corto.altoが語るグラスゴー・ジャズの新時代、越境的サウンドを生み出すコミュニティの絆

UKジャズはひとつのシーンとしてすっかり定着したが、その中心は長らくロンドンだった。ところが2020年代に入り、イギリスのジャズに新たな展開が起き始めた。スコットランドの街グラスゴーから、新しい才能が次々と登場するようになったからだ。イギリスの音楽賞マーキュリー・プライズでは、2022年にピアニストのファーガス・マクレディ(Fergus McCreadie)、2024年にマルチ奏者/プロデューサーのコルト・アルト(corto.alto)がノミネートを果たし、彼らと同じコミュニティに属するミュージシャンたちも、メディアで取り上げられる機会が増えてきた。今やグラスゴーは、注目すべきジャズ・シーンのひとつとなっている。

興味深いのは、彼らが地元のグループや名門ジャズ・オーケストラで育ち、その後、全英規模で成功を収めてからもロンドンへ移ることなく、地元に根ざして活動を続けていることだ。そして、地元のコミュニティとともに制作を重ね、その成果によって評価を勝ち得ている。コルト・アルトは、まさにそんな現在のグラスゴーのジャズ・シーンを体現する存在だ。

リアム・ショートールのプロジェクトであるコルト・アルトは、グラスゴーのミュージシャンたちによる演奏を地元で録音し、それを自宅スタジオで編集。さまざまなジャンルが入り混じるハイブリッドな音楽へと仕立て上げるサウンドで人気を集めてきた。その後、イギリスの名門レーベル〈Ninja Tune〉と契約し、新作『SOME SMALL FORTUNE』を発表した。

世界各地のシンガーやラッパーをゲストに迎えた野心作だが、その核となる演奏を担っているのは、ファーガスをはじめとするグラスゴーの盟友たちだ。自身のスタイルを保ちながら、その音楽性を大きく拡張した充実作。まだ日本では十分に紹介されていない彼の音楽を掘り下げた。

グラスゴーで育まれた音楽観

―ジャズをどのように学んできましたか?

リアム:最初はロック・ミュージックに興味があって、10歳くらいの時にギターを弾き始めた。学校の友達がギターを弾いていて、それがすごくクールだったから、彼を真似してね。それから同じくらいの頃にトロンボーンも始めて、ジャズやインプロビゼーションに興味を持つようになり、クラシックも少しやった。

16歳の時にグラスゴーの王立スコットランド音楽院に進学して、作曲や、より本格的なジャズに興味を持つようになったんだ。その一方で、ずっとエレクトロニック・ミュージックやプロダクション、ビート作り、ヒップホップ、ダンス・ミュージックにも興味があった。ただ、その二つを結びつけることは、当時ほとんどなかった。

そして21歳の頃、コルト・アルトを始めた。当初はプロダクションをほとんど加えず、生演奏をその場で録音するスタイルが中心だった。でも、音楽をリリースしていくにつれて、次第にエレクトロニック・ミュージックの要素が強くなっていった。1stアルバム『Bad With Names』(2023年)はかなりジャズ色の強い作品だったけど、同時にエレクトロニックなプロダクションも多く取り入れていた。

そして今回のニューアルバムには、シカゴ出身のラッパー、ミック・ジェンキンス、スコットランド出身のフォーク・アーティスト、ジェイコブ・アロン、ロンドン出身のポップ・アーティスト、Binaなど、8人のフィーチャリング・アーティストが参加している。音楽性はかなり多岐にわたっているけど、プロダクションや歌詞によって、アルバム全体としてはしっかりまとまっているんだ。今回は、これまで作ったことのないようなアルバムにしたかった。あれ、僕、質問にないことまで答えてるね(笑)。

ミック・ジェンキンス参加「WHODIS」

―王立スコットランド音楽院で学んだことの中で、アーティストとしての活動に影響を与えたと思うことがあれば教えてください。

リアム:音楽的にも多くのことを学んだけど、僕にとって一番大きかったのは、みんなが同じことに興味を持っているコミュニティに身を置けたことだと思う。若い頃にグラスゴーへ引っ越して、たくさんの音楽に触れ、自分より数歳年上の、憧れていたミュージシャンたちに出会えた。ジャムセッションをしたり、一緒に時間を過ごしたりして、24時間365日、音楽に囲まれていた。それが僕にとって最大の学びだったと思う。ミュージシャンとして成長できたのは、主にジャムセッションやリハーサル・ルームでの経験を通じてだったんだ。

4年間ひたすら音楽を演奏し続けたことも重要だった。オンライン講座を受けたり、YouTubeを見ながら独学したりするだけでは、なかなか得られない経験だったと思うよ。

―なぜ王立スコットランド音楽院から、それだけ多くの優秀なミュージシャンが輩出されているのだと思いますか?

