
エクストリーム・ミュージックの最前線を走るローナ・ショア(LORNA SHORE)が、来週から再来日する。最新作『I Feel the Everblack Festering Within Me』を携え、東京・大阪・名古屋を巡る今回のツアーは、2025年の初来日から規模を拡大。その激しい音楽は、怒りや悲しみをどう解き放つのか。初来日の思い出から最新作の制作、叫びに込める思いまで、ボーカルのウィル・ラモスに聞いた。
自分の感情を、そのまま音楽に
ー今はちょうど北米ツアーの真っ最中ですよね。
ウィル Motionless In Whiteとツアー中なんだ。Fit for a King、Static Dressも一緒だ。今のところ最高でしかないね。俺が初めてライブを観たバンドは、2010年のMotionless In Whiteなんだ。そのバンドの今のツアーで、そこから16年が経った今、俺たちがサポートを務めてるわけじゃない? 本当、クレイジーなことだよ。このまま最後までツアーをやり切ることにワクワクしてるし、今年の残りのツアーは全部素晴らしいものになるってわかってる。これはもう日本に行くまで止めるつもりはないよ。
ーキッズの時に好きだったバンドとツアーするのはどんな気持ちですか?
ウィル 毎日がエモい気持ちになるよ。Motionless In Whiteはメタルコアだし、俺たちは同じジャンルにいるわけじゃない。でも、その二つの異なる世界が混ざり合うのを見ると、本当に面白いんだ。俺たちを好きな人たちもいれば、俺たちも彼らも好きなファンだっている。初めてライブを観た時のことを思い出すし、スゴいノスタルジックな気持ちになるよ。16歳の頃の自分を思い出すし、当時の俺より若い子たちもライブに来てる。スゴく美しいことだと思うね。
ー昨年の初来日ツアーは、Zepp DiverCityでの一夜限りのライブでしたが、どうでした?
ウィル 日本は最高だよ! 俺たち全員、日本に行きたくてしょうがない。俺個人として言うなら、まず日本でライブができること自体が本当にうれしい。世界中で一番好きな日本に行って、そこでライブをやって、しかもオフの日があるのが最高だ。日本の文化にどっぷり浸かりたいし、街をいろいろ探索してみたい。正直、初めて日本に行った時は、観客がどんな感じなのか全くわかってなかった。それで会場に入ると、今までに見てきた会場とは全く違うんだ。お客さんが立つフロアがあるんだけど、そのフロア全体を横切るように、金属のバーが何本も設置されていて。「こんなんじゃ、誰もモッシュできないじゃん」って思ったよ。1000人以上入る会場なのに、開場してもピンが落ちる音まで聞こえそうなくらい静かなんだ。「これ、大丈夫かな?」と思ってると、ライブが始まった瞬間に大爆発だよ。最初から最後までスゴいことになってて。みんなが最高の体験を楽しむために、ちゃんとその場にいるんだ。俺自身トバされたし、日本がますます好きになった。日本で俺たちを心から喜んで待ってくれてる人たちに、早くまた会いたいよ。
ーそう言えば、ドリフト走行が好きで、スカイラインを購入したんですよね? 日本のクルマ文化は好きなんですか?
ウィル もちろんだよ! 日産のクルマを2台所有してるくらいだ。そのクルマは350ZとS13だけど、もちろんドリフト用だ。YouTubeで日本人がめちゃくちゃスゴいことをやってるのを見て、影響を受けたんだ。「こんなの今まで見た中で一番クレイジーだ」と思って、S13を買った。スカイラインは実際に日本から輸入したもので、右ハンドルだよ。ドリフトは俺が今一番ハマってることだね。ちょうど今も、ショップから戻ってきたところで、1JZを搭載してるんだ。エンジンを丸ごとスワップしたんだよ。今まで運転した中で一番楽しいクルマだと思ってる。
ー話を戻しますが、今回の来日ツアーが前回からたった1年8カ月振りで、規模がかなり大きくなりましたよね。ここ1~2年でローナ・ショアは驚異的なスピードで成長を遂げていませんか?
ウィル ただ自分たちらしくありたいだけなんだけどね。音楽を世に出す時に、自分たちがやって気持ちの良くないものを加えて、必要以上に複雑にしたりとかしたくないんだ。どんな形であれ、売れるために自分たちを曲げたくはない。自分たちが好きな音楽を書きたいだけだから。自分たちが「世の中には、こういう音楽がもっとあってもいいのに」って感じるものを書きたいんだ。俺自身は、メタルコア寄りのバックグラウンドから来てるから、ただ邪悪で不気味なデスコアみたいなものよりも、自分の感情とかリアルなものについて音楽を書く方が好きなんだ。だから、めちゃくちゃハードコアなデスコアのファンで、邪悪なものが大好きな人たちが、ローナ・ショアを聴いた時にどう反応するのかは面白くてね。ローナ・ショアがやろうとしてるのは、まさにその逆だから。俺はポジティブなものとか、多くの人にとってのカタルシスになるようなものを届けたいんだ。実際に多くの人が、「こういう音楽は聴いたことがなかった。もっとこういうものを聴きたい」って感じてくれてる。だから、俺たちが続けられる限り、俺たちがやってて気持ちいいと思える限り、良いことはこれからも起こり続けるんじゃないかな。そこには運も大きく関係してくると思うんだ。俺たちはたまたま本当に運が良かっただけだから。今ここにいられること自体がうれしいんだ。
ー最新アルバム『I Feel the Everblack Festering Within Me』の楽曲は、まさにそういうことをテーマにしたものが多いですよね。このアルバムでは、新たなアプローチで曲を書いたと思うのですが、どういう背景があったのですか?
