アウトドアブランドのザ・ノース・フェイスは2026年で創業60周年を迎える。日本国内で同ブランドの商標権を持つゴールドウィンがメディア向けの会見を開き、これまでの振り返りと今後の戦略について明かした。

  • 「ザ・ノース・フェイス」今後の展望は?

    「ザ・ノース・フェイス」今後の展望は?

ゴールドウインがザ・ノース・フェイスの商標権を取得するまで

ザ・ノース・フェイスは1966年にサンフランシスコで誕生したブランド。1978年に日本に上陸し、日本ではゴールドウィンが運営している。

  •  ゴールドウイン取締役副社長執行役員 COOザ・ノース・フェイス事業本部 本部長 森光氏

    ゴールドウイン取締役副社長執行役員 COOザ・ノース・フェイス事業本部 本部長 森光氏

ザ・ノース・フェイス60周年記念メディア向けレクチャー会に登壇した、ゴールドウイン取締役副社長執行役員 COOでザ・ノース・フェイス事業本部 本部長の森光氏は、「ゴールドウィンは1950年に創業し、当初は靴下やセーターなどを製造していました。その後創業者の西田東作が、“これからはスポーツが日本を明るくする”とスポーツウェアメーカーに専業化しました。その後海外のブランドとの繋がりが生まれ、海外ブランドの取り扱いも開始、スキーウェアのFusalpからChampionなどの取り扱いを開始したのち、1978年からザ・ノース・フェイスの輸入販売を開始しました」と歴史を振り返った。

最初は輸入販売の販売代理店だったものの、のちに商標権を獲得、日本での発展へとつながっていったという。特に直近10年間では売り上げ規模が5倍近く成長。この要因として森氏は「1995年に商標権を取得したことで実需型ビジネスで直営店を中心にしたことが大きな転換点になったと思う」と語った。

  •  直近10年間では売り上げ規模が5倍近く成長

    直近10年間では売り上げ規模が5倍近く成長

コラボから店舗戦略、今後の課題は?

続いてトークセッションでは、STEKKEY代表取締役社長の砂押貴久氏がモデレーターを務めた。まずは森氏と「商標権取得と日本市場での基盤づくり」について。

  •  STEKKEY代表取締役社長 砂押貴久氏

    STEKKEY代表取締役社長 砂押貴久氏

輸入販売から始まり、商標権の取得にまで至ったザ・ノース・フェイスだが、当初は当然今ほどの規模のブランドではなかった。しかし森氏は「我々が日本のマーケットを1番知っていることもあり、お客様に対して新しいことを提案するために商標権を獲得することは、中長期的なビジョンでビジネスをできる利点もあった」と振り返る。

  • 「商標権を取得したことは大きな転換機だった」と森氏

    「商標権を取得したことは大きな転換機だった」と森氏

これまで培ってきたスポーツウェアのノウハウを活かしつつ、日本のマーケットに合うような商品を作ったりマーケティングをすることができたという。さらに本国よりも先にコラボレーション商品にチャレンジしたこともザ・ノース・フェイスの成長を後押ししたことの一つだとした。

  •  ザ・ノース・フェイスではコラボレーション商品も人気

    ザ・ノース・フェイスではコラボレーション商品も人気

続いては、「実需型ビジネスと直営店戦略、『CORE&MORE』での成長」について、リテール本部シニアエキスパートの木内康之氏が登壇。

  •  リテール本部 シニアエキスパートの木内康之氏

    リテール本部 シニアエキスパートの木内康之氏

「CORE&MORE」とは、“山を中心にしたアウトドアフィールドに”というザ・ノース・フェイスとしてのブランドのCOREの部分と、アウトドアをしない人魅力に感じる機能性のMOREの両方を兼ね備えた意味を持つ。

アウトドアに適した機能性はアウトドアで利用しない人にとっても魅力だが、一方で両立は難しいこともある。たとえば、アウトドアで活躍する撥水加工&ショルダーハーネス付きのバックパックは、山の中で使用するなら目立つ色が好まれるが、日常的に街中で使う場合には黒が好まれる。そうしたことも想定してカラーを選定することもあるという。

さらに、砂押氏は「直営店舗で同じデザインのものは1つもない」ことについて木内氏に質問。木内氏は「僕らのデザインは“環境より前に出ない”こと、“美しいか”をまず考えている。1店舗1店舗考えていたら自然と店舗ごとのデザインが異なった」と話したうえで、退店時にもゴミが出ないような材料を使用したり、環境を汚さないようなデザインにも気を配っていると話した。

  • 神戸の直営店のデザイン

    神戸の直営店のデザイン

  • 各店舗ごとにイメージが異なるのも魅力

    各店舗ごとにイメージが異なるのも魅力

最後は、「次の成長戦略 シューズ、キッズ、レディースをどう広げるか」について、ゴールドウィンザ・ノース・フェイス事業本部 副本部長の大坪岳人氏が登壇。

  •  ゴールドウィンザ・ノース・フェイス事業本部 副本部長 大坪岳人氏

    ゴールドウィンザ・ノース・フェイス事業本部 副本部長 大坪岳人氏

大坪氏は、ザ・ノース・フェイスはブランド認知度が80%以上なの対し、認知者に占める購入度は約20%だと説明。「ほぼ多くの方がザ・ノース・フェイスを知っているのに対し、購入者は約20%。さらに1回は買ったけど2回目は買わない方も多い。今後はリピーターを増やすためにブランドコミュニケーションが大きな課題だと思う」と話す。

  •  ザ・ノース・フェイスはブランド認知度が80%以上なの対し、認知者に占める購入度は約20%

    ザ・ノース・フェイスはブランド認知度が80%以上なの対し、認知者に占める購入度は約20%

そのための具体的な施策として、「同じ商品なんだけど、違う使い方ができたり違うものと組み合わせたらもっと面白い、みたいな提案がしたい。例えば山で使うアウトドア用の雨具でも、街では晴れている日にウィンドブレーカーとして使うとか、ファッションアイテムや会社の制服として使ってもらうなどの広がりをつくりたい」とアウトドア以外の価値を広げたいと話す。

  •  ザ・ノース・フェイスといえば、のダウンジャケット

    ザ・ノース・フェイスといえば、のダウンジャケット

さらに新しい領域としてフットウェアへの挑戦も課題だという。大坪氏は「フットウェアは年間使えるアイテムで、必ず履くものなので必要ですし、エントリーからそのハイエンドまで幅広く必要なもの。ビジネスチャンスとしてもすごく大きなチャンス」と今後の展開を模索中だとした。

  • 今後はフットウェアにも力をいれていくという

    今後はフットウェアにも力をいれていくという