駅前や商店街を歩けば、必ずと言っていいほど目にするようになった「買取専門店」。かつては少し入りにくいイメージもあった業界だが、今や歯医者さんやコンビニのように身近な存在になりつつある。しかしなぜ今、これほどまでに買取店が急増しているのか。リユース市場の急拡大の裏側について、大手買取専門店・買取大吉の鑑定士・木村健一さんに聞いた。
“隠れ資産”は約91兆円! 買取需要が高まる3つの理由
――最近は本当に買取店を見かけることが増えました。なぜ今、これほど勢いがあるのでしょうか?
大きく分けて3つの要因があると考えています。一つ目は「物価高」。物価上昇が続き、家計の負担感が増すなかで、身の回りのものを現金化したいというニーズが高まっています。
二つ目は「リユースの一般化」です。昔は買ったものを売るという発想がない人も多かったですが、今はフリマアプリの普及もあって、中古品を売買することが当たり前の習慣になりました。
そして三つ目が「高齢化と終活」です。今、日本の家庭に眠る“隠れ資産”は約91兆円あると言われており、その多くを保有しているのがシニア層。長年保有してきた品物を遺品整理や生前整理として、元気なうちに整理しておこうという動きが強まっています。
こうした時代背景の影響により、買取店が必要とされているんだと思います。
在庫リスクが少ない? 買取店の意外な儲けの仕組み
――同じ商店街に何軒も買取店があって、商売は成り立つものなのですか?
はい、それが十分に成り立つんです。一見すると激しい顧客の奪い合いに見えますが、むしろ買取店が密集しているからこその相乗効果が働いています。近くに何店舗もあると、お客さまからすれば『この商店街に行けば、比較して一番高く買い取ってくれるところを選べる』というメリットになりますよね。それが『あそこに行けば間違いない』という安心感に繋がり、結果的にエリア全体で大きな集客力を生み出すことができるんです。
それに加えて、買取専門店が『出店しやすいビジネスモデル』であることも店舗が増えている理由です。名前の通り「買取専門」なので、買い取った品物は店舗で販売せず、すぐに業者間オークションなどで売却するため、在庫を抱えるリスクがありません。また、販売スペースも不要なので、小さな店舗で家賃などの固定費を大幅に抑えられます。この低コストな仕組みがあるからこそ、競合エリアでも利益を出しやすく、お店が増え続けているというのもありますね。
――大手と個人店では、査定額に違いが出るのでしょうか。
そこは「買い取った後の販売ルート(販路)」をどれだけ持っているかで決まります。たとえば、卸す先が1社しかないお店は、その1社が提示した価格でしか買い取れません。
でも、例えば買取大吉のように、自社でオークションを運営していると、世界中のバイヤーや業者が値付けに参加します。A社では1,000円の評価だった品物に、B社が3万円の値を付けるといったことが実際に起こります。つまり、売却先の選択肢が多ければ多いほど、その分、お客さまにもより高い査定額を提示しやすくなります。
「コンビニ化」する買取業界。今後も店舗は増え続ける?
――今後も買取店は増え続けるのでしょうか?
国内のリユース市場は、2025年時点で約3.4兆円の規模があります。環境省は2030年までに4.6兆円へ拡大するとの予測を掲げているので、市場の拡大に伴い、買取店もまだまだ増えていくと見ています。買取大吉も現在全国で2,300店舗(※2026年9月時点)を展開していますが、ありがたいことに新規加盟のご相談が非常に多く、毎月100件近いペースでフランチャイズオーナー様に加盟していただいている状況です。商業施設などからも「出店しませんか」とたくさん提案をいただいています。
――これからの買取店は、どのような存在になっていくと思われますか?
買取店もコンビニみたいな「あって当たり前のインフラ」のような存在になっていくと思います。今はシンプルできれいな、入りやすい店構えの店舗がほとんどですし、当たり前にそこにあって、地域の皆さまが「ちょっと相談しに行ってみよう」と気軽に立ち寄れるような身近な場所になっていくと考えています。
