
リル・ヨッティ(Lil Yachty)が結成したコレクティブ「コンクリート・ボーイズ」の一員として最後に作品を発表してからの2年間、KARRAHBOOO(カラブー)は自分の生活がそれほど変わったとは感じていないという。新曲はできていたものの、レーベルとの問題が絡み、リリースできずにいた。何度かライブ配信を試してみたことを除けば、ほとんど足踏みの状態だった。「見た目よりずっと難しいんだよね。見ている人を楽しませなきゃいけないけど、私はもっと落ち着いたタイプだから」と彼女は言う。「ずっと停滞していたのは……待って、言葉の使い方、これで合ってる?」。そこでいったん言葉を切り、言い直した。「あまり変化がなかったのは、ただ曲を出せなかったから。本当に、ちょっと身動きが取れなくなっていたんだよね」
KARRAHBOOOが米ローリングストーン誌の取材に応じたのは、長らく延期されていた”デビュー”ミックステープ『NOT DA 2』をリリースする前日だった。新鮮で活力に満ちた楽曲が並ぶこの作品は、目立った動きのなかった数年間を埋め合わせて余りある。「楽しみでもあるし、緊張もしてる」と、彼女はZoom越しに話す。「ほっとしている気持ちもある。ずっと曲を出せなかったから。やっと出せるようになった今、どんな気持ちでいたらいいのか、自分でもよくわからない。いろんな感情があるんだよね」
形式上はこれがデビュー作だが、KARRAHBOOOはヒップホップの新世代のなかでも、すでによく知られた顔の一人と言っていいだろう。アトランタ出身のこのMCは、リル・ヨッティの個人アシスタントとしてキャリアをスタートさせ、2022年の「Money Counter」で注目を集めた。まるで何の苦もなく生まれたかのように軽やかで、メロディアスな快作だ。VeezeやLuckiにも通じる彼女のフロウは、くつろいだ会話のようでありながら、緻密で豊かなリズムを刻む。その魅惑的な組み合わせを、ダンスミュージックにも近づくメロディ感覚が、さらに際立たせている。
続いて「40」と「Running Late」を発表。その後、音楽プラットフォーム「On the Radar」で披露したフリースタイルによって、控えめな声の奥に尽きることのない機知と凄みを秘めたラップが広く知られるようになり、ヨッティのレーベル、コンクリートはラップシーンで一目置かれる存在へと躍り出た。しばらくの間は、すべてが順調に進んでいた。ラトー、マライア・ザ・サイエンティスト、キー・グロックとツアーを回り、コーチェラやローリング・ラウドにも出演した。ところが、そこですべてが止まってしまった。
「あの一件が起きるまでに、私は4曲しか出していなかった」と彼女は言う。「そのあと2年間、まったく曲を出せなくなった。だから、みんな私をどう捉えればいいのか、わからないんだと思う」
「あの一件」とは、もちろん2024年に起きたヨッティ、そしてコンクリート・ボーイズとの決裂を指している。長年の友人だった彼女とヨッティの個人的ないさかいは、瞬く間にネット上のゴシップのネタになった。
今のKARRAHBOOOの話を聞くと、いまだに根強く残る誤解の一つは、実に単純なものだ。コンクリート・ボーイズを離れてから新曲が出なくなったのを見て、人々は彼女のアイデアが尽きたのだと思い込んだ。
「なぜか、私がヨッティと契約していたことを知らない人がすごく多いんだよね」と彼女は言う。「彼と揉めたあとも、すごく長い間その契約に縛られていて、音楽を出せなかった。みんな、私が曲を出さないのは、彼がいないと何もできないからだと思っていた。でも、彼が関わるようになる前から、私は自分でやっていたんだよ」(ヨッティは以前、自分がKARRAHBOOOのリリースを妨げているという主張を否定している)。
KARRAHBOOOによると、現在はその契約を完全に解消し、マーキュリー・レコードと契約している。最近の作品は、マーキュリー・レコード/リパブリックとの提携のもと、自身の会社NotTheTwo LLCを通じて発表されている。「今の彼は、ただの友達」と、彼女はヨッティについて話す。「私を応援してくれる存在。もう私のボスじゃない」
仕事上の上下関係を離れ、再び友人同士になるまでの経緯は、決裂したときに比べるとずっと穏やかなものだった。今年に入り、ヨッティが非公開のInstagramアカウントに、昔のKARRAHBOOOの写真を投稿。それを見た彼女は、「何、私が恋しくなった?」といったコメントを残した。