ウィル 俺の場合、音楽を書く時って、その瞬間に何かを強く感じてるかどうか、それがすべてなんだと思う。マジで、ほとんどそれだけなんだ。自分自身に「今、曲を書け」って無理やりやらせることはできない。無理にやっても、曲そのものは出来るかもしれないし、聴き手にとっては良く聴こえたとしても、俺自身は歌っていて「別にどうでもいいや」って感じになってしまう。みんなのために音楽を作るのは好きだけど、自分の内面に「この曲がこういう理由で大好きだ」というのがないとダメなんだ。だから、「今、この瞬間を本当に経験してる」とか、「今、こういう悲しい気持ちを感じてる」という何かを感じたら、それを書くしかない。その瞬間、俺はメモアプリを開いて書き始めることにしている。自分が実際に感じてることについて、一番リアルな歌詞を書くんだ。まるで、自分の感情を全部このメモアプリに吐き出すみたいな感じで。良いことも、悪いことも、とにかく全部書く。それで、何週間かかけて一つの旅をするんだ。しばらく経ったら戻ってきて、その日に自分が書いたものを全部見直して、要らないものを取り出していく。そうすることで、「Glenwood」「Prison of Flesh」「Forevermore」みたいな曲を書くことができたと思うんだ。このアルバムには、そういう曲がたくさんあるよ。俺がやりたかったのは、自分が感じたことを、そのままみんなにも感じてもらうことだから。
ー曲を作る時は、まず音楽がありきで、音からのインスピレーションで歌詞を書くのですか?
ウィル まず歌詞を書くのが先だ。俺は常に書いてるから。アルバムを作り終えたばかりでも、1週間後に何かを感じたら、俺はそれについて書く。ちょうど昨日も見てたんだけど、俺のメモアプリには、歌詞を書いたメモが1138個もあったよ。
ー1138個ですか?
ウィル 全部歌詞だ。文章みたいなものもある。だから、いざ曲を作るってなった時、「この曲はこんな気持ちにさせる」と思ったら、メモアプリに戻って、その時に書いた歌詞を探すんだ。それを引っ張り出して、全部を組み合わせて作っていく。それが一番良い方法だと思うからね。
ーでも、そうやってリアルなことを歌にするのが、ローナ・ショアが他の多くのバンドと異なるところだと思います。
ウィル ありがとう。俺は、スクリームというものには長い歴史があると思っていてね。「スクリームするのは怒ってるから」というイメージがずっとあるよね。でも、悲しい時だってスクリームすることができる。時には、めちゃくちゃ悲しい時に思いっきり「アアアアアアーーッ!!」って叫ぶことが、一番気持ち良かったりもするんだ。俺はそういうタイプなんだよ。音楽はそのためにあるものだから。
ーあなたはありとあらゆる声のアプローチができるし、ディテールにもこだわっていますよね。テクニカルでもあるけれど、同時に、非常にリアルで根源的な感情表現だとも思います。自分の声についてはどういう表現方法を意識していますか?
ウィル 俺は昔から、必要のないことを無理にやるのが好きじゃないんだ。バンドの音楽を作る時も、それは同じことだ。バンドで何かを書いてて、「ここで本当に感情的なパートが来るな」って感じたら、「よし、ここだ」ってなって、自分のテクニックを変えるんだ。ただゴボゴボ歌って、歌詞が聴き取れないなんてことはしない。歌詞の一節をちゃんとわかってほしいと思ったら、叫んでいてもちゃんと聴こえるような形でスクリームする。だから、必要のないものを無理にやることはないんだ。みんなに感じてもらうことの方が大切だから。
ローナ・ショア:左から、アダム・デ・ミッコ(Gt)、アンドリュー・オコナー(Gt)、ウィル・ラモス(Vo)、マイケル・イエガー(Ba)、オースティン・アーチー(Dr)
ーアルバム『I Feel the Everblack Festering Within Me』には、「Forevermore」「Glenwood」「Prison of Flesh」といった曲がある一方で、「Unbreakable」のようなポジティブなメッセージの曲もありますね。
ウィル 「Unbreakable」はライブでスゴく盛り上がる曲なんだ。この曲は、みんなのことを考えながら書いたんだよ。前向きで、勝利を感じられるような、ラジオやアリーナで流れるような曲にしたかったんだ。歌詞を知ってる人たちばかりの会場でこの曲をプレイして、みんなが「俺たちは一緒なら壊れない」って叫ぶ時、それって本当に美しい瞬間になるんだ。
ー最近のライブのセットリストをいくつか見たのですが、最新アルバムからの曲がほとんどを占めていますよね。
ウィル 前の曲もやってるよ!(笑)。だけど、アルバムを出したばかりだからね。「そろそろ新しいページをめくって、前に進む時だ」ということなんだ。だから、みんなにもついてきてもらわないと。見逃したら、見逃したままだから。「そこにいなかったなら、それまで」っていうことだから。
ー一方で、『Pain Remains』の三部作の曲は、忘れずにプレイしていますよね。
ウィル これからもずっとプレイすると思うよ。とは言え、今回のツアーではやってなかったりもするんだ。今のセットリストは、確か40分くらいかな。『Pain Remains』の三部作は25分もあるんだ。日本に戻った時とか、もっと長いセットをやる時は、またプレイすると思うよ。
ー「To the Hellfire」は必ずプレイしますよね。
ウィル あの曲はもうクラシックだからね。プレイしなくなることは絶対にないと思う。あれはやらなきゃいけない曲だから。
バイラルヒットの裏側と、スクリームの原点
ー「To the Hellfire」が出たのは、ちょうどコロナ禍でしたよね。どのように火がついて、バイラルヒットになったのですか?
