【スーパーGT 第6戦】GT500|予選の速さ、決勝の強さ。変化するSUGOで明暗を分けた総合力

9月19〜20日、スポーツランドSUGOで開催されたSUPER GT第6戦。雨と路面の変化に翻弄された週末は、ラップタイムだけでは測れないチームの総合力が問われる一戦となった。

土曜日の公式予選はドライコンディションで争われ、Honda HRC PRELUDE-GT勢が存在感を示した。Q1では上位5台を独占。Q2では、GT500で唯一ダンロップタイヤを履く64号車Modulo HRC PRELUDE-GTの大草りきが、1分09秒050のコースレコードでポールポジションを獲得した。2番手には17号車Astemo HRC PRELUDE-GTが続き、Honda勢がフロントローを占めた。

ただし、Honda勢だけの戦いではない。19号車WedsSport BANDOH GR Supraが予選3番手に食い込み、決勝での上位争いに名乗りを上げた。

●速さを見せた64号車Modulo。タイヤの性能を引き出すタイミングが、決勝の明暗を分ける要素となった

日曜日は、午前中の雨から路面が乾いていく難しい状況となった。決勝開始時の路面温度は25℃。濡れた部分が残るなか、各車はスリックタイヤを選び、レースはセーフティカー(SC)先導で始まった。コース幅が狭く、高低差も大きいSUGOでは、GT300との混走にも慎重な判断が求められる。乾いたラインを外すリスクと、前車を抜くチャンスを見極めながらの戦いだった。

序盤を引っ張ったのは64号車Modulo。17号車Astemoが追ったが、やがて19号車WedsSportが17号車をかわし、首位へ迫る。予選で示した速さを決勝でも発揮する64号車に対し、19号車がじわじわと差を詰めていった。

流れが変わったのは、GT300車両と16号車ARTAの接触に伴うSC導入だった。再開後、17号車Astemoは早々にピットへ向かい、野村勇斗から塚越広大へ交代。翌周に作業を行った64号車Moduloを逆転した。一方の64号車はピットアウト後のペースが上がらず、後続にも先行を許した。同じコースを走っていても、タイヤを交換した直後に使えるグリップが違えば、順位は大きく動く。

この局面で上位へ進出したのが、12号車TRS IMPUL with SDG Zだった。SC明けの早いタイミングでピット作業を済ませ、表彰台を狙う位置へ浮上。Nissan勢の中で光る走りを見せたが、後半にペースを落として緊急ピットインを強いられ、上位フィニッシュには結び付かなかった。

●12号車IMPULを送り出すピットクルー。コース上の走りに加え、ピット作業と戦略も勝負を左右する

対照的に、後半の追い上げで存在感を示したのが39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra。サッシャ・フェネストラズが順位を上げ、終盤には100号車STANLEY HRC PRELUDE-GTとの攻防を制して2番手へ進出した。さらに、100kgのサクセスウエイトを課された36号車au TOM’S GR Supraも表彰台争いに加わる。Toyota勢は決勝の長い距離で粘り強さを見せ、39号車が2位、36号車が4位でチェッカーを受けた。

●GT300車両とともにSUGOを駆ける39号車DENSO。混走の中でいかにペースを保つかも、決勝を戦う鍵となる

●後続を従えて走る36号車au。予選の一発の速さだけでは測れない、決勝での総合力が試された

その前方で勝利をつかんだのは、17号車Astemoだった。塚越は後続との差を確認しながらタイヤを管理し、終盤の攻防に備える余力を残して走り切った。塚越にとって約4年ぶり、今季GT500へステップアップした野村にとっては初優勝。3位に入った100号車STANLEYとともに、Honda HRC PRELUDE-GTの3連勝を飾った。

●トロフィーを掲げ、笑顔を見せるAstemoの二人。難しいコンディションでの戦いを終え、表彰台で喜びを分かち合った

予選で一周の速さを引き出すこと。ピットアウト後にいち早くペースを上げること。そして、最後まで戦えるタイヤを残すこと。今回のSUGOでは、それぞれの場面で異なる強さが必要だった。変化する状況を読み、必要な瞬間に性能を引き出した17号車Astemo。その勝利は、ドライバーとチームが積み重ねた判断の確かさを示していた。

■GT300|Syntiumがポール・トゥ・ウイン。戦略の攻防を制してSUGO連覇

GT300は、60号車Syntium LMcorsa LC500 GTの吉本大樹/河野駿佑組が今季初優勝。昨年に続いてSUGOを制した。

●ヘッドライトを輝かせてコーナーを抜ける60号車Syntium。GT300でも、刻々と変わる路面への対応が求められた

予選では、Q1で河野がA組トップを記録。Q2を担当した吉本が1分16秒964をマークし、自身とチームにとって初のポールポジションを獲得した。2番手には61号車SUBARU BRZ R&D SPORT、3番手には7号車CARGUY Ferrariが続いた。

決勝は濡れた路面が残るなか、SC先導でスタート。60号車の吉本が序盤をリードしたが、アクシデントによるSC導入で、築いた差は失われた。

ピットストップを経て浮上したのが、予選19番手の56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R。タイヤ無交換作戦で作業時間を短縮し、首位に立った。これを60号車の河野が追う展開となり、タイヤをいたわりながらも差を詰めていく。終盤、56号車がGT500車両との接触でコースを外れた間に、60号車が首位を奪還した。

60号車はそのまま80周を走り切り、ポール・トゥ・ウインを達成。2位は56号車、3位は61号車SUBARUとなった。予選の速さに加え、ピット作業と後半のタイヤマネジメントをそろえたSyntiumが、戦略の異なるライバルとの勝負を制した。

●表彰台でトロフィーを掲げるSyntiumの二人。チームとともに戦い抜いたSUGOで、笑顔を見せた

〈文= 川上滋人 写真= 森山俊一〉