マンション購入を考え始めた時、あなたは何から始めますか? インターネットで情報を集める、不動産会社に相談に行く、など人によって答えは異なるでしょう。私はこれまで約2万5千人の女性のマンション購入をサポートしてきましたが、一番大切なのは資金計画だと思います。無理の無い毎月のローン返済計画を立て、余力ができれば少しずつ繰り上げ返済をして早めに返していくと支払う利息もぐっと少なくなるのでお得です。

マンション購入のポイントは、資産性と、将来性も加味して選ぶことです。今回は、そのために大切な「マンション購入までの6つのステップ」と、買うべきかのひとつの判断材料となる「賃貸査定表」についてご紹介いたします。

マンション購入までの6つのステップ

私どもは女性を対象にマンション購入のノウハウを説明するセミナーを26年前から開催していますが、セミナーでは「(1) 資金計画を立てる」「(2) 情報収集と条件の整理」「(3) 物件・不動産会社の検討」「(4) 現地・モデルルームの見学」「(5) 購入物件の最終チェック」「(6) 購入申し込み、契約、ローン手続き」という6ステップを説明しています。

自己流で購入を検討する多くの方が、「(4) 現地・モデルルームの見学」から進めがちですが、マンション購入時に何より肝心なのが「現在の生活レベルを変えないで無理のない資金計画」を立てること。マンションの購入を決めたことにより生活が苦しくなっては元も子もなく、まず初めに資金計画を立てることが何よりも重要なのです。女性はローンを途中で返せなくなる人が殆どいなく、金融機関からの信頼も高いです。無理をせず、資金計画に基づいたマンション選びをしているのが大きな要因だと言えます。

無理のない資金計画を立てよう

毎月、いくらのローンを返済できるのか、そして組めるのか。借入額のシミュレーション方法としては、現在の毎月の家賃(更新料・保険料含む)+貯金+保険やスマホの見直し(マンションを購入するとセットされるケースが多い)の合計から管理費+修繕積立金を引いたものを毎月の返済額として計算し、その額を返済年数やローン金利を勘案することで、ローン借入可能額の算出が可能です。借入可能額と自己資金(貯金額の70~90%)を合計した額が無理ない範囲での購入可能額となり、マンションはこの予算内で探すべきと言えます。

実は、本ステップは非常に合理的だと私は考えています。予め現状の購入可能額を具体的に把握することにより、探す物件が絞り込みやすくなり、情報収集や条件の整理を無駄なくスムーズに行うことができます。

本ステップを活用することで、興味のある物件を希望条件に優先順位をつけた後に、ネットや「女性のための快適住まいづくり研究会」マンションライブラリーなどで物件を選定。売主・事業主である不動産会社の概要や沿革、実績を調べることができるので、予算に合わない物件を見すぎて混乱したり選べなくなるということがありません。

また、現地やモデルルームの見学は、希望に合った物件を1日3物件以内に絞り込んで行うのもポイントです。なぜなら、1物件を丁寧に見学したり、分からないところを質問したりするのに2時間は必要です。見学時には部屋の仕様や設備、間取り、収納、広さを確認するだけでなく、地盤や基礎工事の御データや周辺の交通や生活施設の利便性、夜道の安全性をチェックこともお忘れなく。案内して説明してくれる営業マンの知識量や対応で不動産会社の信用度をはかることもできます。

購入したい物件が決まったら再度、初めに立てた資金計画を確認し、本契約の前にローン事前審査を受けておきましょう。セミナーでは「申込みは素早く、契約は慎重に」とみなさんにお伝えしています。というのも、たとえ申込金を10万円払ったとしてもキャンセルすれば戻ってきますが、契約金は戻ってきません。申込みをした時点で事前にローン審査を受け、管理規約・長期修繕計画書・住宅性能評価書の確認、購入後のアフターサービス・定期点検の確認、重要事項説明書と売買契約書のコピーをもらって内容を読み込むなど、最終チェックを慎重に行えば、こんなはずではなかった! と思うことがなくなるのです。

ですので、マンション購入を検討する際には、上記6つのステップを是非ご活用いただければと思います。

マンション購入は物件の資産性・将来性も考えて

さて、マンション購入の第2のポイントとして、物件の資産性と将来性を加味することが挙げられます。結婚や転勤でライフスタイルが変わった場合も、購入したマンションを"終の棲家"にするのではなく、売ったり貸したりして住み替えることも考慮して選ぶことが重要なポイントです。そのため、女性はファミリーマンションを購入する男性よりも長期的な視点で、資産性を考慮して、マンションを購入することが大切です。私は長期的な視点でのマンション選定は、男性も必要な考え方なのではないかと考えています。 私が女性向けセミナーでお話している中で、マンション購入後にもし住まなくなったら、売ってしまうことより賃貸にして家賃収入を得ることをお勧めしています。自身が快適に暮らすのも勿論ですが、「駅近×新築×都心=1LDK」が将来、貸しやすい物件条件になります。また、実践的なポイントとして「賃貸査定表」を必ず入手することをお伝えしています。賃貸査定表と聞いてもあまり馴染みがないかと思いますが、賃貸査定表は簡単に言えば「同じ物件を賃貸として借りる場合の賃料」です。この数字を基に、月の支払額が賃貸よりも購入のほうが安い(基準として2万円以上)場合には買うべき物件といえます。「賃貸査定表」は、物件の資産性について客観的に図るひとつの指標となりますし、モデルルームなどでも、見せてくれます。

自身が無理なく購入でき、かつ資産性・将来性が高い物件―― これらの視点でマンションを選定してみると、「不動産を動産」と捉えることなど、新たな発見があるかもしれません。男性・女性共にマンション購入時には心にとめて欲しいと思います。

次回は、急増している単身者や二人暮らしに適した「コンパクトマンション」。その人気の理由やニーズと価格の上昇(中古になっても10%以上値上がりする理由)に迫ります。

執筆者プロフィール : 小島ひろ美

一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会 代表。1957年福岡県生まれ。関西学院大学商学部卒 ライフスタイル・コーディネーター、宅地建物取引士、相続診断士。26歳の時にマンション購入で苦労した経験をいかし、"女性がマンション購入の夢を実現できる世の中にしたい”と1991年に研究会を設立。

以降、「女性のためのかしこいマンション購入術講座」で、今までに8万6,000人以上の女性たちに800回以上の講演を行いながら、27年間に渡り女性のマンション購入を応援し、第一線で活躍中。著書「シングル女性の(特)マンション選び」(講談社)、「元気になる!幸せマンション購入術」(アスコム)、他多数。

・『女性のための快適住まいづくり研究会』 https://kaiteki.gr.jp/
・「女性のためのかしこいマンション購入術講座 https://kaiteki.gr.jp/seminar/lp.php