金価格が史上最高値圏を推移する一方、ここ数カ月は数千円単位での激しい上下が続いている。「もっと上がるはず」と期待して待つか、今のうちに手放すべきか。タンスに金を眠らせている人にとっては、実に悩ましい問題だ。

今回は、現在の金相場の異常な動きの裏側と、失敗しない売り時の見極め方について、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに詳しく話を聞いた。

金価格の値動きはなぜ激しくなっているのか

――金価格が大きく上下する状況が続いていますが、今の相場をどのように見ていますか?

9月10日時点の店頭小売価格は1グラムあたり2万4,063円(※参考: 田中貴金属工業)でしたが、8月の中旬から月末にかけては2万6,000円ぐらいまで高騰していたので、そこからまた2,000円くらい下がっています。

金価格は金そのものの需要や米国の金利、ドルの動き、戦争などの経済情勢によって変わってきます。直近でいうと、米国の利上げ観測やドル高の影響で金が下がっている側面もあると思いますね。あとは、AIの影響もあるようです。

――AIですか? AIが金相場にどう関わってきているのでしょうか?

最近、AIを使って金を売買している方も増えているようなんですよ。人間が判断するというより、AIが「今、利確(利益確定)したほうがいい」と判断したら、一気に売りに走る。その動きが同じタイミングで広がることで、相場が一気に下落するようなことが実際に起きているようです。

――なるほど……。米国の経済指標なども、金価格を判断する材料になるのでしょうか?

そうですね。8月の米国雇用統計が予想を上回る結果となりましたが、雇用が進んでいるということは、景気がいいと判断されます。そうなると「金ではなく株に投資しよう」という動きが強まるので、その影響で金価格が下落することもあります。

「様子見」で売り控える人も! 売り時を見極めるには?

――一時は2万6,000円まで盛り返したわけですから、「もう一度上がるまで売却は控えよう」と考える人も多いと思います。今は売り時なのでしょうか?

実際の現場でいうと、金を持ち込む方の数は、最も盛り上がっていた今年の春先と比べて3割ほど減っています。皆さん、やはり様子見というか、売り控えている状態ですね。

実際、年末にかけて価格が上がるとみる投資家もいます。中央銀行が金を買い続けていることは、金価格の下支えになります。また、今後米国で利下げ観測が再び強まれば、金が買われやすくなる可能性もあるからです。ただ、それもあくまで予測です。さらに情勢が悪化する可能性もゼロではありません。

――実際の買取現場では、お客さまの行動に何か変化はありますか?

金に限ったことではなく、全体的に持ち込みのペースは落ち着いています。今年の1~3月と比べると、全体では84%ほど、つまり16%減といったところですが、金の持ち込みは30%ほど減っていますね。

当店は比較的年齢層の高いお客様も多いため、暑さや雨といった天候の影響は大きいと感じています。例年、涼しくなり始める9月は持ち込みが10~20%増える時期ですが、今年は天候の影響もあるのかなと思います。

金の持ち込みは春先と比べて30%ほど減っています。正確に要因を分けることはできませんが、現場の感覚としては、15%ほどが天候的な要因、残りの15%が金相場の下落によるものではないかと見ています。

――投資目的ではなく、たまたま自宅に金が眠っているような方の場合はいかがでしょうか?

当店に金を持ち込むお客様には、投資目的で購入したというより、アクセサリーや相続品などとして保有していた方が多くいらっしゃいます。そうした使う予定のない金製品であれば、売却を検討してもよいタイミングだと思います。

昨年の今ごろは1グラム約2万円でしたが、現在はそれより3,000円ほど高い水準です。最高値から少し下がったとはいえ、歴史的に見れば圧倒的な高水準であることに変わりはありません。