皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第23回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするためのいろいろな知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。

米国株は史上最高値更新! でも日本株は……

米国株が好調です。NYダウ平均、S&P500、ナスダック総合指数の主要3指数は揃って7月に史上最高値を更新しました。一方、日本株はあまり好調とは言えない状況で、4月につけた2万2,000円台さえ回復できておらず、2万1,000円台をさまよっています。なぜ両国の株価にこのような違いが出ているのでしょうか?

まず、日本は米国に比べて外需依存が強く、中国の景気停滞の影響が大きいことが挙げられます。中国景気が鈍化した昨年の10-12月や今年の1-3月に、日本の半導体や電子機器メーカーの業績は大きく落ち込みました。

続いて日米の中央銀行の姿勢の違いも挙げられます。米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は7月末の会合で政策金利の引き下げ(利下げ)を行うことがほぼ確実視されており、その後も経済状況次第でさらなる利下げも辞さない姿勢を示しています。一方で日本銀行は経済状況次第で追加緩和を行う、という姿勢ではありますが時期や方法など不透明で市場が当てにしづらい状況です。

そして日本には10月に消費税増税が控えています。消費税増税は日本の景気にブレーキをかける政策です。日本景気減速のリスクが高まっている中で日本株を買おうと思う投資家が減っても不思議ではないでしょう。日本株にも早く上昇してほしいものですが、下半期以降の景気動向が見えてくるまでなかなか本格的な上昇は難しいのかもしれません。

米国株VS日本株

さて、今月も本題に入っていきましょう。今月は米国株と日本株を比較して紹介してみたいと思います。先ほど短期的な両国の株価のパフォーマンス差をご紹介しましたが、今度は両国の長期的な株価のパフォーマンスをご紹介します。以下のグラフをご覧ください。

  • ダウ平均と日経平均の推移 (出典:Bloombergデータよりマネックス証券作成)

1989年末の株価を100とすると、米国のダウ平均は985と10倍近く(!)に達しているのに対し、日経平均は55.6と半値近く(!)になっています。これは、基準としている1989年末は日本がバブルに沸き、日経平均が史上最高値をつけた時期ですので日本株のパフォーマンスが悪くうつりやすいという事情もありますが、それにしても両国の株価パフォーマンスには大きな差があります。

どうしてここまで差が開いているのでしょうか? 以下のグラフをご覧ください。米国と日本の経済規模を表す名目GDPの推移です。

  • 米国と日本の名目GDPの推移 (出典:IMFデータよりマネックス証券作成)

米国は順調に経済規模が拡大し、1989年と比べて現在は3倍以上に増加しています。一方で日本は1989年からほとんど成長できていません。極めてシンプルですが、米国は経済成長できたのに日本は経済成長できなかった。それが株価のパフォーマンス差に結びついていると考えられます。

そして米国は常にイノベーションの中心です。私達の身近にある便利なサービスを思い浮かべてみてください。ネット通販のアマゾン・ドット・コム、SNSのフェイスブック、オンライン動画のネットフリックス、ストリーミング音楽サービスのスポティファイ、iPhoneのアップル、PCやソフトウェアのマイクロソフト、検索サービスやYouTubeのグーグル……これらはすべて米国企業です。

さらに米国企業がすごいのはこういったハイテクIT企業だけでなく、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ビザ、マスターカード、マクドナルド、ウォルト・ディズニーといった老舗企業の業績も着実に成長していることです。米国企業は常に厳しい競争にさらされ、積極的に企業買収も行います。企業の業績や株価には厳しい目が向けられ、業績が芳しくない企業の経営者は容赦なく追放される場合があります。

アップルの共同創業者であるスティーブ・ジョブズが昔アップルを追放されたことはよく知られています。その後彼は華麗に返り咲き、iMacやiPhoneといった革新的な製品を世に送り出しアップルを劇的に復活させたこともユニークなエピソードですね。

このように米国企業のすごさに思いを馳せると、運用資産のすべてを日本株だけに振り向けるのはとてももったいないことではないかと筆者は感じています。米国株も運用対象の一部に入れることにより、長期的なパフォーマンスの向上が期待できるのではないでしょうか。ぜひ検討してみてください!

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回!

執筆者プロフィール : 益嶋 裕

マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。
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