世界に猛威を振るう新型コロナウイルス、日本でも3度目の緊急事態宣言が延長されました。ウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業でテレワークが導入されるなど、ワークスタイル(働き方)からライフスタイル、さらには価値観までも変わりつつあると言われています。

そのような状況下で今、北欧、中でもイノベーション先進国と呼ばれる「スウェーデン」に各界からの注目が集まっています。メディアなどでもよく取り上げられるスウェーデン、でも一体どんな国?

バイキングからノーベル賞、SDGs、北欧デザイン、キャッシュレス、ボルボ、イケア、H&M、スカイプ、Spotifyにマイクラなどのイメージがありますが、それだけじゃない。そこで本連載では、スウェーデン大使館の協力のもと、シリーズでさまざまな切り口から紹介します。

  • イケアが生まれたスウェーデンはどんな国? 画像:ペイレスイメージズ/123RF.COM

スウェーデンは玄関で靴を脱ぐ

まずは、地球の北の端、日本よりも少し広い国土にたった一千万人が暮らすスウェーデン人についてお話しましょう。

スウェーデンは「北欧の中の日本」と言われるほど、両国の国民性には幾つかの共通点があります。まず、家の中では靴を脱ぎます。日本と同じように、玄関で靴を脱いでから家の中にあがるのです。また、床はモップなどで定期的にきれいに掃除されるなど、几帳面なところもよく似ています。

時間も厳守します。大使館のミーティング、内輪の会議であっても1分も遅れることなく、時間通りにスタートします。スウェーデンでは遅れるということ以外にも、逆に早まるということもあまりありません。数分早く着いたゲストが入り口の前で約束の時間になるのを待っているなんていうこともあります。とにかく時間に正確です。

スウェーデン人は調和を大切にする

スウェーデン大使館が制作する、スウェーデン企業への特別インタビューシリーズ『Did you know it’s Swedish? あれもこれもスウェーデン?』では、両国は働き方も似ていると指摘した企業もあります。

  • スウェーデン企業への特別インタビューシリーズ『Did you know it’s Swedish? あれもこれもスウェーデン?』

コミュニケーションの取り方もその一つでしょう。仕事をしていると何かを決めないといけない時があります。

意見を対立させながら話を進める場合もあるでしょうが、スウェーデンは日本と同じように調和を重んじる文化があるので、一つ一つみんなのコンセンサス(合意)を取りながら、同調・協調を確かめながらとにかく穏やかに進められるのです。

オープンな話し合いで反論も自由ですが、反対意見はオブラートに包みながらやんわりと発言されることが多いように思います。人が不快になる言い方は極力避けながら、みんなで落としどころを探す平和的な会議のやり方なのです。

スウェーデン人は日本の伝統文化が大好き

謙虚という点もよく似ています。スウェーデン人に何か褒めてみてください。例えば、「日本語がお上手ですね」というと、「いえいえいえそんなことないです……」という返事が返ってきます。但し、家族に関しては、褒められ上手。素直にありがとう! と感謝の返事をするでしょう!

その他にも、新しいものを進んで取り入れる反面、伝統や昔ながらの季節の行事も大切にします。だから日本の伝統文化にも惹かれ、落語、日本茶、日本刀の拵職人や庭師まで、日々修行に励み日本の伝統文化を継承するスウェーデン人もいるのです。

自然との関係や共存といったところでも共通点を感じます。民話に山の神や鬼が登場する、ストーリーもどこか似ているのが不思議ですね。さらには、自然由来の名字があるということも、日本と同じ! ペールエリック・ヘーグベリ大使のインスタグラム・ユーザーネームは@ambassador_takayama。大使の名字、ヘーグベリを日本語に訳すと、高山になるからなのです。

日本から飛行機で約11時間、遠く離れた国ですが、少し親近感を持っていただけたでしょうか。

スウェーデンの良いイメージばかりが先行してしまうと、期待が膨らみ過ぎるなんてことがありますよね。この連載では私たちは、あるがままのスウェーデンをお伝えします。

「皆さんのイメージするスウェーデン」と違うところがあるかもしれません。情報をアップデートしながら、お付き合いください。皆さんの仕事や暮らしのヒントになれば、嬉しく思います。