CORTISのライブは、もっと自由になれる 初の単独ツアー日本公演に見た5人の現在地と可能性

2025年8月のデビューから約1年。CORTISが自身初の単独ツアー『2026 CORTIS TOUR 』を開催した。韓国・仁川を皮切りに北米、ソウルなどを巡る全9都市14公演は全席完売。日本では9月4日から6日までの3日間、神奈川・ぴあアリーナMMで公演が行われた。その初日となる9月4日。会場に足を踏み入れてまず目に飛び込んできたのは「赤」。ステージも客席も赤い光に染められ、開演前からCORTISの世界へと引き込まれていく。暗転しただけで、ぴあアリーナMMを大歓声が包む。スクリーンにはライブ直前にメンバー5人が肩を組む姿が映し出され、リアルタイムで撮影される縦型の映像をつなぎながら、MARTIN、JAMES、JUHOON、SEONGHYEON、KEONHOが登場した。

【写真】『2026 CORTIS TOUR <PUT YOUR PHONE DOWN> IN JAPAN』

「俺たちの初めてのツアーですけど、もっと声出せるよな?」JAMESが客席を煽り、KEONHOが「みなさん立ってくださいね」と呼びかける。そしてJAMESの「Put your phone down!!!」という叫びを合図に「YOUNGCREATORCREW」へ。そのまま「FaSHioN」「REDRED」と人気曲を駆け抜けていく。「REDRED」が始まれば、客席から飛んでくる「REDRED!」のコールは耳をつんざくほど。日本での単独公演を待ち望んでいたファンの熱気と期待感が、一気に噴き出した。

ステージセットは意外なほどシンプル。目立つものといえばソファが一台。巨大なLEDにメンバーの顔を大きく映すことも少なく、リリックやタイポグラフィを使ったグラフィック、レーザー、照明、CO2などで、ステージ全体をひとつの画として見せていく。一人ひとりのビジュアルを見せることよりも、デザインとしてかっこいいかを優先しているように感じられた。

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

しかもおもしろいのは、すべてを完璧に作り込んでいるようには”見せない”という点だ。全員でダイナミックに踊っていたかと思えば、誰かがソファでくつろぐ。ライブ自体に、どこかクラフト感があり、意図的に力を抜いているような余白がある。グループ名の由来となった「COLOR OUTSIDE THE LINES」(線の外に色を塗る)には「世の中が定めた基準やルールにとらわれず、自由に思考する」という意味が込められているが、その姿勢はライブの作り方にも表れているようだった。そんなクールなステージと対照的なのが、MCで見える5人の素顔だ。

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

「僕たちがついに日本にやってきましたー!」とMARTINが声を上げれば、JAMESは「この公演のために日本語の勉強を頑張りました。めっちゃ頑張りました」と報告。MARTINに「日本語能力どうですか?」と聞かれ、「まあまあですよね」と返して笑いを誘う。

MARTIN (P)&(C)BIGHIT MUSIC

JAMES (P)&(C)BIGHIT MUSIC

「ACAI」「TNT」「MOTION (feat. Juicy J)」「Mention Me」と続くセクションでは、そんな親しみやすさから再び一転。5人は十字型のセンターステージをランウェイのように使い、ときには全力で走り回る。特に「Mention Me」のブレイクで5人が中央に集まり、そこから散り散りに駆け出していく姿には、若さがほとばしるような爆発的なパワーがあった。歌、ラップ、ダンスのクオリティはもちろん高い。しかし、CORTISのライブがおもしろいのは、その技術を完璧に披露することだけをゴールにしていないところだ。ステージの使い方も、いわゆるアイドルのコンサートというより、ときにラッパーのライブやクラブのパーティーに近い感覚さえある。

(P)&(C)BIGHIT MUSIC

中盤、「今日、公演を始める前にちょっと緊張してた」とJAMES。「日本語が上手じゃないから、大変かもしれないと思いました」と明かしながら、「みなさん、水もちゃんと飲んでください」と客席を気遣う。そこから「When I say Joy, you say Ride!」のコール&レスポンスを経て「JoyRide」へ。ペンライトやスマートフォンのライトが会場を照らし、「Lullaby」「Blue Lips」「Wassup」と、それまでの荒々しいパーティームードから一転して涼しげな空気が流れる。花道に寝転んだり、腰掛けながら歌ったりする5人の姿も印象的だった。

デビュー作『COLOR OUTSIDE THE LINES』の「GO!」「What You Want」では、再び観客を巻き込んでいく。「What You Want」ではMARTINの「僕、ハーモニー作りたい」という提案から、観客をアリーナ席とスタンド席の2組に分け、MARTINとKEONHOがそれぞれを率いて観客の歌声でハーモニーを作り、そのまま2度目の「What You Want」へと突入した。

後半はさらに自由だ。「TNT」「ACAI」を再び披露し、最新作「GREENGREEN_playextended」の「MONEYMONEYMONEY」に続き、未発表曲「NANI (Demo ver)」、さらに「PACK IT UP」を披露。そして「GO!」はリミックス・バージョンへ。UKガラージを思わせるビートから姿を変え、ヒップホップやポップ、クラブミュージックを軽々と行き来する。リミックスだけを集めた作品も聴いてみたくなるほどユニークだった。

そして「YOUNGCREATORCREW」「FaSHioN」「REDRED」も再び披露される。一度のライブで同じ楽曲を何度もプレイし、バイブスを高めていく方法は特にヒップホップのライブでは時折見かけるものだ。ただ、それをアリーナ規模の単独公演へ持ち込むと、曲によっては初回ほどの爆発力が生まれず、少し長く感じる瞬間もあった。一方で、自ら楽曲制作にも携わるCORTISだからこそ、ここにはまだ可能性がありそうだ。例えばビートライブやダンスセッションなど、既存曲の再演とは違う方法で5人のクリエイティビティを見せてもおもしろい。自分たちが主役の単独公演なのだから、もっと大胆に”線の外側”へ飛び出してもいい。

JUHOON (P)&(C)BIGHIT MUSIC

SEONGHYEON (P)&(C)BIGHIT MUSIC

KEONHO (P)&(C)BIGHIT MUSIC

終盤のMCでは、ツアータイトル『PUT YOUR PHONE DOWN』に込めた思いも見えてきた。KEONHOは、観客がスマートフォンを置き、自分たちと目を合わせて楽しんでくれたことへの感謝を口にする。JAMESも「ツアータイトル通り、みなさんスマホを置いて、みんなと目が合って嬉しかったです」と話した。さらにJAMESは、なんと公演前にX JAPANのライブ映像を見て「もっと頑張らないと、と思った」と意外な出来事を明かす。MARTINも「これからも曲の作業をして、リリースして、ツアーをして、コミュニケーションを取っていこうと思います」と今後について語った。

最後まで花道を走り、肩を組み、寝転がり、笑い合う5人。ステージ上で見せるカリスマ性とは裏腹に、その姿は友達同士で思い切り遊んでいる若者のようでもあった。デビューから約1年にもかかわらず、CORTISのパフォーマンス力はすでに安定して高い。それ以上に印象に残ったのは、「自分たちはこんなことがやりたい」「こんなものを作りたい」という初期衝動だ。アイドル、ヒップホップ、ファッション、クラブカルチャー。さまざまな要素を取り込みながら、既存のどこかにきれいに収まりたくないという強い意志を感じる。まだ荒削りな部分も含めて、自分たちの美意識をこれだけ大きなステージで押し出せることこそ、今のCORTISのおもしろさなのだろう。

(P)&(C)BIGHIT MUSIC