博報堂は9月4日、「新富裕層調査2026」の結果を発表した。調査は2026年3月13日~24日、20~69歳の男女計3,709名を対象にインターネットで行われた。
世帯年収3,000万円が富裕層、5,000万円が超富裕層の目安に
野村総合研究所が「富裕層」と定義する純金融資産1億円以上の世帯の割合は、全体では4%、世帯年収1,500万円以上のインカムリッチ層では22%だが、世帯年収3,000万円以上では55%と急増する。所得と資産の両面での「富裕層」としては世帯年収3,000万円以上がひとつの目安となる。また、世帯年収5,000万円以上では同研究所が「超富裕層」と定義する純金融資産5億円以上の世帯が48%を占めた。世帯年収5,000万円以上が「超富裕層」を捉える際のひとつの目安となる。
新富裕層の「10大価値観」
調査結果から世帯年収3,000万円以上の富裕層では、年代を超えて共通して高い価値観があることがわかった。
今回は年代を超えた新富裕層の共通インサイトである「10大価値観」に着目し、世帯年収3,000万円以上の富裕層の特徴を分析した。
1.所有価値より体験価値
世帯年収3,000万円以上の富裕層では51%が「モノの所有」より「体験価値」を志向している(全体比+12pt)。また、58%が「文化や芸術」といった感性や教養を高める体験を志向している(同+19pt)。「体験」を通じて豊かな人生を追求する富裕層の積極的な態度がうかがえる。
2.成長と自己実現
世帯年収3,000万円以上の富裕層では58%が常に「新しい知識や経験」を追求し「自分を成長させ続ける」ことを志向している(全体比+22pt)。また、仕事を通じた「高い社会的ステータスの獲得」(48%、全体比+24pt)や、「自己実現のために仕事をすること」(44%、同+19pt)の意識も際立って高く、富裕層の高い成長志向がうかがえる。
3.審美性と文化的意味性
世帯年収3,000万円以上の富裕層の48%が「商品の背景にあるストーリー」を重視している(全体比+17pt)。また、53%が「職人の手仕事やクラフトマンシップ」が感じられるものを愛用したいと回答しており(同+20pt)、消費を通じた「知的・文化的体験」を重視する富裕層の特徴がうかがえる。
4.信頼できるコミュニティ
世帯年収3,000万円以上の富裕層の44%が所属するコミュニティを大切にしており(全体比+17pt)、48%が自らの「ネットワーク拡大」に積極的であると回答した(同+21pt)。また、58%がメディアの情報より「直接見聞きした情報」を信頼すると回答(同+13pt)。メディアからの情報よりも「信頼」を軸とした「コミュニティ・ネットワーク」を重視する情報接点の特徴がうかがえる。
5.時間
世帯年収3,000万円以上の富裕層の58%が「時間やゆとりを得るためにお金を使う」ことを惜しまず(全体比+27pt)、44%が「家事代行」や「育児サポート」などの外注サービスを積極的に利用すべきであると回答した(同+20pt)。日々の「余白」を創出するための費用投入に前向きで、仕事と家庭、そして自身のプライベートを取り回そうとする富裕層のライフスタイル意識がうかがえる。
6.健康・ウェルネス
世帯年収3,000万円以上の富裕層の57%が「自身の健康や心の豊かさ」にお金をかけており(全体比+15pt)、33%が「自然やスピリチュアルなことを生活に取り入れる」と回答しているほか(同+11pt)、31%が「スポーツ」にお金をかけていると回答(同+19pt)。多忙な毎日を送るからこそ、心身の健康に積極的に投資し、生涯現役社会を自分らしく豊かに生きようとする「ロンジェビティ志向」がうかがえる。
7.子育て・教育
世帯年収3,000万円以上の富裕層の44%が「子供のための支出」は惜しまないと回答(全体比+14pt)。また37%が「海外留学」を志向し(同+17pt)、45%が「子どものための転居や転職」を厭わないと回答した(同+15pt)。未来を生きる子供に対する惜しみない「投資」の実態がうかがえる。
8.資産形成と資産継承
世帯年収3,000万円以上の富裕層の59%が「貯蓄より投資にお金を回す」ことを志向している(全体比+24pt)。また62%が資産運用において「短期的な利益より中長期のリターン」(同+21pt)、61%が「リスクを考えた資産配分」(同+27pt)を重視している一方で、52%が「親・先祖から継承した資産を維持していくこと」が大切だと回答した(同+19pt)。資産をアクティブに増やしつつも、中長期視点でリスクを分散させつつ、相続資産もふくめ「未来」に継承することも重視する富裕層のウェルスマネジメント意識がうかがえる。
9.他者・社会への貢献
世帯年収3,000万円以上の富裕層の42%が「社会問題・環境問題の解決」への貢献を志向(全体比+13pt)。また、48%が「福祉活動や慈善活動」への参加(同+20pt)、52%が「ジェンダーやLGBTQ+、障がいの有無による差別のない世の中」の実現を志向しており(同+16pt)、「よりよい社会」や「多様性」の実現に意欲的な様子がうかがえる。
10.グローカルマインド
世帯年収3,000万円以上の富裕層の43%が「海外生活」にまったく抵抗を感じておらず(全体比+23pt)、48%が「日本らしさに固執せずグローバルな視点で判断すること」を重視している(同+12pt)。一方で56%が「日本が持つ独自の価値や文化を守ること」を重視しており(同+10pt)、グローバル感覚を持ちつつも、日本独自の伝統や文化も大切にする「グローカルマインド」を持っていることがうかがえる。
「自由に使えるお金」が豊富な若年富裕層は消費にも積極的
世帯年収3,000万円以上の若年富裕層(20-30代)の32%が「クルマ」にお金をかけていると回答、同年代全体を19pt上回り、世帯年収3,000万円以上全体(32%)と同水準となっている。「ラグジュアリーブランド」「時計」「ジュエリー」「海外旅行」「アート作品」などに関しても、若年富裕層スコアは同年代を大きく上回り、富裕層全体と遜色ない水準となっているほか、「時計」「ジュエリー」「海外旅行」「アート作品」に関しては若年富裕層のスコアが富裕層全体を上回る結果となった。若年富裕層が1ヶ月間自由に使えるお金は1ヶ月あたり平均58万円と、40-50代(44.8万円)、60代以上(46.6万円)を大きく上回っており、消費にも積極的な若年富裕層の実態がうかがえる。
シニア富裕層はAI活用に積極的
世帯年収3,000万円以上のシニア富裕層の53%が「生成AIツール」を利用しており、同年代全体を19pt上回った。また、シニア富裕層の57%が常に「新しい知識や経験」を追求し「自分を成長させ続ける」ことを志向、若年層全体を13pt上回っている。高い「成長」意欲を背景に、従来のシニア像とは大きく異なる、新テクノロジーを積極的に取り入れるシニア富裕層の実態がうかがえる。