彼女がFaceTimeでヨッティに電話をかけたとき、そばには友人がいた。「『ねえ、私がいなくて寂しいの?』って聞いたんだよね」と彼女は振り返る。「そしたら彼が『うん』って。それで、それまでに起きたことを全部、じっくり話した。それで仲直りしたんだ」
その和解は、『NOT DA 2』にも刻まれている。ヨッティは、まさに「仲直りした」という意味の「Patched It Up」に参加した。さらに2人は最近、ヨッティのポッドキャスト『A Safe Place』の収録も行ったという。そこで再び話題に上ったのが、彼女の音楽はすべて自分が手がけていたという、かつてのヨッティの主張だった。
「何がいちばん引っかかっているかわかる?」と彼女は言う。「彼が書いたのは、彼自身の曲で私がラップするヴァースなんだよ。なのに、なんか……私の曲を書いたわけじゃないんだって」
当時の自分の対応にも、至らないところがあったと彼女は認める。最初の数カ月は、揉め事をネットに持ち込みたくなくて沈黙を守っていた。だが、ひっきりなしに寄せられるコメントや、食い違う話が飛び交う状況に、やがて耐えられなくなったという。「もう我慢できなくなったんだよね」と彼女は言う。「感情が爆発して、見境がなくなってしまった。うまく対処できたとは思わない。でも、そこから学んだことはある」
何を学んだのだろうか。
「誰が相手でも、ネットでビーフをするべきじゃないってこと」と彼女は言う。「お互いの電話番号を知っているんだから、話し合えばいい。感情よりも仕事を優先しなきゃいけないんだと思う」
『NOT DA 2』の約9割は、リリースできなかった2年間にレコーディングされたという。作品の多くに刻まれているのは、自分のキャリアが足踏みする一方で、自分をめぐる話だけが本人不在のまま進んでいくのを見つめていた、当時のKARRAHBOOOの姿だ。
「あの頃は、怒ったり傷ついたりしていることが多かった」と彼女は言う。「だから、ちょっと怒っているように聴こえるんだよね。でも、私は優しい人間だよ。そんなに怒ってばかりいるわけじゃない」
そのもどかしさは、プロダクションからも聴き取れる。Truebeatzzと制作を進めるなかで、KARRAHBOOOは初期の楽曲に見られた、デトロイトの影響を感じさせる抑制の利いたサウンドから意識的に離れ、よりハードで躍動感のあるビートへと向かい始めた。
彼女はTruebeatzzに、なぜいつも彼の考える”KARRAHBOOOらしいビート”ばかり送ってくるのか、と尋ねたことを覚えている。「なんでストリートの連中とか、トラップをやっている連中が使うようなビートをくれないの?」と聞いたのだ。「なんで私には、ぶち上がるようなやつをくれないわけ? そういうのもやらせてよ」
とはいえ、『NOT DA 2』のハードなサウンドも、彼女にとっては一時的なものにすぎないのかもしれない。ラッパーになる前、KARRAHBOOOは何年もDJとして活動しており、普段聴いている音楽の幅は、自身の作品から想像されるよりも広い。幼い頃に両親が別れ、双方の家族のもとを行き来するなかで、「昔の白人の音楽」やブラックミュージック、そしてジャマイカ出身の母方の家族が聴いていたカリブの音楽に触れたという。最近は、ラップよりもR&Bやオルタナティブ・ミュージックを聴くことのほうが多いかもしれない、と彼女は話す。
『NOT DA 2』では、「Understand Me」でその多彩な音楽的背景を生かした試みに挑んでいる。プロデューサーのノア・ブレックファストと組み、彼女が好む、霞がかったようなオルタナティブ・ミュージックに近いサウンドを作り上げた。いずれ発表するデビューアルバムでは、さらにその先を目指している。ガーナ系アメリカ人シンガーのMoliy、そしてとりわけLaila!との共作について、彼女は熱っぽく語る。Laila!の独創的なプロダクションには、アルバムの重要な部分を担ってほしいと考えている。
「このミックステープは、うん、いい作品だと思う」と彼女は言う。「でも、アルバムは最高の作品にしたい」
ここまでのキャリアには騒動がつきまとってきた。それでもKARRAHBOOOは、『NOT DA 2』を、ラッパーとしての自分の実力を世間に問うための作品にするつもりはなさそうだ。彼女が本当に望んでいるのは、ようやく十分な数の楽曲を世に送り出し、その音楽を聴いたうえで、リスナーにKARRAHBOOOというアーティストを判断してもらうことだ。「私には、ちゃんとチャンスが与えられたことがなかった気がする」と彼女は言う。それも、もうすぐ変わるかもしれない。
「誰かに頼らなくてもやれるって、みんなにわかってもらえたらうれしい」と彼女は言う。「私は自分でできるし、実際にやったんだから」