リアム:正直なところ、それはグラスゴーという街そのもののおかげも大きいと思う。この街にはライブハウスがたくさんあるし、当時は生活費や家賃も比較的安かった。だから、別の仕事に追われすぎず、クリエイティブな活動に時間を使いやすかったんだ。

それに、王立スコットランド音楽院には優れた教師が揃っているし、何よりコミュニティを大切にする雰囲気がある。競争的というより、フレンドリーで温かい。その環境が、音楽を作るうえですごく大きかったと思う。

―グラスゴーの中で、あなたの活動において特に重要だったヴェニューやスペース、バー、パブ、クラブなどはありますか?

リアム:50カ所くらいは挙げられると思うけど、特に重要なのは「BLOC+」かな。週に5晩、無料ライブをやっていて、ミュージシャンへの報酬もしっかり払ってくれるし、アクセスもすごくいい。それから数年前、僕の家のすぐ近くにできた「The Rum Shack」も、新進のミュージシャンを積極的にサポートして、初めてライブをする機会を作ってくれている。どちらも、僕の音楽活動にとってすごく重要な場所だよ。

―グラスゴーのシーンの中で、特に重要な存在だと思うアーティストや、あなた自身が影響を受けたアーティストがいたら教えてください。

リアム:本当にたくさんいるよ。グラスゴーで得るインスピレーションの多くは、僕と同じように音楽をやっている親友たちから来ていると思う。

例えば、僕のバンドでピアノを弾いているファーガス・マクレディとは、13歳くらいの頃からの知り合いで、一緒に育ってきたんだ。親友の一人だし、本当に刺激を与えてくれる存在でもある。僕たちはまったく違う音楽を作っているし、ジャズの世界でもそれぞれ別の領域にいると思う。でも、それでも一緒に演奏できるのが嬉しい。彼は本当に多才なミュージシャンなんだ。

ジャズ以外にも、刺激を受けているアーティストはたくさんいる。僕はパンクが大好きで、特に「Doss」というバンドがお気に入りなんだ。今回のアルバムにも、僕自身が大ファンで声をかけたアーティストが参加している。ジェイコブ・アロンはフォーク・シンガーで、ギタリストとしてもソングライターとしても素晴らしいし、テラキンも参加しているスコットランド出身のアーティストの一人だ。

僕の大きな夢のひとつは、グラスゴーでさらに多くのアーティストを見つけて、一緒に仕事をすることなんだ。もちろん、次のアルバムにアンダーソン・パークやケンドリック・ラマーみたいなアーティストをフィーチャーできたら最高だけどね(笑)。でも僕にとって一番エキサイティングなのは、家から5分くらいのところに住んでいるのにまだ一度も会ったことがなくて、しかも僕とはまったく違う音楽を作っている人に出会うことなんだ。

ジェイコブ・アロン参加「NOBLEHILL」

―特に研究してきた作曲家はいますか?

リアム:若い頃はアート・ブレイキーにすごくハマっていて、彼の音楽は何でも大好きだった。それから、作曲家だとブラームス。彼の弦楽四重奏曲が本当に好きだったね。他にはJ・ディラ、それにウィントン・マルサリスも大好きだ。ウィントンのオーケストレーションには本当に惹かれるんだ。それから、クインシー・ジョーンズが手がけたアレンジも全部好きだね。

―では、研究してきたビートメイカー/プロデューサーだとどうですか?

リアム:J・ディラについてはもう話したよね。それに加えるなら、モンテ・ブッカー。彼の音楽の作り方が本当に好きなんだ。子供の頃はア・トライブ・コールド・クエストをたくさん聴いていたし、デ・ラ・ソウルのような90年代のアメリカ東海岸のヒップホップも大好きだった。特に、あの時代のプロダクションにはすごく惹かれるんだ。グールーの『Jazzmatazz』も好きだしね。現代のプロデューサーで言えば、ティンバランドも大好きなんだけど、彼が今AIを使っているのはちょっと悲しいな。ドクター・ドレーもそうだけど……。

Photo by Michal Augustini

ジャズはジャンルではなく「言語」

―ジャズ・ミュージシャンとして活動してきたことは、プロデューサーとしてのあなたにどんな影響を与えていると思いますか?

