ジョーディー・グリープに性加害を受けたと訴える女性、「眠っている間にキスされた」と証言

元ブラック・ミディのジョーディー・グリープ(Geordie Greep)から性加害を受けたと訴える女性が、今月初めに起きた出来事の詳細を明かした。「ローラ」という仮名で米メディア『Paste』の取材に応じた女性は、先日バンクーバーで行われたジョーディーのコンサートで、ファンに非公式に配布されたビラの内容とは異なり、レイプされたわけではないと説明。ただし、眠っていて同意を示すことができない状態にあった自分に、ジョーディーがキスをしたと証言している。

被害女性が明かした事件の経緯、誤情報への懸念

ローラさんによると、バーでジョーディーと彼のバンドメンバーたちに出会い、その後、近くにある別の女性のアパートへ移動したという。その頃にはすでにジョーディーのことを「不快な人だと感じていた」ため、彼とは少し言葉を交わしただけで、そのまま眠ってしまった。「かなり夜も更けていて、私はひどく酔っていたので、ソファで眠ってしまったんです。ところが目を覚ますと、彼が私にキスをしていました。しかも、軽く唇を触れ合わせるだけのキスではありませんでした」と彼女は振り返る。「もしあと数杯飲んでいて、あのとき目を覚まさなかったら、何が起きていたかわかりません」

ローラさんは声明の中で、10月8日のジョーディーのコンサートで、ある男性客が配布したビラによって広まった誤情報を正そうとしている。ビラには「ジョーディー・グリープはレイプ犯だ。10月8日の今朝、お前が何をしたか、自分でわかっているはずだ。あいつは何をしても許されると思っている。レイプ犯をバンクーバーの人々がどう思っているか、思い知らせてやれ」と書かれていた。ローラさんは『Paste』に対し、「あのビラが配られ、この件が公になったことで、私自身が声を上げる機会を奪われました。私の経験はねじ曲げられ、私の同意なしに世間にさらされてしまったんです」と語っている。

ローラさんは声明の中で、レイプされたわけではないと強調する一方、「私は性加害を受けました。単にキスを誤解したという程度のことではありません」と訴えた。さらに、「だからといって、彼の行為が軽く扱われるべきではないと思います。彼がしたことは絶対に許されないことであり、深刻に受け止められるべきです」と続けた。また、言葉が誤った意味で使われることで、実際にレイプ被害を受けた人々の証言まで疑われ、信頼されなくなることへの懸念も示している。

「私は、『レイプ』という言葉は実際にレイプが起きた場合にのみ使われるべきだと強く思っています。誰かがレイプされたと訴えたとき、私たちはその言葉を信じられなければなりません。事実ではないのにその言葉を使えば、言葉の重みが薄れ、本来の意味が失われてしまいます」と彼女は語る。「今回の件をきっかけに、レイプの告発、特に実際の被害者本人による訴えが信じられなくなるようなことは、絶対にあってほしくありません。事実ではない主張をしたのは、怒りに駆られた男性であって、被害者ではありません。その点は、はっきりさせておきたいんです」

ジョーディーの釈明と謝罪

バンクーバー公演の最中、ジョーディーは自身の認識に基づいて経緯を説明したが、その夜の具体的な出来事には触れなかった。バーに出かけたことを説明したうえで、「その後、かなり夜遅くに開かれていたホームパーティーで、そこにいた人の気持ちを完全に勘違いしてしまった。相手にアプローチしたんだけど、うまくいかなかった」と語った。彼は相手に謝罪したことを明かし、「完全に僕の側の誤解だった」と説明するとともに、レイプではなかったことも強調した。「ものすごく悪いことをしたと感じたし、本当に申し訳なく思っている。この件については、ひどく心を痛めている」と彼は語った。「僕は絶対に女性をレイプしたりしない。僕はレイプ犯じゃない。実際に起きたのは、そういうことじゃないんだ」

10月14日(アメリカ現地時間)に『Paste』の記事が公開された後、ジョーディーはSNSで新たな声明を発表した。それによると、彼は肘掛け椅子で眠り、午前6時に目を覚ましたという。その際、前夜に自分へ「好意を持っている」と「愚かにも勘違いしていた」女性に、身を乗り出してキスをしたと説明している。一方、ローラさんはアパートでの集まりについて、「私は特定の相手と交際していて、ほかの人とは関係を持たないことを明言していましたし、その場にいる誰からも言い寄られるのは不快だと伝えていました」と声明で述べている。

