「『3年で辞める若者』『3年は続けろ』」と言われるけれど、現実に3年前後で退職・転職した人たちは何を考え、どう過ごしているか」がテーマのこの連載。

今回はネットでちょっとした有名人の「嘉島唯さん」にインタビューしました。通信系会社の体質が合わなかった嘉島さん、もともとやりたかったWebメディアの編集者となった経緯とは…?

何がしかの形で大学で教鞭をとるのが夢

画像はイメージです

――転職活動はどのようなものだったのでしょうか

前職で配られたあるWebメディアの記事に感動し、「こんなメディアに入りたいなぁ」と思い、調べてみたところ、私が学生の頃より憧れていた方が日本に持ってきたものだと知りました。

自分が思い描くビジョンとしては理想的な職場のように思いました。運命の相手に出会ったくらいに(笑)。現在実際に働いて、大変なこともありますが「やりがい」があるのでストレスは感じません。

――自分が思い描くビジョン、というと、これからどういったキャリアを積んでいきたいですか

Webメディアのエディターとして活躍していきたいです。そして、将来的には何がしかの形で大学で教鞭をとるのが夢です(笑)。

――とても楽しげな授業になりそうですね。少し話は変わり、ご自身が3年で辞める若者になってみて、「3年でやめる若者」についてどのように思いますか

全く問題ないと思います。

ただし、自分の市場価値と自分の目指すべき道を、客観的に見て選んだ結論でなければいけないと思います。また、年齢によって考え方は変わってくるのではないかと。例えば若いうちは収入に見合わない労働をしていると感じることも多いかもしれません。10年後の投資だと思ってもよさそうです。

現在、生業としている仕事が10年後に自分にどんな影響をもたらすのか。これを思い浮かべられない仕事は、きっと充実していないのかもしれません。

――私自身、とても考えさせられます……。最後に何か読者に伝えたいことがあれば、お願いします

人生を振り返ってみて、あなたは何回、自分の頭で物事を考え、選択し、決断してきたでしょうか。

私は恥ずかしながら、就職活動の時に初めて「自分はただレールに乗ってきて、"正解=無難"だけを選んできた」のだと思い知りました。間違っても修正すれば問題ないのです。"正解"に固執することで独自性が摩耗しているのであれば、あなたに市場価値はないに等しいです。

私は前職をやめる時に「レールから降りること」が怖いと思いました。

中学受験、大学受験、就職活動……全部努力してきたのに、そのレールから降りることが怖くてたまりませんでした。「3年は働かないと」という強迫観念が強く、自らひいたレールを投げ出す気がしたんです。自分は弱い人間なんだと、行動をもって証明してしまうといいますか……。

ただ、そうやって何も行動せずにうじうじしているだけでは何も変わらないのです。現在の自分が不幸だと思うのならば、それは自分が選択してきた結果。自分を幸せにしてあげられるのは自分しかいないのです。

たとえ友人や家族が温かく接してくれても、そこから自分が心地よい状況に持って行けなければ、無意味になってしまう。その状況を「幸せ」だと認識したり、いい方向に持っていこうと決断・行動するのは自分自身ですからね。

私は就職活動、そして転職を通して、自分の頭で考える行為を学びました。どちらの経験も、100%楽しいと言えるものではなかったのですが、私を大きくしてくれた良い機会だったと思います。私は怠惰ですから、こういった外部の力がないと成長できないんです。 ――嘉島さん、ありがとうございました

後記

「120%、やりたいことができている」

そう言い切れる人がどれほどいるでしょうか。若ければ若いほど、その数は少なくなるかもしれません。

会社員になった時点で、やりたいことは、できなくなっていくのでしょうか。少なくとも、受験を頑張って優秀な学校に入り、就活を頑張って有名な企業に入った先に、自分にとっての揺るぎない正解が必ずあるわけではなさそうです。

やりたいことを会社は与えてくれるのか。

そうでないなら、ときにリスクを取り、自分がやりたいことを見つけられる人間にならなければ、一生、燻った気持ちを抱えて生きていくことになるのかもしれません。

※画像は本文とは関係ありません


武野光
平成2年生まれ。「TOEIC未受験」「サークル未所属」「友達の数が片手未満」といった状況から就職活動に挑み、その体験から得た教訓をつづったブログ『無能の就活。』が大きな反響に。現在はサラリーマンと兼業で作家活動を行う。著書に『凡人内定戦略』『凡人面接戦略』(中経出版)、『就活あるある ~内定する人しない人~』(主婦と生活社)など。マイナビ2016でも、マンガ『キミ! さいよー』(石原まこちん/小学館)内で、一言コラム平成ベビーの就活用語辞典掲載