上司に相談したが、あまり親身になってもらえなかった。アドバイスをもらったけれども、それはすでにやっていることだった。せっかく相談したのに残念な思いをした。あるいは期待した答えが返ってこなかった。そんな経験はありませんか。

良いアドバイスをもらうためには、情報を整理して相談相手にわかりやすく伝える必要があります。上司の方は、その情報から問題解決の糸口を見出したり、物事の進め方を決めるための判断材料としたりします。情報を整理してわかりやすく伝える手段として、ビジネスメールは効果的です。ここでは、ビジネスメールで良いアドバイスをもらうための相談の仕方について、ポイントをお伝えしていきます。

簡潔でわかりやすいことのメリット

普段の仕事で、あたりまえのように使っているビジネスメール。人によってその書き方はさまざまです。一般社団法人日本ビジネスメール協会が発表した「ビジネスメール実態調査2019」によると、「相手のビジネスメールで上手いと感じた内容」という質問に、76.31%の人が「文章が簡潔でわかりやすい」という回答を選んでいました。

  • ビジネスメールが上手いと感じた内容(複数回答可)(c)2019 Japan Businessmail Association.

    ビジネスメールが上手いと感じた内容(複数回答可)(c)2019 Japan Businessmail Association.

この結果から、「簡潔でわかりやすいこと」が、受信者にとって大きな"メリット"だということがわかります。

「簡潔に」「わかりやすく」と、言葉で言うことはとても簡単ですが、どうしたら「簡潔でわかりやすい」メールにできるのでしょうか。今回は、「簡潔でわかりやすくする」方法のひとつとして、「箇条書き」を上手に活用するポイントをご紹介します。

箇条書きを使うメリットとは

まずは、箇条書きを使うとどんなメリットがあるのか、下記「打ち合わせの日程連絡メール」を例に、確認してみましょう。

先日は、□□についてご連絡をいただきまして、ありがとうございました。
お電話でお話した、〇〇に関する打ち合わせは、9月20日(金)の13:00~15:00に、
弊社会議室(東京都□区△1丁目2番3号)でお願いできますでしょうか。

それほど長い文章ではありませんが、一番伝えたい打ち合わせの「日時」や「場所」が文章の中に溶け込んでいるため、メールを見たとき、ちょっとわかりづらくなっています。では、この文章を、箇条書きを使って書き換えてみましょう。

先日は、□□についてご連絡をいただきまして、ありがとうございました。
お電話でお話した、〇〇に関する打ち合わせは、下記でお願いできますでしょうか。

日時:2019年9月20日(金)13:00~15:00
場所:弊社会議室(東京都□区△1丁目2番3号)

いかがでしょうか。「日時」と「場所」が、わかりやすくなりましたね。上記のように、パッと見てわかりやすい。それが、箇条書きを使う大きなメリットのひとつです。

意外と忘れがち(?)な"箇条書きにできる文"とは

「日時」や「場所」などの情報以外にも、箇条書きにできる文は、たくさんあります。実は、このことに「気づいていない方が多いのでは?」と感じています。私自身、毎日たくさんのメールをやりとりしていますが、「ここは、箇条書きにしたら、もっとわかりやすいのでは?」と思うことがよくあるからです。

箇条書きにできる文の1つのポイントは、「同じ目的の複数の事柄を、1つの文で記載している部分がないか?」ということ。例えば、下記「セミナー受講申し込み完了のお知らせ」メールを例に、確認してみましょう。

このたびは、〇〇セミナー受講のお申し込みをいただき、ありがとうございました。
下記、受講票に記載されている受講日、受講場所および受講内容に相違はありませんか。
お手数ですが、ご確認の上、変更点などございましたら、セミナー担当にご連絡をお願い申し上げます。

このメールでは、受講者に確認してもらいたいという目的の3つの事柄「受講日」「受講場所」「受講内容」を、1つの文で記載しています。では、箇条書きを使って書き直してみましょう。

このたびは、〇〇セミナー受講のお申し込みをいただき、ありがとうございました。
受講票の下記3点に相違がないかをご確認ください。

・セミナー名
・受講日
・受講場所

※変更点などございましたら、お手数ですが、セミナー担当にご連絡をお願い申し上げます。

箇条書きを使うことで、行数は増えましたが、文字数は減り、受講者が何を確認すればよいのか「パッと見て、わかりやすく」なっています。このように、箇条書きを上手に使えるようになれば、簡潔でわかりやすいメールに一歩近づきます。自分が書いたメールが「長いな」と感じたら、「箇条書きにできるところはないか?」を意識しながら、もう一度メールを読み返してみましょう。

茨木ち江

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師
大手企業様や官公庁様等で、WindowsやWord、Excel、Access、VB等の集合研修講師経験を経て、平成11年10月に株式会社グッドフィールドアンドカンパニー入社。外資系企業様で、3年間常駐ヘルプデスクとして勤務後、業務推進部に異動し、業務フローやフォーマットの作成など、社内文書の定型化と業務の可視化に貢献。実施していなかった中途社員研修を体系化し、必要なテキストや資料の整備と講師を担当。現在は中途社員研修を後輩に引き継ぎ、“わかりやすい文章表現"“わかりやすい説明"をモットーに、社員だけでなくお客様にも「ビジネスメールコミュニケーション講座」や「【Excel】ミスや情報漏洩を防ぐフォーマットを作成するコツ講座」などの研修を行いながら、新しい研修サービスの企画、実施に取り組んでいる。お客様から頂いた「説明時の機転の利き方がさすが」という言葉が宝物。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に28冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。