ボブ・ディラン、1976年「ローリング・サンダー・レヴュー」を記録した39枚組の巨大ボックスセットを発表

ボブ・ディラン(Bob Dylan)がジョーン・バエズとともに全米各地を縦横に巡り、ミック・ロンソン、T・ボーン・バーネットらのギタリストや、ヴァイオリニストのスカーレット・リヴェラを擁するバンドが参加したオールスター編成の巡業ツアー「Rolling Thunder Revue」。その1976年のツアーが、39枚組の巨大ボックスセット『The Rolling Thunder Revue: The 1976 Live Recordings』として記録されることになった。

11月9日に発売される本作には381曲が収録され、そのうち371曲はこれまで一度も公式リリースされていない。また、Rolling Stoneのベテラン・ライター、ミカル・ギルモアによるライナーノーツを収めたブックレットも付属する。ボックスセットの先行公開音源として、1976年5月16日にテキサス州フォートワースで行われた公演から、『Planet Waves』収録の隠れた名曲「Going, Going, Gone」のライブ・バージョンを聴くことができる。

「Rolling Thunder Revue」の最初のツアーは、1975年10月30日から12月8日にかけて行われた。主に米東海岸の比較的小さなホールを、ほとんど事前告知なしで巡るというものだった。ディランはツアーに撮影クルーを同行させ、その映像は自身が手がけた1978年の映画『レナルド&クララ』や、マーティン・スコセッシによる2019年の疑似ドキュメンタリー『ローリング・サンダー・レヴュー:マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』の素材となった。(2019年には、このツアーについて保管庫に残されていた全公演の音源が、ボックスセット『Bob Dylan – The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings』としてリリースされている。)

1976年の「Rolling Thunder Revue」では会場の規模が大きくなり、ツアーで回る地域もアメリカのより広い範囲へと拡大した。最後から2番目となったコロラド州フォート・コリンズ公演は、NBCのテレビ特番『Hard Rain』のために撮影された。同名のライブ・アルバム『Hard Rain』も当時発売されたが、収録曲の一部は5月16日のテキサス州フォートワース公演で録音されたものだった。

『Hard Rain』に収録された9曲と、『The Bootleg Series』第1弾に収録された1976年4月21日のフロリダ州タンパ公演の「Seven Days」。今回の新たなコレクションが登場するまで、1976年の「Rolling Thunder Revue」から公式にリリースされていたライブ音源は、それがすべてだった。

欧州の著作権制度には特殊な規定があり、これらの録音は制作から50年以内にリリースされなければ、パブリックドメインとなる。そのためディランのレコード会社はこれまでにも、著作権を保護する目的でいくつもの音源集をリリースしてきたが、そのなかには、ごく限られた数のレコード店でひっそりと販売されただけのディスクもあった。今回のボックスセットが制作されなければ、ここに収められた公演音源は2027年1月1日にパブリックドメイン入りするところだった。

残念ながら、1976年5月25日にソルトレイクシティで行われた「Rolling Thunder Revue」の最終公演は、このボックスセットには収録されていない。その数日前、フォート・コリンズでテレビ収録を終えたあと、ディラン陣営が録音機材を送り返してしまったためだ。この公演は、筋金入りのディラン・ファンにとって、ある種の「聖杯」と化している。『Blood on the Tracks』の大作「Lily, Rosemary and the Jack of Hearts」が現在に至るまで唯一ライブで演奏された公演であり、さらにツアー全体を通じて「Gates of Eden」が演奏された唯一の公演でもあるからだ。(当時の新聞記事のひとつには、ディランが『Desire』収録の「Black Diamond Bay」も演奏したと記されているが、これはおそらく誤りだろう。)

4年前、熱心なディラン・ファンたちは、この公演を観客が録音したテープを探し出そうとするキャンペーンを立ち上げた。しかし、何の成果も得られなかった。おそらく、そのような録音はそもそも存在しないのだろう。

それでも、幻のソルトレイクシティ公演のテープがなくとも、『The Rolling Thunder Revue: The 1976 Live Recordings』は、ディランのファン・コミュニティに今後数年かけてじっくり掘り下げるだけの膨大な素材を提供してくれる。少なくとも、2028年の終盤に、いずれ必然的に登場するであろう1978年ツアーのボックスセットが発売されるまでは。

From Rolling Stone US.

ボブ・ディラン

『ローリング・サンダー・レヴュー:1976年の記録』

The Rolling Thunder Revue: The 1976 Live Recordings

2026年11月6日(金)リリース

完全生産限定盤(輸入盤国内仕様)

CD39枚組/全381トラック収録

価格:33,000円(税込)/30,000円(税抜)

解説:マイケル・ギルモア、萩原健太

解説翻訳:菅野ヘッケル

歌詞・対訳:中川五郎

予約・購入:https://BobDylan.lnk.to/RTR_1976