エド・シーランのツアーから前座が全員離脱 「パレスチナに自由を」発言めぐるマックルモア降板に反発

エド・シーランの「LOOP Tour」でサポートアクトを務めていたアーティスト全員が、ツアーから離脱した。マックルモアがステージ上でパレスチナへの支持を表明し、イスラエルによるガザでの戦争を批判したことを受け、ツアーから外されたことに続く動きだ。

妹ビリー・アイリッシュとの活動で広く知られるシンガーソングライターのフィニアスは、11月に開幕予定の「LOOP Tour」南米公演で、シーランのオープニングアクトを務めないことを明らかにした。「抑圧されている人々のために声を上げるアーティストが、沈黙を強いられるようなことがあってはならない」とInstagramに投稿。「今後予定されていたエド・シーランとのツアー公演から離脱することを決めた。僕はパレスチナと、そこに暮らす人々を支持する」

さらに、米国公演でオープニングアクトを務めていた残る2組、デンマークのポップ・グループ、ルーカス・グラハムと、アイルランドのシンガーソングライター、Aaron Roweも、「LOOP Tour」米国公演の残りの日程には出演しないと発表した。

グラハムはInstagramでこう綴った。「世界の別の場所で、家族が愛する人を埋葬している光景を見るのはつらい。戦争について、民間人が殺されていることについて、成長する権利を持つ子どもたちについて、僕たちは話せるべきだ。彼らがどこに暮らしていようと。その頭上にどんな国旗が掲げられていようと。

「金があるからといって、議論を支配する権利が与えられるわけじゃない。誰が発言できるのか、どの苦しみなら認めていいのかを、誰かの銀行残高が決めるべきではない」と続けた。「僕はエドが大好きだし、これまで一緒に経験してきたすべてのことに感謝している。その気持ちは変わっていない。でも、こうした言葉を世の中に発信しておきながら、今の状況のままこのツアーを続けることはできない。残りの日程から離脱する。そこにいられないことを申し訳なく思う。難しい決断だったけれど、自分の信念として貫かなければならない決断だ」

「億万長者たちがその権力を利用して、イスラエルによるジェノサイドに反対の声を上げ、その残虐行為を告発する人々の正当な声を封じるのを、黙って見過ごすことはできない」とRoweはInstagramに投稿した。Roweは、この決断を「軽々しく下したわけではない」としたうえで、シーランの友情と、これまで与えてくれた機会に感謝した。「でも」とRoweは続けた。「アイルランド人である僕たちは、ジェノサイド、強制的な飢餓、暴力的な占領がどういうものかを、あまりにもよく知っている……植民地支配に抵抗し、僕がいまアイルランドで享受している自由のために闘った祖先たちに、そして自分自身に、誠実でいなければならない」(人道支援団体や国連の調査委員会は、イスラエルのガザでの行為はジェノサイドに当たるとしている。イスラエルと、米国を含む同盟国はこれを否定している)

シーランのステージに加わり、セットのなかで数曲を共演しているアイルランドの伝統音楽バンド、Beogaもツアーを離脱する。バンドは、「シオニスト系ロビー団体によってマックルモアが沈黙させられたことを受けて」、ツアーを離れる決断をしたと説明した。

Roweと同じく、バンドもシーランの友情と、ツアーに招いてくれたことへの感謝を述べたうえで、こう続けた。「パレスチナの人々が置かれている状況を前進させるための手段として、私たちは対話を信じている。ミュージシャンにとって、毎晩あれほど大勢の観客の前で演奏することは夢そのものだ。しかし、『Free Palestine』と訴える人を沈黙させる会場で演奏することは、私たちにとって到底選択肢にはならない」

さらにこう付け加えた。「私たちはマックルモアのパフォーマンスとスピーチをその場で見ていた。彼のメッセージを全面的に支持していたし、MetLife Stadiumにいた観客の大半も同じだった。それこそがロビー団体を恐れさせている。疑うなら、スピーチの全文を読み返してほしい。私たちは植民地主義が何を意味するかを理解しているアイルランド人だ。Irish Artists for Palestine運動の創設メンバーとして、私たちは正義を求めて行動する活動家であり、これからもそうあり続ける。この一連の出来事によって、またしても本当の問題から目がそらされている。直近の、いわゆる停戦以降だけでも、1000人を超えるパレスチナ人が殺されている」

マックルモア降板の背景、スタジアム側からシーランに「最後通告」

マックルモアは9月14日(月)、シーランの「LOOP Tour」から外された。複数の会場が、シアトル出身のラッパーが出演者に名を連ねたままであれば公演の開催を認めないと、シーラン側に伝えたためだ。マックルモアはニュージャージー州のMetLife Stadiumで行われた2公演で、ガザと占領下のヨルダン川西岸地区に暮らす人々への連帯を表明し、「Free Palestine」と叫び、イスラエルによるガザでの戦争がもたらした惨状の映像を紹介。さらに、コロンビア大学での親パレスチナ抗議運動を題材にしたプロテストソング「HIND'S HALL」を披露したことで、親イスラエル団体から激しい批判を浴びていた。

マックルモアは声明のなかで、NFLニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー、ロバート・クラフトが、シーランに圧力をかけ、自身をツアーから外させる動きを主導したと述べた。「エドから、クラフトが『自分のスタジアムで僕に演奏させることはない』と言っていると聞いた」とマックルモアは書いた。「さらにエドによれば、クラフトはほかのスタジアム所有者にも働きかけ、彼らは結束して最後通告を突きつけたという。『マックルモアをツアーに残すなら、我々の会場であなたを演奏させることはできない』と」

一方、クラフトは、自身が所有するマサチューセッツ州のGillette Stadiumでマックルモアに演奏させるつもりはないことを認めた。その判断について、「このラッパーの最近の行動、ニュージャージー州で行われたエド・シーランの公演でステージ上から紹介された内容、そしてユダヤ人コミュニティにとって極めて侮辱的で、深く傷つけるものだと私たちが考える、反ユダヤ主義的な言説やイメージをめぐる、より広範なこれまでの経緯」に基づくものだと説明した。ただしクラフトは、ほかのスタジアム所有者にも「働きかけ」、シーランにマックルモアを外すよう圧力をかけたというマックルモアの主張については言及しなかった。

9月15日(火)、シーランは、マックルモアをツアーから外すという決定は自分が下したものではなく、会場側からの圧力を受けたプロモーターのMessina Touring Groupによる判断だったと改めて説明した。「今週ずっと、僕は双方の橋渡しをし、解決策を見つけようとしてきたが、残念ながら実現できなかった」とシーランは書いた。「一人の人間としても、アーティストとしても、自分が何者なのかは自分で分かっている。僕の心を知っている人たちなら、僕が何を大切にしているのかも分かっているはずだ」

シーランの代理人は、フィニアス、Rowe、Beogaの決断に関するコメント要請に、9月15日時点で回答していない。

From Rolling Stone US.