ウィル 正直、あれはタイミングと場所が上手く重なったというのに尽きると思う。あの時期、ローナ・ショアはちょうど大きくなり始めてた。そして、ボーカリストを失った。じゃあ、誰がそのボーカルを務めるんだ?という状況だった。そこでコロナ禍が始まった。文字通り、みんな他にやることがなくなったんだ。同時に、みんながスマホばかり見るようになった。俺たちはその間も音楽を作り続けていた。そういうことのすべてが重なったんだと思う。新しいローナ・ショアがどんな音を出すのかという期待は、ほとんどコロナ禍が作ってくれたようなものだ。それで実際に音が出たら、みんなが期待してたもの以上のものだった。だから、完璧だったんだよ。それで、多くの人がTikTokに行って、音源の一部分を切り取って、何にでも乗せ始めたんだ。コロナ禍だから、みんな本当にやることがなかったんだよ。それで、誰にも予想がつかなかったことが起きたんだ。
ーしかも、多くの人があなたのボーカルを真似したくなりましたよね。
ウィル 俺自身も、キッズの時に大好きだった人たちから大きな影響を受けたからね。そうやって良いものはみんなで分かち合っていくのがいいと思う。

ーあなたの場合はどうでした? キッズの時、ああいう歌い方を始めた時はどんな感じでした?
ウィル 俺はスゴく自意識過剰だったし、自分の声に自信がなかった。子供の頃、両親と車に乗ってて、ラジオがかかると俺は一緒に歌い出すんだ。でも、両親が俺に注意を向け始めた瞬間、歌うのをやめてしまう。そういう感覚は、ずっと自分の中にあるね。それで、メタルのボーカルをどうやって歌うのかを覚え始めた頃に、「今なら両親から離れたシャワーがある」って思ったんだ。だから、バスルームで一人になって、iPodでメタルを流して、今度はラジオじゃなくメタルに合わせて歌うようになった。自分がやってることなんてわかってなかったし、良いのか悪いのかも全然わからなかった。でもある日、友達がうちに泊まりに来て、たまたま俺が歌ってるのを聴いて、「おまえけっこう上手いじゃん。ボーカルやった方がいいよ」って言うんだ。当時の俺はギタリストになりたくて、「俺はボーカルにはならない。ギタリストになるんだ。それが俺の人生でやりたいことだ」って思ってた。それから15年経った今も、俺はシャワーで叫んでるよ(笑)。
ー今一度聞きたいのですが、あなたにとって音楽はどういうものでしょうか?
ウィル 俺にとってはすべてだね。その時に自分が感じてるもの、そのものだと思う。何を感じていても音楽にできる、それが音楽の一番良いところだよ。自分が経験していることを、音楽が増幅してくれることもある。そして、願わくば、それをカタルシスとして感じることもできる。それに、その曲を思いっきり歌うことだってできる。その瞬間だけは、それが世界で一番大切なことのように感じられるんだ。俺は、どんな人がどんな気持ちでいたとしても、その人に合うジャンルとか感情は必ずあると思ってる。だからこそ音楽は美しいんだよ。音楽はすべてだし、本当に素晴らしいものだから。
LORNA SHORE Japan Tour 2026
10月7日(水)東京・豊洲PIT
10月8日(木)東京・豊洲PIT
10月11日(日)大阪・Namba HATCH
10月13日(火)愛知・名古屋DIAMOND HALL
東京・愛知 開場18:00/開演19:00
大阪 開場17:00/開演18:00
サポートアクト:DEVILOOF(全公演)
料金:東京・愛知 オールスタンディング9,500円/大阪 1Fスタンディング9,500円・2F指定席11,000円(いずれも税込・別途ドリンク代)
問い合わせ:東京 クリエイティブマン 03-3499-6669/大阪 キョードーインフォメーション 0570-200-888/愛知 キョードー東海 052-972-7466
