2019年10月に消費税が10%に上がりました。みなさんの普段のお買い物や光熱費など、日常的に支払うお金が増えるので、増税は気になるところですよね。しかも、マンションや車といった高額なものを買うとなると、増税の負担をより強く感じることでしょう。今回は増税がマンション購入にどの程度影響があるのか、またその救済措置についてご説明いたします。
増税におけるマンション購入時への影響
私は一般社団法人「女性のための快適住まいづくり研究会」の代表として「女性のためのかしこいマンション購入術講座」の講師を務め、これまで9万人以上の20代~70代のマンション購入を考える女性と出会ってまいりました。
増税前後の物件価格の違いを比較するためのシミュレーションをしていくにあたり、まずお伝えしたいのは、マンション購入において消費税がかかるのは建物に対してのみ、ということ。土地は「消費されるもの」ではないので消費税はかかりません。
中古マンションでは、不動産会社からではなく個人から購入するのであれば、消費税はかかりません。ただし、個人間の取引はよほど信頼できる相手でない限り、トラブルが起きた際にすべて自己責任となるため、十分な注意が必要です。そして個人間の売買であっても、住宅用ではなく投資用として購入する場合は消費税がかかります。
また、マンションに限らず住宅を購入する際に不動産会社に支払う仲介手数料にも消費税がかかります。計算方法は「(売買価格×3%+6万円)×消費税」。ここで注意すべき点は、計算のもとになる売買価格には土地代も含まれるということです。
以上のことから、消費税増税がマンション購入に与える影響は少なくないといってよいでしょう。
増税の救済措置って?
10月1日以降にマンションを購入する人たちの救済措置として「すまい給付金」という制度が設けられているのをご存知でしょうか? この制度は、住宅を購入する際に一定の要件を満たすことで、国から現金を受給できる制度です。2014年4月の消費税引き上げの際に制定されたもので、2019年10月の増税を受けて給付額がさらにアップされます。例えば年収500万円であれば、給付額は10万円から40万円へと30万円アップ。増税による負担の軽減につながります。
また、住宅ローン控除も消費税率の引き上げとともに制度が拡充され、控除期間が10年から13年へと延長されます。控除を受けるための主な要件は「購入する物件の床面積が50平方メートル以上」「ローン返済期間が10年以上」です。
これからのマンション購入はどうすべき?
消費税増税はマンション購入に大きく影響しますが、年収に応じて給付金が支給される「すまい給付金」や、ローン残高の1%が納めた所得税などから差し引かれる「住宅ローン控除」といった制度を利用することで、増税分をカバーすることができます。
増税後でも、何も残らない家賃を払い続けるより購入したほうが資産としても残りお得です。仕事や結婚などライフスタイルが変わっても、購入したマンションは賃貸に出して家賃収入を得たり、売ったりもできます。まわりの雰囲気にまどわされず、まずは自分の予算をしっかり見極め、焦ることなく物件を選ぶようにしましょう。
執筆者プロフィール : 小島ひろ美
一般社団法人 女性のための快適住まいづくり研究会 代表。1957年福岡県生まれ。関西学院大学商学部卒 ライフスタイル・コーディネーター、宅地建物取引士、相続診断士 。26歳の時にマンション購入で苦労した経験をいかし、"女性がマンション購入の夢を実現できる世の中にしたい"と1991年に研究会を設立。
以降、「女性のためのかしこいマンション購入術講座」で、今までに9万人以上の女性たちに900回以上の講演を行いながら、28年間に渡り女性のマンション購入を応援し、第一線で活躍中。著書「シングル女性の(得)マンション選び」(講談社)、「元気になる!幸せマンション購入術」(アスコム)、他多数。
・『女性のための快適住まいづくり研究会』https://kaiteki.gr.jp/
・「女性のためのかしこいマンション購入術講座https://kaiteki.gr.jp/seminar/lp.php