それなりのスキルを必要とするサーキット走行やカスタムとは違い、バイクの初心者でも楽しめるのが「ツーリング」。半日程度のショート・ツーリングから始まり、気がついたらキャンプ道具を積んで日本中を走り回り、長期連休は北海道や阿蘇に走りに行くのが毎年恒例のイベントになっているライダーもいるのではないでしょうか。
今回は、そんなツーリングが大好きなマイナビ会員に行った実態調査の後編です。目的地やコース、日程が決まったら、あとは“誰と行くか?”。一人っきりの「ソロ」と、複数のバイクで走る「マス」、二人乗りの「タンデム」がありますが、ほかのライダー達はどんなツーリングが好きなのでしょうか。
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ツーリング実態調査・後編
■マイナビニュース会員の免許所持率とツーリングマニアの割合は?
まずは、マイナビニュース会員の「自動二輪免許の所持率」と「ツーリングによく行くか?」の回答を紹介しましょう。
Q.あなたは自動二輪免許を持っていますか?
はい ―――42.4%
いいえ ―――57.6%
アンケートの結果では、約4割以上の回答者がバイクの免許を持っていることがわかりました。クルマと違い、バイクは乗らなくても仕事や生活に困らない“趣味性の高い乗物”ですし、免許を取得するのも決して簡単ではありません。そんな困難を乗り越えてライセンスを得た人たちは、どんなツーリングをしているのでしょうか。
Q.あなたはツーリングによく行きますか?
はい ―――64.0%
いいえ ―――36.0%
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あなたはツーリングによく行きますか?
「よく行く」と答えた方は64.0%。一見、少なそうに見えますが、過去のアンケートから推察すると、「いいえ」と答えた方の中には、「免許は持っているが、バイクは持っていない」という方も多いはず。80年代のバイクブームではたくさんの若者が免許を取りましたが、仕事や結婚、出産などのタイミングでバイクを手放してしまった人たちも多かったようです。
■ツーリングに人数制限はないけれど…何名くらいで行く?
Q.何名くらいで行くことが多いですか?
1人 ―――29.9%
2~3人 ―――50.4%
3~5人 ―――18.2%
6~10人 ―――1.5%
11人以上 ―――0%
一番多いツーリング人数は約半数の2~3人でした。ソロを除けば次に3~5人が多いですが、このくらいの数なら先頭のライダーがバックミラーで最後尾まで確認できるので、後方のトラブルにも気がつきやすいですね。信号の変わり目ではぐれたり、ほかの車両が隊列に混じってしまうことも少なくなります。クラブやサークルなどのツーリングでは何十台ものバイクが集まりますが、全員で連なって走ることはほとんどなく、いくつかのグループに分かれて走行するのがセオリーになっています。
■一人?二人っきり?それともにぎやかな方がいい?
Q.ソロツーリングとマスツーリング、どちらが好きですか?
ソロツーリング ―――46.7%
タンデムの二人きりツーリング ―――21.2%
マスツーリング ―――22.6%
どちらともいえない ―――9.5%
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ソロツーリングとマスツーリング、どちらが好きですか?
一人で行動する「ソロツーリング」、リアシートに誰かを乗せていく「タンデムツーリング」、複数のバイクで行う「マスツーリング」がありますが、半数近くが「ソロツーリング」を好む結果になりました。それでは、その理由は何でしょうか?
