が投稿されている。

大ブームとなった「マリトッツォ」に続いて注目されているイタリア発のSNS映えスイーツ「ズコット」。食べる際は、ぜひ“萌え断写真”の撮影に挑戦してみてほしい。