ジョーディーは「僕は彼女に一度キスをした。すると、彼女はすぐに拒絶する反応を示し、僕を押しのけた。僕は謝って、その場から離れた」と説明。さらに、「彼女が怒るのも当然で、僕に出ていくように言った。そして、自分は眠っていたのだと教えてくれた。今となっては本当に悔やんでいるけれど、正直なところ、僕は彼女が眠っていたことにまったく気づいていなかった。僕はいったんアパートを出たものの、携帯電話を忘れたことに気づいて数分後に戻り、電話を回収してから立ち去った」と続けた。ジョーディーによれば、女性は「あの夜一緒にいたほかの3人とともに、僕の向かい側のソファにいた」という。

バンドメンバーも決別

当時ジョーディーのバンドに在籍し、問題の出来事が起きた際にもその場にいたものの、実際の行為を直接目撃したわけではないキャメロン・キャンベルも、『Paste』に寄せた別の声明で被害女性を支持する立場を表明した。現在はバンドを脱退しているキャンベルは、「僕は事件が起きた部屋にはいなかった。けれど、何かがおかしいとわかる被害女性の反応が聞こえたし、その直後の様子も目にした」と語る。「その後、彼女と直接話したところ、眠っている間にジョーディーからキスされたと聞いた」

キャンベルはこの出来事を「非常に深刻で憂慮すべきこと」と表現し、ジョーディーによる説明にも異議を唱えた。「眠っている人は、キスされることに同意できない。それを、思いどおりにいかなかった不器用な恋愛の『アプローチ』にすぎないかのように、軽く扱うべきではないと思う」と述べている。キャンベルはバンクーバー公演には出演せず、ほかのバンドメンバーもステージに立たなかった。公演中、ジョーディーは「こんなことが起きたあとも、バンドのメンバーに無理をして出演してほしいとは思わなかった」と説明。また、この公演の収益は、バンクーバーで性暴力の被害者を支援する団体に寄付すると発表した。

キャンベルは今後、ジョーディーと再び共演するつもりはないという。「自分が目撃したことと、その後に知った事実を踏まえると、ジョーディーと仕事を続けることはできないと判断し、脱退を決めた」と彼は語る。「バンクーバー公演で配られたビラを鵜呑みにして辞めたわけじゃない。決して軽い気持ちで下した決断ではないけれど、自分にとって必要なことだとわかっていた」。ジョーディーが予定していた北米公演の残りの日程は、すべて中止となった。

ジョーディーのバンドでベースを担当するデイヴ・ストローンも、キャンベルと同様にジョーディーを非難した。「彼女の身体の自己決定権を侵害したジョーディーに対して、どれほど失望し、怒っているか、言葉ではとても表せない。こんなことには何の言い訳もできないし、そもそも起きてはならなかった」とストローンはSNSに投稿した。「酒を飲んでいたことは言い訳にならない。僕たちはもっとちゃんとしなければならない」

ジョーディーは声明を謝罪の言葉で締めくくった。「僕がしたこと、そしてあの夜、彼女に与えた苦痛と心の傷について、何の留保もなく謝罪したい。重大な過ちだった。自分のしたことを本当にひどく後悔しているし、心から申し訳なく思っている」と彼は綴った。「あの夜、僕はすべてを勘違いしていた。そのことは認める。自分の行動が及ぼした影響を理解しているし、すべての責任を負うつもりだ。起きたことを少しでも軽く見せようとしているわけではない。繰り返しになるけれど、僕に言えるのは、本当に申し訳ないということだけだ」

ローラさんは声明の中で、「この件を公にしたいとは、一度も思っていませんでした」と明かしている。そのうえで、議論のあり方を見直してほしいという思いから、次のように綴った。「これを読んでいるすべての男性に、自分自身を振り返り、どうすれば今より少しでもよくなれるのか考えてほしいんです」。そして、こう続けた。「私が信頼していたのに、あのビラを配った人。あの夜、私が本当に特定の相手としか付き合っていないのかと何度も尋ねてきた男性たち。私が興味はないとはっきり伝えたのに、何度も『セクシーだ』と言ってきた男性。ジョーディーを擁護する男性たち。私が注目を集めたくて作り話をしていると言う人たち。そして、私に性加害を加えたジョーディー・グリープ。そのどれもレイプではありません。でも、そのすべての根底にはミソジニー(女性蔑視)があるんです」

From Rolling Stone US.