リアム:僕にとってジャズは、音楽のジャンルというより、むしろ「言語」のようなものなんだ。その範囲はとても広くて、さまざまな表現ができる。だから、ある種の考え方や技法を身につければ、それをダンス・ミュージックやヒップホップ、ビートメイキングなど、他のあらゆる音楽に応用できる。

ジャズから得たもののひとつとして挙げられるのは、絶え間なく動き続けるようなドラムかな。僕の音楽のグルーヴは、スウィングや伝統的なジャズとはかなり違うけど、あのせわしなく刻まれるブレイクビーツの多くは、自分のジャズのバックグラウンドから来ていると思う。もちろん、ハーモニーやメロディーなど、ジャズから取り入れている要素もたくさんある。

でも、実際に音楽を作っているときは、そういうことをあまり意識していない。できるだけ多くのものを吸収して、頭の中を音楽で満たしておきたい。そして作るときに、その一部が自然と表れてくれればいいと思っている。「ジャズとヒップホップとパンクを混ぜよう」みたいに計画しているわけじゃない。そのときに「これだ」と感じるものを作っているだけで、結果としていろいろな影響が自然と表れてくるんだ。

―逆に、プロダクションができることは、ジャズ・ミュージシャンとしてのあなたにどんな影響を与えていると思いますか?

リアム:僕にとってライブはすごく重要なんだ。同じセットリストやアレンジで演奏することはほとんどなくて、毎晩まったく違う展開になる。それがジャズ・ミュージシャンであることの魅力だと思う。そこにエレクトロニックな要素を取り入れることで、さらに自由度が増して、バンド全員でその場の流れに反応しながら演奏できる。同じ曲を何年やっても二度と同じ演奏にはならないし、それがこの音楽を新鮮に保ってくれているんだ。

―初期のEP『Not For Now』(2021年)を聴くと、バンドによる生演奏が中心ですが、『Bad With Names』では、自分たちの演奏をサンプリングしたり、編集したりしながら曲を作り上げるようになりましたね。

リアム:僕は、音楽のさまざまな要素を再利用したり、アイデアをリサイクルしたりするのが大好きなんだ。ひとつのアイデアからだって、100万通りの曲を生み出せると思っているからね。だから、ひとつのアイデアをあらためて掘り下げたり、サンプリングやリサンプリングを使ったりするのも好き。たいていは、スタジオで何時間も音をいじっているうちに、自然とそういう形になっていく。正直、なぜ自分がそうするのかは、うまく説明できないんだけどね。

―1stアルバム『Bad With Names』のコンセプトを改めて聞かせてください。

リアム:あのアルバムは完全にインストゥルメンタルだった。だから、そこにあえて特定の意味を込めようとは思わなかった。僕にとってインストゥルメンタル・ミュージックの最大の魅力は、例えば先週聴いた曲が、今週聴くとまったく違う意味に感じられるところにあるから。同じ音源なのに、そのときの自分の状況によって受け取る意味が変わる。

一方で、歌詞のある音楽は、メッセージが何なのかという点で、もう少し方向性が定まっている。作曲家や作詞家が、自分たちが何を感じていたのか、聴く人にどう感じてほしいのかを伝えるものだからね。

インストゥルメンタルは、そのときの気分や人生で経験していることに応じて、さまざまな意味を帯びることができる。だから『Bad With Names』というタイトルにしたのも、そもそも曲に名前を付けたくなかったからなんだ。でも、人に曲を見つけてもらうには何かしら名前が必要になる。だから、あえてランダムで、意味を限定しない余白のあるタイトルにしたんだ。

「手放す」ことで広がった『SOME SMALL FORTUNE』

―次は最新アルバム『SOME SMALL FORTUNE』のコンセプトを聞かせてください。

リアム:コンセプトとしては、思い出や自分の記憶力にまつわる話ではあるんだけど、もう少し広い意味もある。僕は記憶に関していろいろ悩むことがあって、友達に「あのとき、僕たち○○したの覚えてる?」って聞かれても、「うーん、覚えてないな」ってなる。2週間のホリデーに行ったときのことさえ、ほとんど思い出せないこともある。去年はどうすれば改善できるのかと考えすぎて、そのせいで暗い気分になっていったんだ。