Q.なぜそう思うのか、理由を教えてください(自由回答)
■ぼっち最高!ソロツーリング派
男性/28歳
人づきあいが面倒だから男性/38歳
コースを自分で決められるし、好きなものを食べられるから男性/56歳
とにかく、自由。オートバイに乗るときは自由にありたい!女性/47歳
自分のペースで走れるし、気をつかわないから男性/59歳
スマホの影響なのか、純粋に一人になれる時間がなかなかとれない。一人の時間を楽しめる
スマホを使ったメールやSNSなど、公私を問わず他人とのコミュニケーション過多で疲れてしまう現代、たまには一人になる時間がほしいと思う人も多いはず。誰にも気をつかわず、のんびり過ごしてリフレッシュするだけでなく、出かけた先で“お一人様“”同士の素敵な出会いもあるかもしれませんね。
■二人の関係は!?タンデムツーリング派
男性/29歳
一人じゃどうにもならないこともあるから男性/47歳
相手がいた方が楽しみが二倍になる女性/41歳
関係を深めるのが楽しいから女性/51歳
いっしょにいたいので男性/50歳
いろいろ話せて楽しいから
クルマのドライブと違い、バイクのタンデム走行は身体を密着させて走ります。目的地でも二人きりの時間が多く、お互いを深く知るにはよいでしょう。バイクを知らない異性を乗せた場合、その爽快さと同時にスリルも味わうことになりますが、これが「吊り橋効果」を生むという話も。ただ、相手の命を預かるだけに、ライダー側も無理は禁物ですね。
■ワイワイガヤガヤ!マスツーリング派
男性/27歳
走行だけでなく休憩時間などに会話を楽しめる男性/46歳
安心感を得ることができるから男性/38歳
何かあった時にみんなで対処できるところ男性/55歳
走行するルールを細かく決めてツーリングすることが一体感を生んで楽しい女性/46歳
ひとりで飲食店に入るのがとても苦手。トラブルが起こったときに対処する自信がないので
複数で走るマスツーリングでは、さまざまな個性や意外な特技をもつライダーが集まります。困ったことがあっても、道路事情やグルメ情報、メカに詳しい人がいたりするので心強いでしょう。ただ、10台を超えるような場合は隊列で走るのも大変。最適な台数のグループに分かれて走るのが一般的ですが、中には目的地とチェックポイントのみを共有し、基本は自己責任でソロでもグループでもOK、途中の合流や離脱も自由という方式をとっているクラブもあるようです。
■どれも楽しい!どちらともいえない派
男性/46歳
一人は気楽だが、何かあったときは困る男性/56歳
そのときによる女性/23歳
ソロでも2人でも楽しいので比べようがない。ソロの方が自由だが、何かあった時は不安男性/42歳
基本はソロだが、どちらも楽しみがある
「ソロ」、「タンデム」、「マス」と、それぞれメリットとデメリットがありますが、バイクは自由を象徴する乗物。誰と行くかはライダーの気分で決めるのがよいですね。ただし、初心者がソロで人里離れたハードな林道に行くのは絶対に止めましょう。転倒や故障などの予期せぬトラブルで遭難し、最悪の場合は命を落とします。北海道のようにガソリンスタンドのない長距離区間を走るツーリングでも、給油タイミングを誤ってガス欠するトラブルが多いようです。
■タンデムは誰と行く?その関係は……?
Q.タンデムでツーリングをしたことはありますか?
はい ―――71.5%
いいえ ―――28.5%
7割以上の人がタンデムツーリングを経験しています。オートバイは身体を使って操作する乗物なので、運転するライダーと後部座席のパッセンジャーの息が合ってないと快適に走ることはできません。上手な人は前でも後ろでも相手に負担をかけなかったりしますが、実際に乗せてみて相手の印象が変わったという人もいるのではないでしょうか。
Q.タンデムでのツーリングの相手は誰ですか?
親や兄弟 ―――7.1%
友達 ―――60.2%
彼女や彼氏 ―――21.4%
夫や妻 ―――10.2%
ペット ―――1.0%
『俺の後ろは彼女しか乗せないゼ!』なんていうのは大昔の話のようで、今は友達とタンデム・ツーリングする人は6割もいます。対して、彼女や彼氏、夫や妻など、異性のパートナーは約3割。一般的なバイクは後部座席の快適性も考慮していますが、かつてのレーサーレプリカや現代のスーパースポーツでは、タンデムシートが小さすぎて30分も座っていられないモデルもありましたね。『彼女ができたからバイクを買い替えた』という思い出がある人もいるのでは?
■「ソロ」でも「マス」でも基本的に一人の乗物 ― だから楽しい!
前編・後編と渡って紹介したツーリング実態調査はいかがでしたか?自分以外のライダーたちのツーリングに行く回数や日程、距離、人数の違いや、「ソロ」、「タンデム」、「マス」に対する考え方など、なかなか興味深かったのではないかと思います。
子供の頃から英才教育でレーサーにでも乗っていない限り、誰でも最初は初心者。徐々にバイクの操作に慣れると同様、街乗りやツーリングでの安全な走り方を学んでいくものです。最初は住んでいる街からちょっとずつ足を延ばし、ショップや友達とのマスツーリングを経験しながら、一人でも連泊で長距離を走破できるベテランのツアラーに成長していきます。
バイクは雨風にも打たれ、転倒や故障というリスクも抱えた乗物です。それでも乗り続けるライダーは、“風のような自由を得られる”という魅力に取りつかれた人たちでしょう。「ソロ」でも「マス」でも「タンデム」でも、基本はハンドルを握る一人のライダーが鉄の馬を駆り、道中のさまざまな苦楽を乗り越えて絶景の地にたどり着くという達成感があります。こういった“いつもの日常”とは違う冒険的な要素もツーリングの醍醐味ですね。
調査時期: 2022年9月2日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 505人
調査方法: インターネットログイン式アンケート