数ある投資の中でも、少額から始められ、郵便局や銀行でも買える、といった敷居の低さから、多くの人の注目を集める「投資信託」。老後の資産形成にも有益だと言われていますが、本当に投資信託でお金を増やすことはできるのでしょうか。

この連載では、金融商品の斡旋や販売をしない中立的なお金の学校ファイナンシャルアカデミーが、投資信託の「よくある落とし穴」の中身を分解しながら、着実に資産形成をするためのヒントをお伝えします。

連載7回目の今回は、成果を出すために不可欠な「投資信託の中身」について勉強していきましょう。

  • 「投資信託の中身」で起こりがちな勘違い

投資信託は金融商品の福袋! 何で運用するかで成果は変わる

前回は投資信託を「どういう方針で運用するのか」という観点で勉強しましたが、今回勉強するのは「何で運用するのか」ということ。この観点も2000万円を作るためには欠かせない重要ポイントです。

投資信託に組み入れられる資産の代表格は、なんと言っても「株式」と「債券」。他には、金、トウモロコシ、エネルギーなどの「商品」や、「不動産」などが組み入れられることも。ちなみに不動産で運用する投資信託のことを「REIT(リート)」と言い、様々な資産で運用する投資信託を「バランス型」と言います。

今日はまず、投資信託の組み入れ資産の王道である「株式」と「債券」の特徴からつかんでいきましょう。

「株式」と「債券」の大きな違いは、リターンとリスクの度合いです。よく言われることですが、株式が「ハイリスク・ハイリターン」であるのに対し、債券は「ローリスク・ローリターン」です。

株式は、企業の業績が良ければ投資家に配当が支払われますが、業績が悪化すれば配当が減らされたり、配当がなかったりする場合もあります。これに対して債券の利子は、毎回あらかじめ決まった利率で支払われるのが原則です(利付債の場合)。

また値動きについても、株価の方が振れ幅は大きくなります。これに対して債券価格は、満期日(償還日)を迎えるまでは多少の上下はあるものの、発行をしている企業なり国なりが債務不履行にならなければ、償還日まで保有した場合は、満額で戻ってきます。

つまり、株式は値下がりリスクがある分、大きなリターンを得られる可能性があり、債券は比較的安定的ではあるものの、リターンは株式に比べて小さくなる、という特徴があります。

ただし当然ながら、同じ株式でも日本株よりも外国株の方が、国内の債券よりも海外の債券の方が為替の影響を受けるため値動きは大きくなります。実際の商品選びの際は、これらの特徴と自分の「リスク許容度」を考慮しながら、商品を選んでいきましょう。

「株式型」に分類されているのに、まさかの債券メイン?!

膨大な数の商品が存在する投資信託ですが、ざっくり分けると、株式を組み入れるかどうかという観点から「株式型投資信託」と「公社債型投資信託」に分類されます。実はここに、ちょっとした落とし穴が存在するのです。

あなたが色々と考えた結果、「2000万円を作るためには、値下がりの可能性があっても大きなリターンを狙いたい!」と考え、「株式型」の投資信託を買うことを決めたとします。

しかし「株式型」に分類されながらも、実際には株式はほんの数%しか入っておらず、ほとんど債券だった、ということがあるのです。

「そんな詐欺みたいなことありえるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは詐欺でもなんでもなく、これこそが知識の差なのです。

ご説明しましょう。ルールとして「公社債型」の投資信託は、株式は組み入れ不可、と決まっています。それに対して、株式型の投資信託は、株式も公社債も組み入れ可能になっています。

つまり「組み入れ可能」というだけですので、実際に「組み入れて」いるかどうかは別の問題。結果として、「株式型」に分類されながらも、株式は組み入れずに債券ばかりで運用するといった商品が存在してしまうのです。

こうした「イメージと中身のギャップ」を防ぐためには、分類だけで判断せず、投資信託の説明書である「目論見書(もくろみしょ)」にきちんと目を通すことが何より重要です。 目論見書を見ると、その商品が、どのようなもので運用されているのかが一目瞭然。例えば、今、注目度の高い米国株を中心にした投資信託であれば、Appleに○% 、Amazonに○%というところまで書かれているのです。

「今は株がいいらしいよ」といった言葉だけで、なんとなく「株式型」を選ぼうとしていた人も、「どうせ投資するなら大きく増える可能性のあるものに投資したい」ととりあえず「株式型」を選ぼうとしていた人も、まずは投資信託の基本の知識を身につけることが第一歩。そこから実際の行動へと踏み出しましょう。

次回も投資信託の選び方の一つである「新品より中古?!」についてお話ししていきます。

ファイナンシャルアカデミー

お金の教養を身につけるための「総合マネースクール」。2002年の創立以来、東京校・大阪校・ニューヨーク校・WEB受講を通じて19年間で延べ60万人が、貯蓄や家計管理といった生活に身近なお金から、資産運用、キャリア形成、人生と社会を豊かにするお金の使い方までを学んでいる。現在、全くの初心者でも投資の基礎知識をわかりやすく学べる「株式投資スクール体験セミナー」「投資信託スクール体験セミナー」などを無料提供している。