パーソル総合研究所は2026年9月11日、「公務員の職業生活に関する定量調査」の結果を発表した。本調査は2026年1月21日〜23日、中央官庁および地方自治体で働く現職公務員2,366人を対象に、調査会社モニターを用いたインターネット定量調査で実施された。
「公務員であること」に誇りを感じるのは4〜5割
「公務員であること」に誇りを感じている割合は、中央官庁職員で約5割、広域自治体(都道府県)職員で約4〜5割、基礎自治体(市区町村)職員で約4割となった。参考値として示された教員・看護師の調査結果も下回っている。
また、公務員としての誇りを高める要因として「他者貢献」因子が共通して確認された一方、誇りを損なう要因として「評価不満」因子が挙がった。社会や地域への貢献を実感できることが誇りを支える一方、自分の努力が報われないという感覚が誇りを損なうことが示唆された。
公務員の誇り、「他者貢献」は成果や感謝、「評価不満」は職務範囲やクレーム対応が影響
「他者貢献」と「評価不満」が、それぞれ何によって高まるのかを確認したところ、「他者貢献」は成果や影響の実感、直接的な感謝などによって高まることが分かった。一方、「評価不満」は、職務担当範囲の不明確さやクレーム対応などによって高まる傾向が確認された。
公務員としての誇りを支えるには、社会や地域への貢献だけでなく、その成果や影響、周囲からの感謝を実感でき、自らの成長も感じられる環境が重要とみられる。
公務員の「はたらく幸せ実感」は会社員と同水準、「不幸せ実感」は上回る
働くことを通じて主観的な幸福感・不幸感をどれほど感じているかを確認したところ、公務員の「はたらく幸せ実感」は会社員平均と概ね同水準だった。一方、「はたらく不幸せ実感」は、すべての所属・職種で会社員平均を上回った。
公務員の職業生活におけるウェルビーイングを考えるうえでは、幸福感を高めるだけでなく、不幸せの要因を減らす視点も重要と考えられる。
※会社員平均は、本調査で比較対象として取得した会社員サンプル(n=551)の結果。
公務員は「他者貢献」「自己裁量」が高い一方、「リフレッシュ」「チームワーク」「他者承認」は低い
公務員の「はたらく幸せ因子」を会社員と比較したところ、会社員平均を概ね上回ったのは「他者貢献」と「自己裁量」だった。一方、「リフレッシュ」「チームワーク」「他者承認」は概ね会社員を下回った。
「他者貢献」は会社員平均を概ね上回っているものの、成果や感謝の手ごたえを得にくく、成長や承認も実感しにくい可能性が示唆された。
市区町村の20〜30代、4人に1人が「バーンアウト型」
仕事への活性度と心理的ストレスの傾向から公務員を4タイプに分類したところ、20〜30代では「ワーク・エンゲイジメント型」がいずれの所属でも約2割にとどまった。一方、基礎自治体では、仕事への熱意が低くストレスが高い「バーンアウト型」が26.2%となり、4人に1人を占めた。また、広域自治体では「不活性型」が相対的に多い傾向となった。
全年代でみると、「バーンアウト型」の転職意向は41.0%で、「ワーク・エンゲイジメント型」の20.3%を上回った。
さらに、継続就業意向と転職意向を組み合わせて年代別に4類型化したところ、20〜30代では「潜在流出群」が17.1%、「離職切迫群」が15.9%となり、合わせて33.0%と約3人に1人を占めた。
一方、「定着安定群」は41.7%だった。40〜60代では「潜在流出群」が11.3%、「離職切迫群」が16.6%、「定着安定群」が50.0%となった。
市区町村では52.7%がクレーム対応を個人で担当
日々の業務で「一般の国民・住民」を最も意識する割合は、中央官庁で53.1%、広域自治体で60.5%、基礎自治体で63.4%となった。一方、「直接、感謝の言葉をかけられることが多い」と回答した割合は、基礎自治体でも20.4%にとどまった。住民への貢献を強く意識する一方、その成果や感謝を実感しにくい実態が示された。
また、クレーム対応を個人で担っている割合は、基礎自治体で52.7%と半数を超えた。クレーム対応によって心身が疲弊する、または多くの時間を割かれると回答した割合は、基礎自治体の本庁勤務で45.4%となった。
公務員を家族や友人に勧めない理由、「ストレスが多い」が上位
公務員を家族や知人、友人に勧めない理由では、中央官庁のいずれの職種でも「ストレスが多い」が上位となった。行政職(政策系)と技術職では「残業や業務量が多い」が最多だった。
地方自治体でも「ストレスが多い」が上位となり、「成果が評価されにくい」「ルールや手続きが多く自由度が低い」といった理由も多く挙がった。また、広域自治体の技術職では「給与が低い」が最も多かった。
技術職の継続就業意向と転職意向を組み合わせた4類型では、所属を問わず転職意向が高い群の割合が高い傾向がみられた。特に、広域自治体の技術職では「潜在流出群」、中央官庁の技術職では「離職切迫群」がそれぞれ約2割を占めた。
公務員の成長実感、すべての所属・職種で会社員を下回る
仕事を通じた成長実感は、すべての所属・職種で会社員平均の48.6%を下回った。特に基礎自治体の行政職は33.8%、技術職は35.1%となった。
また、部署異動前後の仕事内容に関連性がある職員は、成長実感が高い傾向となった。特に中央官庁でその傾向がみられ、異動前後の仕事内容に関連性がある場合は、スキル・知識の深化や組織理解にもつながりやすかった。
一方、関連性がない場合は、異動前のスキル・知識や人脈を活かせていないと感じる割合が高くなった。
働き続けたい気持ちに最も強く関連するのは「長期的なキャリアの見通し」
公務員としての継続就業意向には、「長期的なキャリアの見通し」が最も強く関連し、次いで「他者貢献因子」「役割認識因子」が続いた。若手職員では「役割認識因子」の影響が特に大きく、中長期的なキャリアの見通しに加え、自らの役割や目の前の仕事の意味を実感できることが重要であることが示唆された。
また、公務員の職業イメージを形成する情報源では、「家族・親族関係」が年代を問わず約4〜5割と高かった。


















