コロナ禍では“密を防げる移動手段”としてバイクの人気が高まりました。新たに免許を取って乗る人だけでなく、若い頃に乗っていた中高年のリターンライダーもずいぶん増えたようです。

2022年のゴールデンウィークや夏休みは3年ぶりに行動制限のない連休となり、行楽地は多くの観光客で賑わいましたが、気兼ねすることなく遠距離のツーリングを楽しんだ方も多かったのではないでしょうか。感染状況によっては再び行動制限が求められる可能性もありますので、感染予防を心がけつつ、ツーリングを楽しみたいものですね。

連載で紹介している「1,000人のマイナビ会員ライダーがおすすめする各地のツーリングスポット」、今回は福島編です。

【1】裏磐梯

多くの会員が福島県でおすすめするコースは、標高1,819mの秀峰「磐梯山」の北側に位置する「裏磐梯」。明治21年(1888年)の磐梯山噴火によって作られた湖沼群が300以上もある「湖沼の国」で、「磐梯高原」ともいわれる人気のリゾート地です。さまざまな色に変化する“神秘の湖沼”「五色沼湖沼群」や、「桧原湖」、「曽原湖」、「中津川渓谷」をはじめとした大自然がおりなす美しさは圧巻。福島県内のみならず、日本国内でも屈指の景勝地といえるでしょう。

  • 裏磐梯 ※画像はイメージです

「裏磐梯」には“絶景の3ライン”といわれる「磐梯吾妻スカイライン」、「磐梯吾妻レークライン」、「磐梯吾妻ゴールドライン」があります。この中でも「日本の道100選」にも選ばれた「磐梯吾妻スカイライン」の人気は高く、火山荒原と針葉樹林がひろがる標高約1,600mの「浄土平」は、日本国内とは思えないスケールの景観が『まるでアリゾナのようだ!』とSNSで話題になりました。谷底から80mの高さにかかる「不動沢橋」や、これを望む「つばくろ谷」も人気の絶景スポットです。

【2】猪苗代湖

「磐梯山」と同様に福島県のシンボルにもなっている「猪苗代湖」は、「琵琶湖」、「霞ヶ浦」、「サロマ湖」に次いで日本国内で4番目に広い湖です。「磐梯山」の景色は北側の「裏磐梯」と南側の「表磐梯」でまったく異なっており、山体崩壊の痕跡も荒々しい「裏磐梯」に比べると「表磐梯」はとても整っています。その美しい山体を彩る四季折々の自然を湖面に映すことから「猪苗代湖」は「天鏡湖(てんきょうこ)」という別名をもっています。

  • 猪苗代湖 ※画像はイメージです

「琵琶湖」や「霞ヶ浦」と同様、湖といえば定番は“一周ツーリング”。「猪苗代湖」の一周コースは約60kmほどですが、休日には多くのライダーやドライバー、サイクリストが訪れます。湖畔を一周する道は狭いところもありますが、たくさんのキャンプ場のほか、湖水浴場や遊覧船、温泉宿の施設も充実しています。また、グルメ派のライダーにとっては、“日本三大ラーメン”のひとつである「喜多方ラーメン」や、会津庶民の味「ソースカツ丼」も外せないですね。

【3】塩屋埼灯台・三崎公園

「塩野崎灯台」と「三崎公園」は、茨城県と接する福島県南部の「いわき市」の海岸線にあります。「塩野崎灯台」は、故・美空ひばりさんの名曲や、さまざまな映画にも登場した白亜の大型灯台で、全国で16基しかない“登れる灯台”です。明治32年に日本一の高さを持つ灯台として初点灯してから120年以上の歴史をもち、福島県北方沖地震(昭和13年)と東日本大震災(平成23年)で2度の被災をしましたが修復され、現在も復興のシンボルとして灯火を点し続けています。

  • 塩屋埼灯台 ※画像はイメージです

「塩野崎灯台」から10kmほど南下したところに位置する「三崎公園」は、太平洋といわきの街を一望できるシーサイドパークです。総面積70ヘクタールという広大な公園内には、家族や仲間と楽しめる「ピクニックガーデン」や「バーベキュー広場」などの施設も充実。海抜106mの高さから360度のパノラマを望める「マリンタワー」のほか、海上に突き出た展望台の「潮見台」から望む太平洋はスリル満点で、初日の出スポットとしても知られています。

そのほか、おすすめのツーリングスポット

「郡山」から40kmほど東にある「あぶくま洞」は、約8,000年の年月が創りだした鍾乳洞です。全長は約600mほどあり、鍾乳石の種類と数の多さでは東洋一ともいわれています。洞内最大のホール「滝根御殿」や、国内の鍾乳洞で初めて舞台演出用の調光システムを導入した「月の世界」など、見どころは数多くありますが、一般コースよりも険しい道を進んで冒険気分を味わえる探検コースも人気です。

東北を代表する温泉郷といえば福島市街の北にある「飯坂温泉」。ここは「鳴子」や「秋保」とともに奥州三名湯に数えられた歴史ある名湯で、松尾芭蕉も奥の細道の途中に立ち寄ったとされています。東北自動車道・福島飯坂インターチェンジから約15分と近く、宿泊はもちろん日帰りの旅館も数多くあるため、ここで旅の終わりに汗を流すのもよいのではないでしょうか。

まとめ

福島県で絶大な人気を誇るツーリングスポットは、日本とは思えない絶景の「磐梯吾妻スカイライン」を中心とした「裏磐梯」です。爽快な山岳道がいくつもあるので、走るのが大好きなライダーにはたまらないはず。キャンプをメインとするならば、美しい「表磐梯」を映す「猪苗代湖」周辺でしょう。首都圏から福島県までの距離は300kmほどで、「東北自動車道」と「常磐自動車道」の2つがありますが、どちらも比較的走りやすいため初心者のハイウェイツーリングにもおすすめできます。

福島県は2011年の東日本大震災や原子力発電所の事故で大きな被害を受けた地域ですが、現在も復興の努力が続けられています。現在は一部を除き除染は完了しており、観光できる地域もだいぶ増えました。多くのライダーが福島県に訪れることで、観光産業を中心に復興や経済の活性化につながります。過去に訪れた人も、一度も行ったことがない人も、復興支援のために福島ツーリングを企画してみてはいかがでしょうか。


調査時期: 2022年4月7日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 1,000人
調査方法: インターネットログイン式アンケート