フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、20日・27日の2週にわたり放送される「母と息子のやさしいごはん3 ~僕と母さんとハンバーグ~」。発達障害があり、人と接することが苦手な息子・大貴さんと、その“居場所”を守ろうと飲食店を営んできた母・貴美子さんを追うシリーズの第3弾だ。

2人を長期間見つめてきた真壁優仁ディレクター(ネツゲン)は、「お互いに背中を押し合う関係性になっている」と語る。二人三脚で歩んできた母子に、どんな変化が訪れたのか。そして、長い年月をかけて2人が作り上げてきた「ハンバーグ」を、サブタイトルに入れた思いとは――。

  • (左から)大貴さん、貴美子さん (C)フジテレビ

    (左から)大貴さん、貴美子さん (C)フジテレビ

母子に生まれた“いい距離”

2年前に放送されたシリーズ第2弾では、ようやく経営が軌道に乗り始めた店で水漏れが発生し、長期休業を余儀なくされた母と息子。その後、真壁Dのもとに大貴さんから連絡が入り、店を訪れてみると、内装や設備が取り払われ、何もない状態になっていた。

半年ほどその状態が続き、大貴さんから「もう店を辞めようと思っている」とも聞いていたため、「ここから家族がどんな道を進んでいくのか」を追っていく第3弾の取材がスタートした。

1店舗目ではコロナ禍、2店舗目では水漏れと、自分たちの努力だけではどうにもならない出来事にも翻弄されてきた母子。ただ、経営面は順調とは言えなかっただけに、新たな店を始めると聞いた時には、「純粋に“大丈夫?”と思っていました」と打ち明ける。

しかし、その休業期間が、結果として母と息子の関係を大きく動かす時間になった。

大貴さんの前に現れたのが、年上の友人・ユウキさん。店の経営に新たな視点を持ち込み、大貴さんとの距離を急速に縮めていく。真壁Dは、ユウキさんの登場によって、「ずっとくっついていたものに、ちょっと隙間ができた」と、母子にいい距離感ができたと受け止めた。

これまで、料理人の息子を支えることに人生を注いできた母。彼女の「おいしい」という一言が息子の人生を後押ししたが、今回は逆に息子の行動や言葉が母に影響を与えることになり、「お互いに背中を押し合う関係性になっているのが、以前とは大きく変わったなと思います」と実感する。

「今までお母さんは、大貴さんを支えることが自分の生きる意味ぐらいに思っていたと思うんです。でも、大貴さんが自分で生きようとする姿が、今度はお母さんを奮い立たせたのかなと思います」

  • ハンバーグを作る大貴さん (C)フジテレビ

    ハンバーグを作る大貴さん (C)フジテレビ

母と息子の歩みを見続けてきた「ハンバーグ」

距離感が変わっても、母と息子の間に変わらず残り続けるものが、ハンバーグだ。長い時間をかけて親子で作り上げてきたハンバーグは、店とともに形を変えながら現在まで受け継がれてきた。

真壁D自身、取材を始めた頃と比べ、盛り付けだけでなく味も変化していると感じている。最初の店では「どちらかというと定食寄り」で、キノコが多く乗っていたが、最近はデミグラスソースも少しずつ改良。肉の配合はほとんど変えていないものの、「大貴さんの中でちょっとずつ変えて、グレードアップさせているんです」とのことだ。

今回の放送には入りきらなかったものの、貴美子さんは「ハンバーグだけはなくさないでほしい」と何度も話していたという。真壁Dは「母と息子の歩みをずっと見てきたのが、ハンバーグだと思います」と、その存在の大きさを感じており、今回のサブタイトルも「僕と母さんとハンバーグ」に決めた。