だから、アルバムを「ちょっとした幸運(some small fortune)」というタイトルにした。たとえ正確な時間や場所、そこで何が起きたのかを細かく思い出せなくても、そういう出来事を経験できたこと自体には感謝したいと思ったから。素晴らしい家族や友人たちに恵まれているし、今こうして自分のやりたいことができているのも、本当にラッキーなことだからね。

僕にとってこのアルバムは、自分が持っているものすべてに感謝しようと思わせてくれるものなんだ。感謝を忘れず、ポジティブでいるための、ちょっとしたリマインダーみたいなものだよ。

―『Bad With Names』は地元グラスゴーのコミュニティをベースに作られましたが、『SOME SMALL FORTUNE』では多くのゲストを迎えています。そうした変化にはどんな理由があったのでしょうか。

リアム:当初からラッパーやフォーク・アーティストを起用しようと考えていたわけではない。単純に、今回参加してくれたアーティストたちのことが好きだった。僕にインスピレーションを与えてくれる人や、コラボレーションすることで何か面白いものを生み出せそうだと思える人と、一緒に仕事をしたかったんだ。それに、僕自身ヒップホップやフォーク、ダンス・ミュージック、アフリカ音楽など、いろいろな音楽に興味がある。だから結果的に、かなりジャンルに縛られないアルバムになったと思う。

ただインストゥルメンタル・トラックの上にボーカルを乗せるだけのものにはしたくなかった。もっとソングライティングのプロセスそのものに深く入り込んで、それぞれのアーティストと、どうすれば面白いものが作れるのか、どんなサウンドになるのかを一緒に考えた。何度も話し合いを重ねたし、かなりの時間と労力をかけた。でも、そのぶん自分たちなりにしっかり形にできたと思っているよ。

―『SOME SMALL FORTUNE』では、参加した器楽奏者それぞれの個性も、よりはっきり聴こえるようになったと思います。制作について聞かせてもらえますか?

リアム:ドラムであれピアノであれ、自分で演奏しながら曲を書くことが多いかな。もちろん、自分がピアノやドラムを演奏しているところを誰かに聴かせることは絶対にないけどね(笑)。LogicやSibeliusを使って、大部分は自分で作曲しているし、楽譜や弦楽パートも自分で書いている。

でも、僕にとってすごく重要なのは、参加してくれる人たちを心から信頼することなんだ。自分では「これは最高だ」と思ったドラムパートやピアノパートでも、ファーガス・マクレディやグラハム・コステロがスタジオに来て演奏すると、僕が想像していたものとはまったく違う、しかも10倍くらい良いものに仕上げてくれる。

自分のアイデアや「こうあるべきだ」という考えを手放すのは、ときにすごく難しい。でもこのアルバムを作る中で、「自分はドラマーじゃないし、ピアニストでもない」と認めなきゃいけないんだと気づいた。特に、僕にとって世界最高のピアニストの一人であるファーガスに、何を弾くべきか細かく指示するべきじゃない。

だから今回は、テンポやグルーヴ、キックやスネアの位置、コードといった基本的なことだけを伝えて、そこから先はミュージシャン自身の解釈に委ねた。以前は音符まで細かく書き込んだ大がかりなスコアを作っていたけど、今はあえて余白を残しているんだ。自分の音楽に関してはかなりコントロール・フリークなところがあるから、手放すことを学べたのは大きかったよ。

―ファーガスとのレコーディングについて、もう少し聞かせてもらえますか?

