
今夏のフジロックでTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「CISCO ~想い出のサンフランシスコ(Shes Gone)」と「Baby, please go home」をカバー、8月にはその2曲を2ndアルバムに加えた配信限定アルバム『Everybodys Giving Up The Cabaret - Japan Tour Edition -』を緊急リリースしたUS。準備万端の状況で開催された単独ジャパン・ツアーは、期待通り過去最高の熱狂に包まれた。
過去最高の熱狂、US史上最高のショウへ
9月25日に本国フィンランドでアルバム・リリース記念のライブを敢行後、そのまま飛行機に乗ったメンバーは関西国際空港に到着し、京都へ移動。翌日27日には大阪でラジオ生出演を果たし、28日には彼らが愛するウィルコ・ジョンソンやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTと縁の深い老舗ライブハウス、京都・磔磔での公演を実現させた。
大盛り上がりだったという磔磔のセットリストを予習してから29日の恵比寿・リキッドルームへ向かったが、スタッフに聞くとこの日のセットリストは未確定だそう。その場の空気を見ながら曲順をどんどん入れ替えていくスタイルは、どうやら初期から変わっていないようだ。そしてふたを開けてみると、7月の取材時にテオ・ヒルヴォネン(ボーカル、ギター)がリキッドルームでのワンマンについて「今まで見せたものとは全然違うものになる。US史上最高のショウになるよ」と豪語していた通りで、本国でのワンマンより2曲も多い計24曲を詰め込んだ、壮絶なロックンロール・ショーを見せてくれた。

彼らの出囃子として定着したTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT「スモーキン・ビリー」が流れるや、たちまちオーディエンスの大合唱に包まれる場内。そしてメンバーが入場し始めると悲鳴にも似た歓声が上がる。この日のリキッドルームは見事にソールドアウト、日本で地道に築いてきたファンベースが強固なものになったことを実感させられた。
1曲目の「Black Sheep」から、引きちぎらんばかりの勢いで弦をかきむしるテオ。1ミリもセーブしない一心不乱の激演によって、ギターのチューニングは当然狂っていく。今夜に懸ける想いの強さがむき出しになった、掴みとしてはこの上ないパフォーマンスに圧倒された。

「Paisley Underground」、新作からの「Motor Ride (I Do Not Need No)」とアップテンポの曲をたたみかけてから、ソウルフルな「Carry Your Bag」でワンクッション置いて、狙いすましたようにキラーなリフを繰り出す「Snowball Season」で再び加速する序盤の構成のうまさは、さすがライブ巧者。まったく淀みがない。新作からの「Dying Flowers」はアルペジオから始まる、どことなくオアシスと重なる印象の曲。こういう曲でもメロディの良さを殺すことなく表現できるのが今のUSの強みだ。
新作の日本盤にボーナストラックとして収録されていた「Alright」も聴けた。ガレージ・パンク味が戻ってきた感じの、リフが痛快なロックンロールだ。そこからスライ&ザ・ファミリー・ストーン「I Ain't Got Nobody」の高速カバーへ突入。あの若さでガレージ・パンクの根っこにリズム&ブルースがあることをきっちり理解している点に、彼らの奥深さがある。
MCで日本のファンへの感謝を熱く語ってから「あっ、しゃべりすぎたらいけないんだった、用意した曲を全部君たちに聴いてもらいたいからね!」と苦笑するテオ。ここからはジム・ペンブロークの「Just My Situation」、ペン・リーの「Got To Know」と、母国フィンランドのシーンで活躍したロッカーたちの曲を続け、先達に敬意を払うことも忘れない。
新作の曲で見せた進化、ウエノコウジとの特別な共演
「It Is Gone」以降は新作から7曲を続けて演奏、彼らの”現在”を存分に見せてくれた。コーラスのコード進行に洗練を感じる「MAN RAY」はアルバム・バージョンよりシャープだったし、アルバムではマックス・ソメルヨキのギターにジミ・ヘンドリックスの影響を感じた「Maybe I」を生で聴くと、ジミも影響されたカーティス・メイフィールドの影が濃く見えた。「Yo-Yo Revolution」はベースが要となる強靭なグルーヴがド迫力。サポートベーシストはバンドの友人でもあり、今回のTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTカバー2曲のレコーディング・エンジニアを担当したヴァイノ・カルヤライネンが務めている。
強く印象に残ったのがマックスが歌う「On The Waterfront」で、アルバムがアコースティック・ギターだったのに対して、ここではテオのエレキ1本をバックに披露。普段はダミ声で歌う印象が強いマックスの穏やかな美声が映え、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにも通じる味だ。
この日の個人的なハイライトが「Night Time」で、低音弦をうまく使ったリフをどうだと言わんばかりにかき鳴らすテオの表情が忘れられない。あれは「この曲でキメてやる」と心に誓っていた男の顔だ。さらに「Hop On A Cloud」、「While You Danced」と人気曲が続き、本編ラストは原形をとどめないほどパンキッシュなサム&デイヴのカバー、「Hold On, I'm Comin'」で幕を閉じた。
そしてアンコール。「サプライズがあるよ」というテオの前振りに続いてステージに登場したのは、なんとTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのベーシスト、ウエノコウジ! 割れんばかりの声援に迎えられた本家の骨太なベースをフィーチャーして、「Baby, please go home」「CISCO ~想い出のサンフランシスコ(Shes Gone)」の2曲を共演。爆走するパン・ヒルヴォネンのハーモニカが濃厚なブルース・フィーリングを加え、新鮮に聴けた。ずっと年下のUSに、思わず「かわいいよね」と口走るウエノコウジは満面の笑み。演奏を終えた後にリーヴァイ・ヤムサ(ドラム)が恒例の日本語MCで「ウエノコウジさんと一緒に演奏することができて本当に光栄です」と、改めて感謝の言葉を贈る様子も感慨深かった。

これで終わりかと思いきや、鳴り止まない拍手に応えてステージに戻ってきたバンドは、最後の最後に初期からのレパートリー「Manchester Night Blues」を観客にプレゼント。リーヴァイのドラムソロも挟んで文字通り完全燃焼、90分に及んだワンマンを締めくくった。MCでテオが言っていた通り、度重なる来日とフジロック出演でここまで積んできた成果としてのソールドアウト公演。日本デビューからここまでの集大成と言える特別な一夜を見届けることができた我々は幸運だ。

Photo by Masashi Yukimoto
Us JAPAN TOUR 2026 セットリストプレイリスト

京都・磔磔
https://USJP.lnk.to/TOUR2026KYOTORS

東京・Liquidroom
https://USJP.lnk.to/TOUR2026TOKYORS

『Everybodys Giving Up The Cabaret – Japan Tour Edition - 』
配信中
再生・購入:https://USJP.lnk.to/EGUTCJPNTourEditonRS
永野CHANNEL ライブ「GO ACOUSTIC.」EP.01 / US (アス)
