皆様こんにちは、マネックス証券の益嶋です。「目指せ黒帯! 益嶋裕の日本株道場」第21回をお届けいたします。本コラムでは、「これから投資を始めたい」「投資を始めてみたけれどなかなかうまくいかない」といった方向けに、投資家としてレベルアップするためのいろいろな知識をお伝えしていきます。今月もまずは最近のマーケット動向を簡単にご紹介します。

米中貿易戦争の混乱再び

先月の本コラムでは、米中貿易戦争がようやく一旦落ち着きを見せてきたことが好感されて日経平均は2万2,000円を回復したとご紹介しました。

ところがそこはやはりトランプ大統領、簡単には米中交渉を決着させるつもりはないようで、日本のゴールデンウィークの終盤には「中国は約束を守っていない! さらに追加関税をかける! 」と宣言し実行しました。中国もそれに対し報復関税を発動させ、再び米中の貿易交渉は激化したのです。

そうした事態を受け日本株は一気に調整ムードとなりました。日経平均は、平成最後の営業日だった4月26日から令和に入った5月14日まで7日続落し、2万2,000円どころか2万1,000円近くまで下落しました。

改めて米中の対立の根深さが浮き彫りとなった格好ですが、貿易戦争は米国経済にとっても中国経済にとってもネガティブに働きます。そしてその2国は、言わずもがな世界第1位と2位の経済大国です。両国の経済が落ち込むと、そのダメージは世界経済全体、もちろん日本経済にも波及します。さらに日本経済は、こうした中で消費税増税まで控えています。米中の交渉が早く妥結することを願うばかりです。

株式投資の大きな魅力の1つである「配当」とは

さて、今月もコラムの本題に入っていきましょう。投資は当然儲けを求めて行うものですが、その儲けは大きく分けて値上がり益(キャピタルゲイン)と、保有することで得られる利益(インガムゲイン)の2つに分類されます。株式投資の場合、前者は株価の値上がり、後者は株主が受け取る配当などがそれに当たります。今月はインカムゲインの代表である「配当」についてご紹介いたします。

企業は通常、ビジネスを通じて利益を出すことを目的として活動しています。そして出した利益から、自分たちで保有して将来の投資などに使う部分(内部留保)と、配当として株主に還元する部分とに分けます。そして利益のうち企業が投資に使う部分と配当に回す部分の比率は、その企業が置かれた状況に対する経営陣の判断によって大きく異なります。

高成長企業の場合であれば、今利益を株主に渡すよりも自分たちで投資した方が将来の利益が大きくなり結果的に株主の利益も増加すると考え、配当をゼロにするケースがあります。例えば、楽天(4755)は前期の1株あたり利益が105.2円ありましたが、そのうち配当に回したのはわずか4.5円にすぎませんでした。おそらく株主に配当として返すよりも自分たちで投資したほうが結果的に株主にとっても良いことだと考えているのでしょう。

逆に今は良い投資案件がないため、内部留保に回すよりも株主に配当を支払ったほうが株主のリターンを高められると考えた場合には、利益のほとんどや全部を株主に渡してしまうこともあります。

例えば、ローソン(2651)は前期の1株あたり利益255.7円に対し、ほぼ全額の255円を配当として支払いました。なかなか業績が伸びない足元の状況では株主へ配当を多く支払ったほうが良いという判断をしたことになります。このように全く異なる判断が行われることがあるので、企業の配当方針はしっかりとチェックしておいたほうが良いと言えます。

現在の配当利回りはどのくらい?

「予想配当利回り」という言葉を聞いたことがおありでしょうか? 予想配当利回りとは株価に対する年間の配当金額の割合を示す指標で、「予想1株あたり配当金÷株価」という計算で算出します。

例えば、5月24日時点で日本最大手の銀行である三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)の予想配当利回りは4.95%です。これは三菱UFJが今年は配当を25円出す方針を表明している中で、株価が505.2円なので25÷505.2=4.95%ということになります。ざっくりですが、もし三菱UFJの株を100万円分保有していれば1年で5万円近くの配当金がもらえる(税引前)ということになるわけです。

銀行で貯金していてもほぼ金利はゼロに近いですから、株式投資のリスクをとってもこの利回りに魅力を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

現在、東証1部上場企業の平均予想配当利回りは約2.6%ですが、中には三菱UFJのようにもっと予想配当利回りが高い銘柄も数多くあります。

以下の表では、時価総額が1兆円以上という日本を代表する大企業の中で予想配当利回りが高い銘柄を並べています。例えば日本たばこ産業(2914)は予想配当利回りがなんと6%を超えています。その他にもソフトバンク(9434)や住友商事(8053)といった企業も5%代後半の高い予想配当利回りとなっています。

  • 出典:マネックス銘柄スカウター

もちろん予想配当利回りはあくまで予想であり、例えば業績が悪くなったりすると企業は配当を減らしたりなくしたりすることがあるため、そうした場合に現在の予想配当利回りが実現しない可能性もあります。こうしたケースを頭に入れつつ、企業の業績や配当についての方針を調査して投資することにより好配当という果実を効率よく享受することができます。ぜひ気になる銘柄の配当方針や現在の予想配当利回りをチェックしてみてはいかがでしょうか。

今月も最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回!

執筆者プロフィール : 益嶋 裕

マネックス証券 マーケット・アナリスト兼インベストメント・アドバイザー

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。2008年4月にマネックス証券に入社。2013年からアナリスト業務に従事。2017年8月より現職。現在は「日本株銘柄フォーカス」レポートや日々の国内市況の執筆、各種ウェブコンテンツの作成に携わりながら、オンラインセミナーにも出演中。日本証券アナリスト協会検定会員。
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