リアム:ファーガスは演奏が良すぎるから、実はあまりたくさん録音したくないんだ。使いたくなる素材が増えすぎてしまうからね。例えばピアノソロを7テイク録ったら、どれを使うか絶対に決められない。

だから今回のアルバムでは、ピアノ・パートをすべて2時間で録音して、全部ワンテイクで済ませた。しかもファーガスは事前に曲をまったく聴いていなかった。曲の構成とコードだけを書いたシンプルな楽譜を渡して、2時間で全15曲を録音した。1曲につき1テイクという感じだね。彼にはそれが一番合っていると思う。その場でこちらの想像を超えるものを出してくれるから。

それから、僕はとにかく常にたくさんの曲を書いている。その90%はひどい(笑)。でも、それでいいんだ。以前は6時間かけて曲を書いて、翌日に聴いて「時間の無駄だった」って腹を立てることもあったけど、今はただ楽しむために作るようにしている。

100曲作れば、そのうち10曲くらいには発展させられるアイデアがあるかもしれない。それを練り直して、ボーカリストに送って、最終的にアルバムになっていく。今はそんなふうに、とにかく大量の音楽を作り続けているよ。

ファーガス・マクレディのピアノ演奏

グラスゴーらしさとは「コミュニティと友情」

―『SOME SMALL FORTUNE』は前作と比べて、エフェクトの使い方やミックスも進化していると感じました。そのあたりはいかがですか?

リアム:僕にとって、ポストプロダクションはかなり重要なんだ。今回のアルバムをミックスしたのは、ブラジルに住んでいるパウロ・ジェルマーノ(Paulo Germano)。僕自身も前のアルバム『30/108』は全部自分でミックスしたし、他の人の作品を手がけることもある。でも、パウロから返ってきたものを聴くたびに、「僕は絶対にミックス・エンジニアにはなれないな」って思わされたよ(笑)。それくらい彼はすごいんだ。

一方、エフェクトに関しては、僕自身がかなり時間をかけて実験している。音を逆再生したり、テープ・マシンやフランジャーを通したりして、「これ、どうやって作ったんだろう?」と思ってもらえるようなサウンドにしたい。僕自身でも同じ音を再現できないことがあるくらい、偶然から生まれたものも多いんだ。

でも今回は歌詞があって、多くのボーカリストが参加しているから、やりすぎないことも学んだ。僕はついエフェクトやレイヤー、シンセ、パーカッションを詰め込みすぎてしまうんだけど、それでは歌詞が入ってくる余白がなくなってしまう。心に深く響くような歌詞には、それがきちんと伝わるためのスペースが必要なんだ。

だから最後の2週間は、ひたすら不要なものを削った。「あのタンバリンはいらない、このシンセもいらない」ってね。どのレイヤーが本当に曲に必要なのか、歌詞を引き立てているのか、それとも単に自分を賢く見せようとしているだけなのか。そういうことをひとつずつ見極めた。すごく時間がかかったよ。

―コルト・アルトの音楽にはさまざまな要素が入っていますが、自分の中に「グラスゴーらしさ」があるとすれば、どんなところだと思いますか?

リアム:サウンド的には、まったくそういう要素はないよね。フィドルやバグパイプが入っているわけでもないし。

―でも、ステージではキルトを着ていましたよね。

リアム:おお、ありがとう。僕はステージではいつもキルトを着るんだ。それは、自分がスコットランド人であることを誇りに思っているし、それを表したいから。でも音楽的には、伝統的なスコットランド音楽にはこれまであまり興味を持ったことがない。僕にとって重要なのは、コミュニティそのものなんだ。

僕のアルバムは、そういう意味ですごくスコットランドらしいと思う。参加しているのは、単に「一番いいドラマー」「一番いいピアニスト」を探して集めた人たちじゃない。彼らは一緒に育ってきた仲間で、僕にとっては兄弟のような存在なんだ。音楽以外でも、友人として一緒にいろいろなことを乗り越えてきた。

このアルバムはグラスゴーにある僕のアパートの一室でレコーディングされていて、大きなスタジオは一切使っていない。僕の音楽そのものが、グラスゴーと、このコミュニティに捧げられているんだ。もちろん、聴いた人が「ああ、これはスコットランドのアルバムだ」と思うことはないだろうね。でも僕にとっては、音楽そのものよりも大きな何かを象徴している。それはコミュニティであり、友情なんだ。

今日こうして君たちと話しているのは僕だけど、僕はこのプロジェクトの「代表(chairman)」みたいな役割をしているに過ぎない。これはコミュニティ全体で作り上げているものなんだ。僕は世界中の人たちに、ここグラスゴーでは今、いろいろなことが起きているんだって伝えたい。

corto.alto

『SOME SMALL FORTUNE』

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国内盤仕様:解説書・歌詞対訳付き/日本盤ボーナストラック追加収録

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