“お笑い芸人のネタを見る方法”といえばテレビをはじめ、現在はYouTubeやSNSの普及により、スマートフォンで楽しむ人も多い。それでも芸人にとって欠かせない存在であり続けているのが「劇場」だ。
開演前の劇場では、スタッフが慌ただしく準備を進め、芸人たちは舞台袖で出番を待つ。観客の目には映らないが、一つの公演は多くの人の仕事によって支えられている。今回は、よしもと幕張イオンモール劇場を訪れ、劇場スタッフや支配人、出演直後の見取り図、ジャングルポケットに話を聞いた。
よしもと幕張イオンモール劇場は、2013年12月20日に吉本興業が運営する千葉県初の常設劇場としてオープンした。1階206席、2階95席の総計301席(ほかに車椅子席が4席有り)を備える劇場では、豪華メンバーが出演する寄席公演、企画ライブなどを通年で開催。お笑いファンはもちろん、イオンモールを訪れた友達同士やファミリーまでが幅広く楽しめる劇場となっている。
演目の完成度を左右する舞台スタッフの仕事とは
まず話を聞いたのは、音響を担当する女性技術スタッフだ。音響は、コントやコーナー企画の際に効果音(SE)出しや会場のマイクオペレートを担当する。オンライン配信がある場合は、配信音声のオペレートも彼女の仕事だ。
もともとお笑い好きだったこともあって音響の道に進んだそうだが、音楽系の専門学校卒業後に入社したこともあり、最初は右も左も分からないような状態だったと振り返る。そこから関東にある様々なよしもと劇場で音響を担当しながら徐々に仕事を覚えていき、今年で3年目を迎えた。
そんな彼女に仕事の面白さについて尋ねると、「台本通りに公演が進まなかった時に、芸人さんがアドリブでさっきの音が欲しいっていう顔をする時があります。それにいち早く気がついてその音を鳴らすと、場全体が盛り上がります。その時は私もお笑いに関われている感じがあって、すごくやりがいを感じますね」
よしもと幕張イオンモール劇場の音響を担当するようになって1年半ほど。これまでに印象に残っている公演を尋ねると、「場所柄、ファミリーライブも多いですが、バンビーノさんが年一で開催しているファミリー向けのお笑いフェスが来ると、今年も夏が来たなと思います(笑)」
最後に、よしもと幕張イオンモール劇場だからこそ、音響としてどんなことに気をつけているのか聞いてみた。
「幕張イオンモール劇場は2階席もあって天井も高いですが、お客さまが少ない時と満席の時とでは音の聞こえ方がだいぶ違います。例えばスピーカー近くに座っているお客さまだと音が大きくて耳が辛くなったりしてしまうので、場面場面で1階前方でも2階後方でも聞きやすい音の作り方を意識しています。また、小さなお子さまも頻繁に来場するのですが、耳がまだ大きな音に慣れていないことも多いです。そんな時はあえて音を小さめにして本番中に調整することも多いですね」
舞台監督の女性にも話を聞く。高校卒業後に吉本興業が運営するスタッフ育成校に入学し、卒業と同時によしもと幕張イオンモール劇場で働き始め、現在12年目の彼女。舞台監督を志したきっかけを、「ライブの全てを知れる舞台監督の面白さに気づいて、私も舞台監督になりたいと思いました」と話す。
仕事内容について「台本を基にイメージを膨らませて、そのイメージに沿って公演を作り上げていきます。技術さん、演者さんや作家さんなど、ライブに関わっている人たち全員をまとめます。リハーサルだけではなく、本番も指示を出して、その日の公演を流れよく進行していきます」と説明する彼女に、仕事のやりがいや面白さを感じるところを聞いてみた。
「よく言われますがライブは生モノなので、リハーサルしたことや、台本に書いてあることが全てその通りになるわけではなく、予定と違うことが起こったりします。そういったハプニングが苦手な人もいると思いますが、逆に私はそれに対応するのが好きです。芸人さんのやりたいことに合わせて臨機応変に対応できた時に、お客さまの予期せぬリアクションが見られた瞬間は何物にも代えがたいですね。また、うまく対応できなかったとしても、逆に芸人さんが舞台上でフォローしてくださるので、それもライブならではでいいかなと思っています」
開業翌年からよしもと幕張イオンモール劇場で働き、劇場の隅々まで把握する彼女が、舞台監督として舞台を演出する際に気をつけていることを聞いてみた。
「お子さまメインの公演も多いですが、その時は爆発音などをなるべくカットするようにしたり、できるだけ明るい状態での道具転換や、ネタとネタの合間もなるべく早く次にいけるようにして、暗転時間を極力短くできるよう意識しています」




