劇場の基盤を支える運営スタッフの仕事内容とは

劇場全体の運営に携わるスタッフは、一体どんな仕事をしているのか。

劇場プロデューサーの女性に伺うと、「当日は公演を見守りながらのデスク業務がほとんどで、私の場合はどちらかというと準備段階がメインです。会社全体の会議に出席して、1カ月の間にどこの劇場にどの芸人に出演してもらうかを決めます。その上で、この芸人が来るからこんな企画をしたいな、こんなコーナーをすればお客さまに喜んでもらえるんじゃないかなと、その月の全体像をざっくりと決めていくのが主業務です」とのこと。

全体の取りまとめだけではなく、複数抱える担当公演のプロデュースも行うなど、業務範囲は多岐にわたる。そんな彼女の心に残る企画とは?

「ヒューマン中村という大阪から出てきて2年ぐらいの芸人がいます。芸人の間でも実力はあると評価されていますが、せっかく上京してきたのにうまく噛み合ってない状況が続いていて。

ある時に、ヒューマンさんに1日全力で一緒にやってみましょうと、幕張の1日をヒューマンさんに背負ってもらう企画を提案しました。確か3、4回ほど本人を説得しに行って、なんとか了承してもらいました。本人がネガティブな性格なので、『こんなの誰も来てくれない、劇場と心中や』と言って、『幕張心中』というタイトルを自分でつけて。お笑いの仕事をされてない方はピンとこないかもしれないんですが、単独ライブを1本ネタだけでするのはすごいことで、何週間もずっとネタの練習や準備をしなければいけません。それを1日で3本打つということをご本人が決断してくださったのはある意味常軌を逸した話です。情報解禁してみると、インパクトのあるタイトルと内容に、金属バットさんや黒帯さんをはじめとした芸人仲間や、スタッフのみんながものすごく応援してくれて。SNSでもすごく話題になって、お笑いファンの人もたくさん来てくれました。ご本人も周りの人に支えられていたことをすごく実感したって言っていただきました。

本人からも『説得してくれてありがとうございました』と終演後に言ってもらえたこともあって、幕張の自由さと本人のネガティブな職人気質が噛み合った、本当にやってよかったなと思える企画ですね」

もう一人、制作スタッフの女性にも話を聞くことができた。昨年、新卒入社したキャリア2年目の彼女。公演に必要なものの準備やマネージャーへのスケジュール確認、入り時間の連絡といった事前業務から、当日の楽屋準備や芸人さんの頼まれごとに奔走するのも彼女の仕事だ。

「やっぱりお客さんの反応を見られるところが、一番面白いと思います。私はまだ担当企画は少ないですが、 SNSなどに担当した公演の感想を書いていただいたり、自分が考えたポスターや企画が何回もリポストされるなどの反響があったらすごく嬉しいです。

他にも芸人さんからの頼まれごとに、どんな小さなことでも対応したら「ありがとう」って言っていただけると嬉しいです。やっぱりルミネや渋谷の方がアクセスも良く、行きやすいと思います。その中でも、『楽屋が充実しているから』『ケータリングがあるから』『スタッフが気が利くから』など、理由はなんでもいいですが、何か私にできることでまたここに来たいと芸人さんに思ってもらえればというのもモチベーションの一つになっています」

  • よしもと幕張イオンモール劇場の楽屋廊下に用意されたかき氷のケータリング。これも他の劇場では見られない光景だ

    よしもと幕張イオンモール劇場の楽屋廊下に用意されたかき氷のケータリング。これも他の劇場では見られない光景だ

ジャングルポケット・見取り図が語る、よしもと幕張イオンモール劇場の魅力

取材当日も、出番が近づくにつれて舞台袖へ移動していく芸人たち。一度舞台へと降り立てば、緊張感の漂う舞台袖からは一変。訪れた観客を笑いの渦へと巻き込んでいく。

今回はそんな舞台を終えた直後の見取り図とジャングルポケットの2組に話を聞くことができた。

NSC大阪校29期生で、2007年にコンビを結成した見取り図。2020年の「M-1グランプリ」決勝3位をはじめ、数々の賞レースやテレビ番組で大活躍中だが、これまで様々な劇場で漫才やコントを披露してきた。そんな2人が感じるよしもと幕張イオンモール劇場の魅力とは?

――よしもと幕張イオンモール劇場の印象を教えてください。

盛山さん:ルミネなども商業施設の中にありますが、イオンモールというみんなが知っている巨大ショッピングモールの中にあるということで、他の劇場と比べるとファミリー層が群を抜いて多いですね。何より買い物帰りにフラッと寄れる気さくな感じが、まるで休憩スペースに芸人がやってきたみたいな雰囲気もあって、いい劇場だと思います。

  • よしもと幕張イオンモール劇場が備えるトレーニングルーム。盛山さんもダイエット中に活用したことがあるが、基本的にはジャングルポケット・太田さんをはじめとした筋肉芸人が利用しているそう

    よしもと幕張イオンモール劇場が備えるトレーニングルーム。盛山さんもダイエット中に活用したことがあるが、基本的にはジャングルポケット・太田さんをはじめとした筋肉芸人が利用しているそう

リリーさん:僕は最初に来た時にめちゃくちゃ綺麗な劇場だと思いました。それは舞台もそうですし、楽屋もそうです。ただ、実際に舞台に立ってみるとちょっと2階席が高いんですよね。

盛山さん:確かに。しょうがないことですが、コントの時は袖が見えたり、1階席からは隠れてみえるボケが上からバレたりしてしまうこともあるので。それもあって、立ちやすい舞台ではありますが、2階席の方には少し申し訳ない気持ちもあります。だから顔や目線を上げるようには心がけていますね。でも、劇場のサイズ感はちょうどいいと思いますよ。

リリーさん:確かに。お笑いって一体感が違ってくるので、多すぎても絶対にダメなんです。だから、300人ぐらいがちょうどいいと思います。

盛山さん:ということで、見取り図は300人ぐらいが一番好きなキャパですね。

――よしもと幕張イオンモール劇場で、印象に残っている企画や公演はなんでしょうか?

リリーさん:個人的に印象に残っているのは『ろくでなしナックル』という企画ですね。アイロンヘッドと一緒にここでライブをしましたが、その時の僕らはまだ大阪で活動していました。だから、関東に来れるのが嬉しかった思い出があります。

盛山さん:幕張ではジャングルポケットと『ブラザー』というトークライブをしていますが、これはぜひ来ていただきたいと思いますね。舞台上で僕らが料理を作ったりしますが、最後にその日の直筆レシピをお客さんに配っています。吉本の中でもなかなかの謎イベントになっているのでオススメです。

――よしもと幕張イオンモール劇場はお二人にとって、どんな劇場でしょうか?

盛山さん:ここはルミネやなんばグランド花月などの『吉本といえば』という劇場と違って、場所もちょっと外れているので、賞レースのためにチャレンジングなことをするコンビが多い印象ですね。だから青田買いじゃないですけど、賞レースでいつか優勝するような卵のネタとかを発見するにはちょうどいいと思いますね。出演している芸人も若手からベテランまで幅広いんで、パチンコで言えば『海物語』、スロットなら『ジャグラー』のように、老若男女がわかりやすく楽しめる劇場です。

リリーさん:唯一無二の劇場かもしれないですね。本当にここでしか会わない芸人もいたりするんですよ。それもあって、僕の中では、劇場も客層も楽屋も唯一無二の場所ですね。